SIDEWALK TALK

This website is brought to you by KIRIBAKO.NET

福井晴敏のこと

2022-07-15 11:32:34 | 本と雑誌
Pajamas若いころは歴史小説ばかり、
とりわけ司馬遼太郎作品を好んで読んでいた。
日本史好きということに加えて、
父親の影響が大きかったのかな?
家の書庫には歴史小説がずらりと並んでいた。


40歳を超えたあたりから、
他のジャンルも読み漁るようになった。
ある時期は、福井晴敏の作品ばかり読んでいた。
福井氏とは年齢がちかいから、
ガキのころ、同じような景色を見て育ったんだと思う。
読んでて、すごく共感できるんだよな。


『亡国のイージス』で知られる氏だが、
最近ではガンダム作品に深くコミットしている。
実際、彼自身、
自分は小説家ではなくアニメ作家だと規定しているらしい。
彼のガンダム作品は好きなんだけど、
もうちょい小説に軸足を置いてほしいんだよね。

地産地消

2019-09-03 15:09:09 | 本と雑誌
Amazonia最近、「地産地消」というワードを
あまり聞かなくなった気がする。
たまたま僕の耳に入ってこないのか?
一過性のブームだったのか?
そこんとこは、よくわかんない。


「地産地消」というと、
農産物の消費が真っ先に思い浮かぶんだけど、
地域のリアル店舗での買いものも含むべきものらしい。
つまり、ネットショップは御法度ということだ。


以前、地元の商工会議所会頭から、そのことを諭された。
もっぱらAmazonで買いものしてる僕には、耳が痛い。
しかもAmazonは、日本で納税していないしね。
ますます肩身が狭い。


今年に入ってAmazonにぶっ込んだ額、197,240円。
会頭に知れたらと思うと、空恐ろしい。
そう思いながら、
今日も944円のKindle書籍をポチってしまった。

トイレ本

2018-06-22 13:45:47 | 本と雑誌
Coastline趣味の欄に「読書」とか「音楽鑑賞」とか書くのは、
ある意味「無趣味」宣言ともとれる。
超一流の文明国家に住んでいる僕らにとって、
読書や音楽鑑賞はそれほど日常なのである。


しかし、僕の趣味のひとつは「読書」である。
とはいえ、わざわざ時間をとって読むようなことはなく、
移動中か、睡眠導入剤代わりにベッドの中で読むくらいだ。


決して上品な習慣とはいえないけど、
トイレの中でも本を読む。
トイレ本は、専ら僕にとってつまらない本と決めている。
つまり、流行の本や宗教的なものや学術書の類いである。


やっぱり好きなジャンルの本を読みたいから、
こういった本にはなかなか手が出ない。
しかしトイレだと、手持ち無沙汰も手伝って、
スローペースながら、いつの間にか読了している。


悪習(悪臭)にはちがいないが、
思わぬ好著にめぐり逢うこともある。
いま読んでるのは、ジョーン・ブレイディ著の
「God on a Harley」というペーパーバック。


「神様はハーレーに乗って」
イカしたタイトルに惹かれて読みはじめたんだけど、
今のところ1ミリも共感できてない...( ̄。 ̄;)

本物のセレブリティ

2017-06-30 16:32:22 | 本と雑誌
須賀敦子さんのような方が、本来、セレブリティと呼ばれるべき人なんだろう。
亡くなられて、もう20年ちかくになるのかな?
とにかく、須賀さんの文章の美しさは比類がない。


ミラノ霧の風景―須賀敦子コレクション (白水Uブックス―エッセイの小径) ミラノ 霧の風景

 須賀 敦子
 価格:¥ 914(税込)
 発売日:2001-11


翻訳活動など、多方面で活躍した須賀さんだが、
僕は彼女のエッセイがとくに好きだ。
なかでも、自身のイタリア(ミラノ)時代の想い出を綴った
『ミラノ 霧の風景』は白眉の1冊。
理屈抜きに、タイトルがイカしている。


セレブ特有の厭味など微塵もなく、
須賀さんの繊細な洞察を特有の美しい文章力で表現している。
また、この作品の重要なスパイスになっている
須賀さんのユーモアのセンスもピカイチだ。
何よりも自由、かつ可憐なところがカッコイイ。


荒廃した今の日本では、
もう須賀さんのような上品な随筆家は現れないような気がする。
そういった意味でも、この作品は貴重な1冊だと思う。

君子豹変す

2016-01-16 14:32:28 | 本と雑誌
Letter電子書籍なんてまっぴらゴメン。
本は紙媒体にかぎる。
などと嘯いていた僕だけど、
1年ほど前に Kindle Paperwhite を購入した。


