加藤君の誕生日

　先週末に、幼馴染の加藤君、通称”エロシ君”の誕生日パーテイを開いた。
　それにしても、10月は、誕生日ラッシュだ。
　
　彼とは、エレメンタリー・スクール時代からの友人だ。
　学校時代、二人とも野球部の選手だった。今でも、俺のほうが上手かったと言い争いになるが、練習嫌いでセンスのKEVIN、根性のエロシと言うのが正解かも。

　Jハイスクールに上がって、当然のように二人とも野球部に入った。センスのKEVINは、野球部員に義務付けられているイガグリ坊主が嫌なのと、非近代的なトレーニングについていけず、挫折して退部した。

　一方、エロシは３年間部活を全うし、強豪高からの勧誘もあったようだ。（ホラ吹きなので、この話は半分しか信じていない。）

　ハイスクールに進学し、僕と違って女癖の悪かった彼は野球を捨てて一気に軟派の道に走った。激しい運動を急に止めた反動で、心臓疾患になり、１年ハイスク－ルを休学した。

　そんなわけで、僕が大学に入ったときに、彼はまだ高校生だった。大学生の僕は既に車を転がしていたが、彼の頼みでよく運転手をさせられた。

　そこには、いつも女子高校生が居た。
　車には、エロシのリクエストで好きでもないフォークソングをカーステに用意し、喫茶店や図書館への送り迎えを頻繁にさせられた。（１年遅れの彼は、まだ受験生だったから）　

　東大を目指していた彼は、何年も浪人した。
　結局、中大に行った。彼が大学入学するときは、もうこちらは大学の４年生ぐらいだったと思う。ひょっとして卒業していたかも。

　その後、月日は流れ、流れて音信不通の時が続いた。

　或るきっかけから数年前より再び親交が始まった。
　弁護士を目指したいた筈の彼は「ハム屋」さんになっていた。

　大手食品メーカーに就職した彼は、そこの会社が有名な不祥事を起こし世間に叩かれているのに嫌気し、立川基地のある福生の某ハム製造会社に転進した。

　そこのハムは、彼曰く「世界一旨い」。これには賛同する。
　本当に旨い。
　それで、三越や高島屋など大手百貨店でも引き合いが強いので、日本全国の百貨店を営業で回っている。

　１－２月毎に名古屋に来るので、その時に友人が集まる。レギュラーは僕を含めて４人。いずれも、エレメンタリー・スクールからの仲だ。随分と長い友情だ。

　僕以外の３人は競馬が大好きだ。
　僕は一切、ギャンブルはしない。

　しかし、その信念が悪友たちのせいで崩れてしまった。

　２か月前に遂に競馬デビューをした。この２か月で５回参戦し、１回だけ勝ったが、本命なので配当負けした。

　この誕生日パーテイも、会話は翌日に開催される天皇賞の話に終始した。

　利害関係のない幼馴染がいるのは、良いものだ。