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文民統制

2007-11-09 13:59:12 | うんちく・小ネタ
守屋前防衛事務次官と山田洋行の宮崎元専務との癒着問題。
ここんとこ大連立騒動の陰に隠れてメディアでの取り扱いが小さくなっていたけど、
きのうの元専務逮捕によって再燃。
捜査をすすめたい東京地検特捜部と国会証人喚問を断行したい民主党の間で
綱引きがはじまっているようだ。


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守屋前次官は、「文民統制」についてどういう所見をもっていたんだろう?
文民統制とは、ことさらに説明すると、
「文民の政治家が軍隊を統制する」 or 「政治が軍事に優先する」
という政軍関係におけるドクトリンである。


僕は、文民統制の英訳は「 civilian control 」だと思い込んでいた。
ところが、自衛隊出身の軍事アナリスト 志方俊之 氏によれば、
最近は「 political leadership 」ということの方が多いそうだ。
なるほど、こっちの方がわかりやすい。


守屋前次官の態度や言動から察すると、
彼は文民とは防衛省の背広組だと規定していた節がある。
つまり、「背広組が制服組を支配している」、とタカをくくっていたのではないか。
前述の志方氏によると、たとえば警視総監は、
その任期中はたとえ休日であっても東京都内から一歩もでることは許されない。
むろん法的な縛りではなく、あくまでも不文律らしいが…。


自衛隊の最高指揮官は内閣(国民)を代表しての内閣総理大臣、
そして、防衛省の長は防衛大臣であることはいうまでもない。
首相も防衛相も文民であり、けっして軍人ではない。


だから、自衛隊の実質的トップは防衛事務次官といっていいと思う。
その事務次官の守屋氏が、休日とはいえゴルフに出かけたり、赤坂で遊興にふけったり、
大臣からの連絡がつかなかったりすることは、
その職責の重さからいって重罪に値するといわざるをえない。


癒着や利益誘導などはむろん許されるべきことじゃないが、
こういう人間が自衛隊のトップになってしまう官僚システムの方が問題だと思う。
被災地での復興支援や海外で国際貢献活動をおこなっている
制服組の人たちは、この報道に触れてどういう気持ちでいるんだろう?
とにかく、真相究明が大切。
捜査当局と国会に期待したい。