去る、3月11日の予算委員会最終日、新年度予算案と日本共産党が提案した予算修正案にたいする各党の態度表明がされました。
日本共産党以外は、区長の提案した8件、すべて賛成でした。日本共産党は5件の予算案には賛成、3件に反対しました。
日本共産党区議団を代表して討論をおこなったので、その全文をお知らせしますね。お付き合いください。
私は、日本共産党足立区議団を代表して、第5号議案・一般会計、第6号議案・国民健康保険特別会計、第7号議案・介護保険特別会計予算の3議案に反対し、第8号議案・後期高齢医療特別会計、第43号~46号議案までの同時補正予算、及び予算修正案に賛成の立場を表明し、討論を行います。
マイナンバー制度は大問題。先行国では情報漏えい・なりすまし続出で制度の縮小・見直し
同時補正の4会計予算は、新年度の臨時給付金の支給、マイナンバー制度のシステム構築のみの予算です。マイナンバー制度については、実施しているアメリカで個人情報漏えいの弊害、なりすまし事件が社会問題化し、年500億ドルの犯罪被害となり縮小・見直しが始まっています。また、数兆円の巨大公共事業としてIT利権を指摘する専門家も多く、自己情報コントロール権の侵害、費用対効果のアンバランスもあり、中止すべきであり、認められるものではありません。しかし、補正予算額の大半は臨時給付金関連で区民生活を支えるものであり、反対するものではありません。
ため込んだ基金は史上最高の1190億円弱。10年間で増えた基金(ためこんだお金)は、区民一人当たり11万9000円で総額は23区1位
一般会計など当初予算についてですが、今年度末ためこんだ基金は史上最高の1190億円弱になり、10年間の増加額は23区1位。区民一人あたり10年間で11万9千円の増加は3番目に多いのに、一人当たりの老人福祉費も児童福祉費も下から3番目で、新たな借金は38億円→67億円と増えました。
足立でも格差拡大
アベノミクスによる格差や貧困が拡大する中、足立区でも住民税非課税者が4年で2万人増え、課税標準額で200万円以下と合わせて77%を占めている中だからこそ、自治体の役割発揮が求められていました。
しかし、本予算審議では、区民の貴重な税金を預かり、自治法で謳う住民福祉の増進を担うことの重みの認識を疑わざるを得ない区の姿勢が浮き彫りになりました。
税金の無駄遣い
第一に、税金の無駄遣いです。
5~6年前に区の一般財源も含め1億2千万円余も税を投入してつくったばかりの中川遊歩道を、安倍政権による公共事業の拡大に便乗する形で、昭和58年策定の震災対策ではないかさ上げ計画の早期工事を要望し、遊歩道を数年で取り壊すことなど、区民の理解を得られるものではありません。
また、区役所本体業務の外部委託では、国保の受託業者は業務分析だけで9800万円かけ、新年度も全く事務を行わなくても委託料を払う可能性が明らかになりました。区民のプライバシーと税金が食い物になる戸籍や国保の外部委託は撤回すべきです。
区民の願いに背を向ける
第二に、区民の願いに背を向ける冷たい区政という点です。
区民の暮らしは大変なのに、介護保険・国民健康保険・保育料の3つの負担増で区民に追い打ちをかけ、負担軽減を求める声に耳を貸そうとはしません。加えて、わずかな精神障がい者補助を打ち切り、少人数学級の代替策だった副担任講師は全廃し、全国ワースト8位の待機児童解消もままなりません。
新たな開発の旗振り役
一方で、北千住の都税事務所と大型店跡地に区内最高32階のビルが建つ市街地再開発は、都市計画決定の公聴会も開かず、住民にも知らせず、区自らが旗振り役になっていることが浮き彫りになりました。
統廃合強行で、大人でも45分かかる通学路の距離が学区域にー子ども重視とはとても言えない
また、新年度を「子どもの貧困対策元年」と称し、子どもの未来を応援するとさまざまな施策を打ち出しました。生まれる前からのよりそい支援や、高校中退予防、居場所づくりを兼ねた学習支援については、日本共産党も求めており反対するものではありません。しかし、足立スタンダードと称する管理と競争強化は、貧困対策とは相いれません。
500人もいる日本語指導の必要な児童の対策・図書室を生きた力にする司書配置よりも、学力テスト正答率を上げるために子どもを一人授業中に別室に移して国語算数を詰め込む「育ち指導員」・特定の子どもを超難関進学校に進学させるための「はばたき塾」が優先という姿勢は問題です。学校統廃合は、人口推計を意図的に描いて大失敗し、40~50億円も新たな財政出動になった新田や千住の改築前倒しを教訓化せず、意図的な人口推計を指摘されると「校庭にプレハブは当たり前」という姿勢、実施すべきでなかった鹿浜小と上沼田小の統廃合により、鹿浜橋から江北陸橋まで大人でも徒歩45分かかる距離を、子どもに通わせる姿勢は、子ども重視とはいえません。
日本共産党の予算修正案はほぼ同額修正。ばらまきの指摘には説得力がない
これらのお金の使い方を切り替えるために日本共産党が提出した予算修正案について、ただ今(自民・公明議員の討論で)、ばらまきとの指摘がありましたが、昨年もそういって否決した予算修正項目、プレミアム共通商品券の上乗せ補助は、今年度全会一致で可決・成立しました。
既に提案理由説明で申し上げたように、ムダ使いや不要不急の事業の先送りによって、一般会計で当初予算とほぼ同額の2677億円で、基金は1%だけ取り崩し額を増やすことによって、40事業26億円の新規拡充事業が行えるもので、「ばらまき」の指摘には全く説得力がありません。
やる気になれば、区民の願いはかなえられること、議会がその役割を発揮し積極的に提案を行うこととともに、区の姿勢を切り替えることを強く求めまして討論を終わります。