昨晩高校の一級後輩から電話。
「カンさん、大きな鹿が居るばい、要る?}
「おお要るぞ、何処に居るんや」
「仕事場の人の箱罠にかかったんよ、
場所はダムの下」
(彼は森林組合で仕事をしている)
「いつとりに行ったらいいか」
「あした12時にその人がダムサイトで待っちょるけん」
「わかった、サンキュー」
今朝の7時、後輩から電話。
「カンさん、支度をして来いち言いよる」
(それなりの格好をして来いという意味)
「なしか?」
「まだ生きちょるとよ」
12時15分前にダムサイトに着いた。
森林組合の人がすでに来ていた。
その人の軽トラについて山に入る。
ぐるりとまわってダムの下に着いた。
鉄筋で作った箱罠にでかい雄の鹿がいる。
森林組合のおじさんはロープを持って罠の上に乗った。
75歳くらいだが驚くほど身軽い。
「俺がロープで角を上に吊り上げるけんあんた箱ん中入って鹿ん足を持ってこかし(転がす)ない」
なんとも危ないことを平気でおっしゃる。
だがこれは命令だ仕方ない、罠に入る。
鹿の爪は尖っている鹿に蹴られて肉が裂けたり骨が折れた話は嫌というほど聞いている。
蹴られないように横から飛びついた。
振り払われて鉄筋の檻に激突、痛い。
これでオイラの闘魂に火がついた、エンジンがかかった。
低い姿勢で再度横から飛びつく、今度は捕まえた。
「こかせ(ころばせ)こかしても足を離すなよ」
おじさんもロープで必死に鹿を上へ吊り上げている。
早くしないとおじさんが疲れてロープロ離すと大変だ。
渾身の力で鹿を持ち上げるようにしてねじ伏せた。
馬乗りになって後ろ足を押さえる。
(鹿に馬乗りになると馬鹿になるのでは?)
「よ~し、離すなよ」おじさんが角をロープで固定した。
2~3分後鹿が断末魔の声を上げブルッと震えた。
少し痙攣して鹿の体から力が抜けていくのがわかった。
鹿に後ろ向きに馬乗りになっているので見えなかったが、
おじさんが槍で心臓を刺したのだ。
「よし、もう離していいばい、あんた馬力があるなぁ」
こちらの田舎では元気がいい、力が強いことを馬力があるという。
必死で鹿の足を掴んでいたので腕と肩が強ばっている。
いや~っ、貴重な体験をした、スリル満点だったゼィ。
鹿は70キロクラス、二人で軽トラに積み込んだ。
森林組合は3時から総会で終わって忘年会なのだ、
それで鹿をさばく時間がないのでくれたのであろう。
なんにしてもありがたい、嬉しい、ツイてる、ラッキー!
いつもは三脚に滑車をつけ鹿を吊り下げてさばくのだが、
急なことで準備してない、やむなく軽トラの荷台でさばく。
さばいている途中で右腿とアバラが痛いのに気づいた。
鹿と格闘したのださもありなん、1時間半でさばき終えた。
さっき風呂に入るとき見ると腿とアバラに青痣がくっきり。
勲章だね(笑)明日はあちらこちら筋肉痛だろうなぁ。
友情と自然の恵みに感謝。
オイラの気力と体力に感謝。
美味しい焼酎と鹿刺しに感謝。
雨だがとっても好日
鹿の体を伸ばすと軽トラいっぱいだ。
鹿の皮は畳一枚弱、捨てるのもったいないなぁ~!