DemocracyNOW !で知るまでは、まったく知らなかった。(ありがとう、DemocracyNOW !)
DemocracyNOW !では、ハワードを次のように紹介しています。
一つの世代全体の物の見方を、それまでとはがらりと変えてしまうという、ジンの稀有な才能は、『民衆のアメリカ史』において見事に発揮されました。彼の手法は歴史の中の「無名の人々の、無数の小さな行動」を大切にして、注意深く掘り下げて、そこから歴史を理解しようとするものです。
無数の小さな行動が積み重なって、やがて歴史に刻まれる偉大な瞬間がやってくるのだと、彼は信じていました。無数の小さな行動を見ずにして、歴史の理解は始まらないと彼は雄弁に語り、みずからも積極的に行動に参加し、他の者たちもそこにいざないました。彼と一緒にデモに出ると、人生でこれほど有意義なことはないという気になってくるのだそうです。
(DemocracyNOW !は1996年にニューヨークのWBAI-FMにて設立され、北米650局以上で放送されている非営利の独立系ニュース番組です。
大資本による「マスメディア」とは異なり、各種コミュニティ・ラジオ局や衛星放送、ケーブルのパブリック・アクセスTVチャンネル、インターネットなど、さまざまな形態の非営利の公共放送が協力した全国配信ネットワークのさきがけであり最大のものです。)
彼は1971年、ベトナム反戦運動ボストンでの演説のしめくくりで、こう言います。
『群衆に混じった私服警官の諸君に言おう、群衆の中に紛れ込んだFBI捜査員の諸君!君らの行動は民主主義の精神を冒とくしている。まるで全体主義国家の秘密警察みたいだ。-不服従の精神を兵器工場や戦場に広げよう。全国各地の議事堂に人殺しを止め、堂々と世界に顔向けできる日まで子供たちに戦争のない世界を与えてやれるよう頑張ろう。』
しかし、この発言は高くつきました。翌日の連邦ビル前での座り込みで警察はほとんどの人は逮捕しませんでしたが、ハワードとそのほか数人のみ逮捕されました。このときハワードは警官にこん棒で殴られ、血みどろになります。
彼は言います。
『個人としての警官は好意的でした。デモ参加者に近づきながら、「君らの言い分は分かる」と言った。前進を命じられると警官たちは懇願しました。「衝突は避けたい、動いてくれ」と。でも命令が下ると警官たちはそれに従った。ハワードが言ったように制服を着て武器を持つと命令通りに動くロボットに変わる』
ハワードはドイツの街を爆撃する際、機械の一部になったかのように、何のためらいもなく発射ボタンを押したといいます。軍隊での訓練と教育が、そのような行為について、何の疑問も覚えず(いやむしろ英雄気取りになった兵士もいるかもしれません。)行わせたのです。
ハワードを逮捕した警官は彼と同じアメリカに住むアメリカ人であり、彼と直接向き合っていたので、こん棒で殴られるぐらいですむわけですが、爆撃手と警官との間に流れているものは基本的に同じ気がします。(警官が同じ白人のアメリカ人だったことはハワードにとっては幸いでした。といってもそのころ黒人の警官なんていませんでしたが...。)
またインタビューで
『たとえファシズムとの「正しい戦争」であっても、戦争というものは根本的な問題は解決せず敵も味方も傷つけると悟りました。』と言います。
動画中でハワードは「good war」と言っていました。似たようなところで、オバマ大統領はノーベル平和賞受賞スピーチで、「just war」と何度も繰り返しました。「just」というと「正当な」という感じになるのかもしれません。goodとjustでは意味合いが相当違います。(ネイティブではないからなんとなくしかわかりませんけど。)
平和を求めるために戦争を行い民衆は苦しむ、というパラドキシカルでアイロニックな状況はまだ当分続きそうな気がしますが、それでも我々は『Give Peace a Chance』と言い続けなければならないと思います。
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