金環日食の報告

2012-06-09 21:54:03 | 天体
天文人生43年。
ついに夢にまで見た、金環日食が見られるその日(5/21日)がやってきた。
日本列島で見られる金環日食としては、
25年ぶりとか、129年ぶりとか、173年ぶりとか、様々な条件付で珍しい現象と騒がれ、
なんでも、金環帯が6大都市を縦断するのは、932年ぶりとまで言われていたが、
私個人にしてみれば、居ながらにしてみることができる現象としては、
生まれて初めて見る現象なので、53年ぶりでも良かろうと思った。
観測する場所は、随分前から自宅と決めていたので、遠征は考えていなかった。
結果的に、それが吉と出たか凶と出たかは、後で記述することにしよう。
そのワクワクする現象が近づくにつれ、天気予報が気になった。
ここ数日、日本列島の南海上に前線が停滞してからだ。
この前線が北上しなければ観測は可能となるが、東西に長く横たわっていた前線なので、
なんとも言いようがないハラハラする気圧配置だった。
まるで本土を掠めるような雲の流れだったから。
海に近い三浦半島は余計に苛立つ立地条件だった。
寝たのは当日の午前1時で、携帯のタイマーを5時半にセットしておいた。
そして、1時間半ほど経った午前2時半頃、雨音で目が覚めた。「えっ、雨かよ?」
就寝前のアメダスの様子では、雨は降らないと確信していたのに、まんまと私の予測は外れた。
再び床に就き、起床したのは午前6時。
完全に寝坊してしまったものの、あせりはなかった。
というのも、外はあせるような天候には回復しておらず、雨がシトシトと降っていた。
一応、寝る前にベランダにセットしておいた赤道儀に、雨よけのカバーをかけておいて良かった。
普通なら、急いでカバーを外し望遠鏡をセットしなければならないのに、
止む気配のない空だったから、そのままにしておいた。
「やっぱり、北へ遠征すればよかったわ」と後悔してもあとの祭り。
諦めモードのままテレビをつけると、どのチャンネルも金環日食ムードで、ライブ中継していた。
群馬県や埼玉県の方向は雲の影響がなくて、もう欠け始めた太陽の映像を映していた。
私はそこでふとある行動にでた。
テレビ中継の画像を撮影しようと、テレビの前に三脚とデジタルカメラを用意したのだ。
「テレビ映像でも記念にはなるわ」と考え。
午前7時を回ってもまだ外は雨。
もうずっとテレビ中継に釘付けだと思った午前7時15分。
奇跡が起こった。雨が突然止み、空が明るくなりだしたのだ。
私は急いで屋根上のベランダへ急行。
家族にも「晴れてきたぞ、ベランダへ急いで~」って声をかけて。
ここからの動きが早かった。
急いでビニールカバーを外し、望遠鏡をセット。
慌てているせいか、固定の螺子締めが空回りしてうまく締まらない。
カメラをセットし、アストロフィルターを取り付けが完了した時、時刻は午前7時25分。
流れる雲は激しいけど、まぶしい太陽も見えてきた。
ここからは何も考えずに、シャッターを切りまくった。
薄い雲がフィルターの役目もしてくれたので、
撮影中は、フィルターを外したりセットしたりと慌しかった。
ここで1つ教訓。
最初からフィルター固定で撮影が可能なら、望遠鏡のフードはあったほうが良いが、
頻繁に取り外す場合は、フードは最初から外しておいたほうが良いことが解った。
何コマか撮影後、双眼鏡でもみたくなり、ちょうど雲により減光した太陽を直接見た。
一つの夢が叶った瞬間、発した言葉がこれ。
「凄い、これがゴールドリングか」
18倍もあると迫力満点の生太陽を見ることができて感無量。
薄い雲があったことに、逆に感謝の気持ちに変わっていった。
この日は近所でも太陽に目を向ける人が多く、あちこちで喚起の声があがっていた。
長女、母、ママと4人で楽しむことができた最高の至福の時間、天体ショーだった。
色々と一喜一憂した天候だったが、結果、リングも見れたし記念の画像も撮影できたし、
まあ80点としておこう。残り20点は、欠けはじめから終了まで見られなかったことだけか。
やはり太陽が月によってここまで隠される現象はとてもスリリングで、はまってしまう人の気持ちが理解できた。
さて、次なる目標は、定年後に皆既日食に挑戦する事かな。


以上





最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Green Rain)
2012-06-12 22:51:03
私は6月6日の金星の太陽面通過こそ観られませんでしたが、
金環日食は観ることができました。

当日は仕事は休みでしたが午前5時に起床。
数日前に秋葉原のスターベース東京で購入した日食メガネを用意し、
幸い晴れ間も見える天候だったため太陽が欠け始めた頃から観測開始。
日食メガネを使用しているとはいえ連続して太陽を観ると眼によくないため、
時々家の中に戻りテレビ中継も観ました。
金環日食は皆既日食とは異なり空が真っ暗にはなりませんが、
それでも日の出時or日没時くらいまでは暗くなりました。
時々雲に隠れましたが、
当初はダメだと思っていたので個人的には満足でした。

その後カフェメイリッシュのウェイトレスのブログやツィッターをチェックしましたが、
メイリのウェイトレスでも金環日食を観た方が結構いました。
特にまほれさんは金環日食のみならず私が観られなかった金星の太陽面通過も観たそうなので、
私は「まほれさんって“宙ガール”なんだなあ」と思いました。

それにしても私が持っている藤井旭氏の『藤井旭の月面観測教室』(誠文堂新光社、1980年12月20日第1版発行)の86頁には
「これから見られる日食」が2032年の日食まで掲載されているのですが、
何と今回の金環日食が抜けているのです!
2011年6月2日の部分日食の次に日本で見られる日食が2016年3月9日の部分日食になっております。
これは藤井氏のミスなのでしょうか?
それとも校正した方のミスなのでしょうか…。
返信する
Unknown (きらほし)
2012-06-13 21:44:56
Green Rainさん今晩は。
今回はジワリジワリ欠けていくところから見るのではなくて、
いきなり金こん環こん~でしたら、あせったというか、
いきなりリングを見せられても、心の準備というものが全くできていない状態では言葉になりませんでした。
しかも、見たい、撮りたいの心の葛藤もありましたし。
世話しない一瞬の出来事で終わってしまった感じの現象でした。
そちらではじっくりと構えて余裕の状態で楽しむことができてよかったですね。

雑誌なんてそんなものです。
ですから、天文雑誌の何冊か講読したほうが良いのです。
予報の時刻も怪しい場合がありますから。
今、使用しているステラナビという天文ソフトでも、抜け落ちている現象たくさんありますから。
今なら書店にいきますと、日食専門の書籍が置いてありますから、
今後の予報などは多少高いですが、専門書を買い求めて下さい。
3000円前後。
返信する

コメントを投稿