【風を聴く】
「ねえ、けんちゃん。来なよ。すっごく景色いいよお。風、気持いいよー」
バカンスで出かけたホテルの窓を開けてヒロミは言った。さんさんと降り注ぐ陽の光に写った
館山の山々の緑を背景にプロバンスを連想させる白い壁の家に赤い屋根。
「まるで新婚旅行みたいだね」
「いやーね、けんちゃんと新婚旅行?ちょっとぉー。想像しちゃったよぉ.まったくう~」
ボクは窓辺のヒロミの肩を抱きよせ、キスをした。何もかも自然だった。
そんなこんなみたいなドラマを想像させられます・・・・・・。
国立新美術館 2012年 国展より