【旅の途中で】
久しぶりにボクは遠出をした。
会社では誰よりも早く自宅を出て誰よりも遅く帰る。
そんな日々の仕事の疲れやストレスがたまり、遠出を決心したのだ。
と言ってもリュック1つを背負っただけの日帰りハイキングだ。
緩やかな山道を歩きながら足元に咲く小さな野草に目をやりながら、もうかれこれ3時間くらい
歩いたただろうか?
林の切れ目から飛びこんできたのはエメラルド色をした池であった。
黄土色のススキの穂が生い茂っていたので余計にエメラルドがかがやいて見えた。
「きれいだなあ。ボクの煩悩によって腐ってしまった心の色と違い、なんで自然はこんなにきれいなのか?
ボクはもう一度輝けるかなあ。」
「自問自答できるから一人旅っていいんだなあ」
「もう一回、頑張ってみるか」
決意を新たにし、再びボクは力強く山道を下っていった。
そんなこんなのストーリーが想像できるような絵デス。
東京都美術館 2012年 第一美術協会展より