ドラマ 「振り返れば奴がいる」

「踊る大捜査線３」がもうすぐ公開だから、
なんてワケじゃありませんが。

以前に、私の頭の中が三谷幸喜一色だった時期に
「あっ、これ観てないわ！」と発作的に
DVD-BOX買っちゃったんですよね。
ずっと置いたままだったのを
ちょっと観始めては放置、
そして、改めて初めからイッキに観ました。

17年前に放送された、三谷さん初の連続ドラマ脚本。
何度も再放送されてたけど、
織田裕二が好きではなかった私は
観る気なんかさらさらなく・・・。

皆さんご覧になったことあるんでしょうか？
これからご覧になる機会はあるんでしょうか？
ネタバレありですのでご注意ください。

大病院を舞台にした、天才外科医ながら
尊大で金に汚く冷血漢の
いやーーーーな男・司馬（織田裕二）と
赴任してきた、くそマジメで正義感の塊、
熱い男・石川（石黒賢）の戦い。

司馬をかばう外科部長、鹿賀丈史とか
あまりキャラの変わらない西村雅彦とか
今やたまに大阪のバラエティで
グルメリポーターしてる千堂あきほとか
悪女ちっくな中村あずさとか
若くてフレッシュな頃の松下由樹とか
三谷さんがらみのおなじみメンバー
（梶原善・小林隆・伊藤俊人など）も若い！！

今ではコメディのイメージがつよい三谷さんが
こんなシリアスドラマを書いていたということが
新鮮な驚き。
もっとも、連載エッセイで
”ギャグを入れてもことごとく削られていたし
勝手に台本を変えられてテレビの前で
のたうちまわった”
というようなことを書いてたけど。

病院における、金と名誉だけをめざす
冷血な天才医師と
ヒューマニズムにあふれ、患者ウケもいい
誠実な医師の対立、というのは
「白い巨塔」にもある古典的テーマだけど、
それだけに終わってないところが面白かった。

正義の人・石川はどうしても
司馬が許せないのだけど、
自らがガンに侵されていることを知り
司馬の追及と追放を生きがいとして
人が変わったようにしゃにむに生きる。
その姿が哀れで滑稽にすら見える。
(病が重くなってきて、メイクやりすぎ！！
と思うくらい土気色の顔だし）

一方、司馬の隠された素顔、
過去の出来事や秘めた思いがだんだん
わかってきて、司馬を応援したいような
気持ちになってくるんだよね。

つらいだろうに。
そんなにもいろんなものを背負って、
誰にも真実を語らず、
自ら悪役を演じるのは・・・・。

まっすぐな石川の姿は、もしかしたら
本来あったかもしれない司馬の姿なのかも。

だんだんと織田裕二がかっこよく見えてくるのは
さすがだな（笑）
この俳優さん、いろいろと面倒な性格だという
裏話だけが聞こえてきて
いいイメージなかったけど、
（第一、私は顔がキライ）
案外仕事熱心ないいヤツなのかも、
なんてことまで思ってしまうのだった。

三谷さんだって書いてた。
”毎回、プロデューサーを通じて
感想＆意見を伝えてきた。
（なかなか面倒くさい人だな）と
正直思ったが、その後、今に至るまで
そんな俳優さんには一度も会っていない。”と。

話はドラマに戻って・・・
結局、石川は司馬の執刀で手術を受けるが
帰らぬ人となる。
そして司馬は・・・
振り返れば奴がいるのだ！！！！
なんという衝撃的ラスト！！！
もしリアルタイムで観ていたら
黙ってはいられなかっただろう。

最後まで気が抜けない
面白いドラマでした。
最後に、スペシャルで放送された
番外編が入っていたけど、
これは余分だったかも・・・。
（司馬がかっこよすぎる）

ともあれ、１７年前のドラマとはいえ
これは観る価値ありでした。
チャゲアスの主題歌「YAH YAH YAH」も懐かしく、
ぴったり合った良い曲でした。
「踊る大捜査線３」の前にぜひ。