いぬバカ・ねこバカ

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チャップリンの信念

2012年06月04日 22時47分08秒 | 日記

チャップリン  「独裁者」   THE GREAT DICTATOR(1940・アメリカ)

 
 「必要なのは人間性なのです!!」

1930年代アドルフ・ヒトラーは「演劇界のスター」でもあった。そのスター性にチャップリンは着目し、「いつか私も独裁者という役柄を演じてみたい」と渇望した。それがこの作品のスタート・ラインだった。そして、彼は喜劇の題材として「独裁者と床屋」の物語を作り上げたのである。やがて本作製作中の世界情勢の激変に対応し、急遽チャップリンは最後の演説を、自分自身のナマの言葉で語り、付け加えた。だからこそ、この映画はちぐはぐである。しかし、だからこそ時代の混乱の中でのみ一人の天才が生み出せる「ヒトラーに憧憬し」世界平和を願った矛盾に満ちた大傑作なのである

チャップリンの独裁者チャップリンの独裁者

■あらすじ
ヨーロッパの大国トメニアの独裁者ヒンケル(チャールズ・チャップリン)は、世界征服とユダヤ人排斥を旗印に、世界に君臨しようとしていた。一方、ユダヤ人のゲットーの床屋であるチャーリー(チャールズ・チャップリン)は、ヒンケルと容貌が似ていた。そして、ふとしたことからチャーリーがヒンケルに間違われてしまうのである。

 
ヒンケル扮したチャーリーの結びの演説は、あまりにも有名である。チャーリーは映画の中でヒトラーと真っ向から戦ったのだ。その演説とは・・・・・・。一部の紹介になるが。


 「わたしは皇帝になどなりたくありません」「わたしは人を支配したり、征服したりしたくありません」「わたしたちは、お互いの不幸ではなく、お互いの幸せのために生きたいと思っています」「わたしたちに必要なのは、機械ではなく、人間性です。頭のよさよりも親切と思いやりが必要なのです。人間らしさがなければ、人生は暴力的になり、すべてが失われるでしょう」「兵士のみなさん!あなた方を軽蔑し、奴隷にし、何を考えたり、感じたりするべきか、そんな個人的な生き方にまで指図する非人間的な者たちのいいなりになってはいけません。かれらはあなた方を猛訓練し、飼育して、家畜のようにあつかった末、大砲の的にするだけなのです」「人間とはいえないこうした者たちの意のままになってはなりません。かれらは機械の頭と機械の心を持った機械人間です!でも、あなた方は、機械ではない、人間です!人類愛あふれる人間です!」「兵士の皆さん!奴隷になるために戦ってはいけない!自由のために戦ってください!」「幸福を生み出す力をもっているのは、ある特定の人間だけではなくあなた方、普通の人々なのです!

あなた方は、人生を自由で、美しくまたすばらしい冒険にあふれたものにする力を持っています

「民主主義の名の元にみんなでひとつになりましょう!」(『チャップリン』、上田まさ子訳、佑学社刊から)

チャップリンの独裁者  チャップリンの独裁者 DICTATOR(1940・アメリカ)
 
 「笑い」で非人間性と闘ったチャップリン


 チャップリンは、(ナチスによる)「ユダヤ狩り」と戦う、この映画を大戦中に作った。最も人間的な「笑い」によって、最も非人間的な「暴力」と戦ったのである。製作中から激しい妨害を受け、一九四〇年完成。当時アメリカはまだ参戦しておらず、非難も多かったが、現在では、最も早くヒトラーの本質を見抜き、描いたとして不朽の評価を得ている〉
 更に、戦後のアメリカを恐怖のどん底に陥れた、いわゆる「赤狩り」共産主義者迫害 ─ すなわちマッカーシズムの嵐にも苦しめられた。そして、ついにヨーロッパに帰ることになる(彼はイギリス出身)。世界一の「自由の国」のはずのアメリカからも追放されてしまった。歴史には、しばしば、こういう狂気の時期がある。そうした試練を越えて、偉大な人間は、また「自由の精神」は鍛えられていく。 こうした弾圧のさなかでも、彼は使命に生き抜いた。彼は、真の「人間」だった。状況に左右される、いわゆるロボットではなかった。

“何があろうと、私は人々に「笑い」を与えよう!そして「勇気」を与えるんだ!”