派手な歩き方（文鳥花子作）

どうして、あの人は派手な歩き方しているんだろう。
あの歩き方は、たぶんめだつためなんだろうか。

子供の頃、いつもいつも近所の人のことをおもっていた。
あるくときに、いつもはでにあるくのだ。

その一族は、みんな個性のある歩き方をしている。
普通は静かに歩くのに、派手に歩くのだ。

そっと横歩きで、かにのように歩く人。
そして、軽くぴこぴこ歩く人。

私はその人々の、歩き方をこどもなりにまねしてみた。
でも、個性的な歩き方はやはりできなかった。

派手に歩けば、みんなおどろいている。
そして、とてもめだっているのだ。

派手な歩き方を、いまでもおもいだしている。
そして、大人になった今、とても悲しい歩き方と知った。

いざり人の歩き方は、個性的で美しい。
そして、びっこの歩き方は、まるで小鳥のように、かわいらしい。

だから、派手な歩き方をする人を見て、私はいやではない。
それが、いやならその人々も、死んでいるから。

派手な歩き方の人を見ると、子供の頃を思い出す。
めだつうごきで、人気を集めているのだろうから。

私は、すてきだといまでもおもう。
そして、派手な歩き方で、歩く人を私は今でも見るのだ。