思いやりとか、愛というのは、その人の目の高さに立つということではないかと思います。
子供に対する時には、子どもの目の高さに立たなければ、子どもの心は見えてきません。
よく病院などの待合室で、幼い子が大きな声で絵本を読んでいる光景に会うことがあります。
おや、この子は字が読めるのかなと、ふと立って見ると、絵本は逆さまです。珍現象でもありますが、また、よく見かける光景でもあります。
どうしてこんな絵本の読み方があるかといえば、なんでもないことです。
母親が子どもに絵本を読んであげる時、向かい合って本を読んだからです。
母親は字を見なければならないので、絵本を自分の方に向けたのです。
子どもは母の読み方が字を読むことだと素直に真似ただけのことです。
だから、正しく読んであげるためには、母親が子どもの隣に並んで坐って、読んであげることです。
それが子どもの目に立つことです。
また、子どもの目の高さに立つ時、子どもの世界が見え、子どもの関心と子どものけんめいな努力のいのちが感じとられるのです。
大人の高い目からは、幼い子ども、いうことを聞かない子としか映らないのです。
「子どもの心が見えますか」と、
ふと、お母さん方に声をかけたくなることがあります。