泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

道元の習慣術

2012-11-07 20:58:27 | 読書
 道元の言葉を意訳したものが右ページにあり、左ページに解説がついている。100項目がテーマごとに並んでいる。とても読みやすい。
 はっとするというより、じっくりじんわりと「そうだよなあ」と感じられる箇所が多かった。
 例えば、2項目目。
「あれこれ手を出すのではなく、一つのことに集中する」
 迷い多きときは、何をすれば最善なのかがわからない。あれこれ手を出し、結局何ひとつ身に着いていない。
 あれこれやってきたからこそ、これだという一つを見つけられたのかもしれない。
 でも、その一つは、もともと私の中にあったもの。
 私にとってその一つとは、書店で働きながら小説を書き続けるという営み。
 こつこつ続けるしかないということはわかっている。
 でも、心が揺らぐことはしょっちゅう。これでいいのか?
 あるいは好きな人も。この人なのか?
 気持ちが拡散してしまうのが、私の悪い癖でもありました。
 走ることを覚えてから、やっと一つのことに集中することの意味がわかってきました。
 震災以後、今を一生懸命生きるしかない、という覚悟も生じました。
 限られた時間、命を大切に使いたい。
 結果として、無駄を省き、一つのことに集中するしかないのです。
 ローマは一日にして成らず。
 焦らずに、一つのこと、一人の女性とじっくり向き合いたいと思います。
 今、これでいいのか?と悩んでいる人に読んで欲しいと思います。
 そうだよな、これでいいんだよなと自己確認し、ときに修正し、かつ温かく励まされる、不思議な力を持った本です。

植西聰著/佼成出版社/2012

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