お昼の社員食堂はA子と一緒だった。というかA子が私の前に座った。
座ったとたん、A子は私に話しかける。
「この前もらった団扇、会社で使って大丈夫かなあ。」
もらったんじゃなくて奪いとられたんですけど・・・・・。(声には出さず・・・。)
「あの団扇、〇〇さんに貸したことがとあるんで会社で使うのはまずいんじゃないの?」
「ええーっ!」
「あの花柄の団扇、デザインいいし、気に入ったわ」
「ああ、そう」
食堂の周りにはパートさんがいっぱいいる。まわりの目を確認しつつ小声で話す。
「〇〇さんはいいわねえ。集中できることがあって」
「あたし、下半身ダイエットするの!」
そう言えば、A子はおにぎリ1個とサンドウィッチしか持ってきていない。
かなり本気かも!
「そうだよ、水分とりすぎだよ!やせな!」
「でもウエストはくびれてるよ!」
確かに!こいつのウエストはトシの割にはくびれている!
「エルミタージュ展終わっちゃったね」
「行きたかったけどなあ、残念!」
一緒にいきたかったんだろうなあ、とおもいつつ、ちょっと様子を見ることにする。
まわりに人がいるんだからあんまりしゃべるなよなー。
食堂を出る。A子が私の20mくらい前を歩く。目立っちゃまずい。
しかし、A子はバックからなにか探すふりして歩みがゆっくりとなったので追いついてしまった。
「〇〇さん、歩くの早いわねえ」
早いんじゃない、お前がゆっくりなんだ!まったくしょうがない奴だ。
さらさらの髪をなでてやる。まわりに人はいない
ほんの一瞬の恋人感覚。
お互い何事もないように職場に戻る。
「バーゲン、何買おうかなあ?」
「Tシャツ買えば?またデザインしてあげるよ」
「ほんと?」
その後、A子はもらった団扇をパタパタさせてバーゲンの品定めをしているのであった。
見ているページは無地Tシャツのページであった。
これからどうなることやら・・・・・・・。