今回から数回にわたり、
南アの学校教育の課題について、
現時点での私の考えを書くことにします。
あくまで、私の個人的な考えです。
質問、ご意見等おありでしたら、コメントください。
第1回は、『SGBに見る受益者負担の義務教育』です。
はじめにSGBについて。
(メモリの5GBではありません。冗談です。)
南アの学校教育、さらに学校運営を語る上で、
重要なキーワードである、SGB。
SGBとは、SchoolGoverningBodyの略で、
日本で言うコミュニティスクールの学校運営協議会と言ったところでしょうか。
(学校関係者以外のブログ閲覧者の方、マニアックすぎてごめんなさい。)
構成メンバーは、
学校から教員代表(全員ではない)、保護者代表、地域代表、生徒代表(Secondaryのみ)で、学校運営における多大な権限を当たられています。
例えば、
授業料の設定や徴収、教職員の採用、学校行事への参加、保護者会の運営などが挙げられます。
そもそもSGBとは、
「地域の問題は、お上(政府)からの強制ではなく(ここがポイント!)、地域の構成員によって、地域の人たちのために解決されるべきである」という理念のもと、新政府が、アパルトヘイト時代のようなトップダウンの強制政策ではなく、自分たちの教育を自ら作るという目的で教育の自由化政策を掲げました。
※もちろん、アパルトヘイト後に、政府は、黒人白人間の教育費の不均等を是正するために、マンデラ政府は教育に莫大な投資をしましたし、それは一定の効果をあげました。またSGB制度は、アパルトヘイト時代に失われた国民の教育への信頼を取り戻すために、画期的なシステムといわれていました。
その甲斐あってか、いまでも成人教育を行うSecondary(高校)や、識字教育を行う学校(ボランティア)を政府が支援するといったことが行われました。私もこの成人教育は、ある意味、日本より先に進んでいるように感じます。
しかし、残念なことに、
南ア政府からの各学校への運営費用は、いまだに充分ではなく、
実際の学校運営は、各学校のSGBの決定の下、それぞれが徴収する授業料収入に頼っているのが現状です。
その結果、
アパルトヘイトが終わったから二十年近く経っても、
公立学校での旧白人学校と黒人学校で、恐ろしい格差が残ってしまいました。
(この件については、次回かきます。)
私は、SGBという運営制度自体は、決して悪い制度だとは思いません。
実際、日本でもここ数年、
住民が学校運営に参加することを促す政策が促されています。
(コミュニティスクール、学校運営協議会など‥)
しかし南アのように、
義務教育段階で、受益者負担で教育の質が決まるのは、
格差(階級)の固定化にしかなりえません。
これが南アの学校教育の大きな課題の一つです。
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