この本を読んでずいぶんと小説を書くのが楽になりました。
何が、どのように、どうして、という詳細を説明するのは難しいのですが。
走り始めたとき、余分な力ばかり入って怪我ばかりしていましたが、走る「こつ」をテレビや雑誌を通じて知ることで、効率が上がったように。
「鍵」は、わくわくにあるのではないかと。
春樹さんも、朝、コーヒーを片手に机の前に座り、前の晩には聴くレコードを準備し、さて、と原稿に向かうとき、わくわくするそうです。毎回。
遠足に行くような感じというのでしょうか。
私は小説を書くことで、心身のバランスを崩し、鬱病を発症したことがあるので、ずいぶんと小説を書くことには怖さがあります。
先人たちも、まったく、悲惨な死に至った人々が多々でもあるし。
そんな怖さやリスクを解消する手段として、ランニングを身に着けたのはやはり正解でした。
それも春樹さんが実践していることですが。悪魔祓い。
河合隼雄さんの思い出も出てきます。河合さんは、とにかくくだらないジョーク(おやじギャク)をよく言ったそうです。
くだらなければくだらないほどいい。それが河合さんの悪魔祓いだったようです。
そして、この本を読んでしきりに思い出されるのが、私が初めて小説らしきものを書こうとしたときの光景。二十歳くらいのときでしょうか。
大学の理学部の図書館。2階か3階の窓際の机に座り、何か難しい本を持っていたようですが覚えておらず、温かい日差しに包まれていた。
真っ白なノートに向かって、さて、何を書こうかなと、わくわくした。あの感覚。
楽しくなければ、走らないし、書かない。
宮沢賢治との思い出で、物語の意味についても理解が深まった。
わかってきた。私が小説を書く意味。また、その方法。
実践あるのみです。
本屋に、作品を、残せるように。
村上春樹著/スイッチ・パブリッシング/2015
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