言い訳すると、本(小説)を読むためじゃなく、
漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を再読するためである。
以前コミックを購入したのだけど、
引っ越しのときに廃棄したのだろうか?どこにも見当たらない。


僕は物持ちが悪く、さらにモノへの執着が薄いことも相まって、
書籍やレコード(CD)を整理保管することができない。
読了した本は、たいがい弟に渡してしまう。
彼なら管理してくれるだろうという、兄ちゃんの甘えである。


その点、電子書籍ならクラウドでバックアップできるから、
もう紛失することないし、場所的にもかさばることがない。
コミックを読むのには最適だと思った。
それでも僕は、漫画は読んだとしても小説など読むものか、
と高をくくっていた。


ところがだ。紙媒体至上主義の僕にピンチが訪れた。
老眼がすすみ、文庫本の文字が見えづらくなってきた。
ムズい漢字のルビなどは、
何をどうしても読み取ることができなくなった。


そこで Paperwhite を買っていたことを思い出した。
言わずもがな、フォントの大きさを自在に変えられる。
で、実際に小説を購入して読んでみた。
見える、私にも敵(文字)が見える!
君子は、いや僕はあっさりと豹変してしまったのであった。

本物のセレブリティ

2015-11-22 06:18:42 | 本と雑誌
須賀敦子さんのような方が、
本来、セレブリティと呼ばれるべき人なんだろう。
亡くなられて、もう15年以上になるのかな?
とにかく、須賀さんの文章の美しさは比類がない。


ミラノ霧の風景―須賀敦子コレクション (白水Uブックス―エッセイの小径) ミラノ 霧の風景

 須賀 敦子
 価格:¥ 914(税込)
 発売日:2001-11


翻訳活動など、多方面で活躍した須賀さんだが、
僕は彼女のエッセイがとくに好きだ。
なかでも、自身のイタリア(ミラノ)時代の想い出を綴った
『ミラノ 霧の風景』は白眉の1冊。
理屈抜きに、タイトルがイカしている。


セレブ特有の厭味など微塵もなく、
須賀さんの繊細な洞察を特有の美しい文章力で表現している。
また、この作品の重要なスパイスになっている
須賀さんのユーモアのセンスもピカイチだ。
何よりも自由、かつ可憐なところがカッコイイ。


荒廃した今の日本では、
もう須賀さんのような上品な随筆家は現れないような気がする。
そういった意味でも、この作品は貴重な1冊だと思う。

俺はもう、誰かの脇役ではないのだ

2015-02-06 15:09:07 | 本と雑誌
Letter『悟浄出立』 万城目学 著

いわゆるジャケ買い。
装丁、とくに帯の、凜々しく砂漠を闊歩する沙悟浄のイラストと
コピー「俺はもう、誰かの脇役ではないのだ」が気になって
ネットで買ってみた。


この本は、中国の古典・故事をフィーチャーした連作集。
日本人にも馴染みが深い有名な物語や人物ばかりだから、
僕のような無学の徒にも入りやすかった。


著者曰く、古典の脇役たちが主人公だ。

「西遊記」の沙悟浄
「三国志」の趙雲子龍
「四面楚歌」の虞美人
「荊軻刺秦」のテロリストと同音名の官吏
「史記」を著した司馬遷の娘


何を意図して書かれたアンソロジーなのか?
万城目作品初体験の僕には皆目見当がつかなかったけど、
オルタナティヴな解釈で古典・故事が描かれていて楽しかった。
今回、主役に抜擢された脇役たちはみんな、心に鬱屈を抱えている。
その鬱積された何ごとかが晴れていく(消されていく)ストーリーは、
読む人を少しだけハッピーにする。


万城目作品は読んだことなかったが、
家には嫁さんが買った彼の作品が何冊かあるはずだ。
こういうオフビートな作品が他にあるのなら、
ちょっと読んでみたい気がする。

ピカレスク

2014-11-30 15:45:38 | 本と雑誌
Letter僕には博才の欠けらもないことも自覚してるし、
血筋的にもおそらくギャンブル体質じゃない。
そんな僕だが、大学時代、人並みに雀荘に入り浸っていた。
先輩に引きずられていっていたというのもあるけど、
真夏などは避暑地としての雀荘は大負けさえしなければ
コスパが高かった。


下手なりに麻雀に興味を覚えた。
そんなとき読んだのが、阿佐田哲也の『麻雀放浪記』だった。
当時は映画化もされて、話題にもなっていた。
死ぬほど時間のあった大学生だった僕は、
退屈しのぎにこの本を手にした。


ピカレスク・ロマン

「悪漢小説」といわれているジャンルの本を初めて読んだ。
麻雀(についての)小説というよりも、登場人物の魅力に圧倒された。
小説に登場する人たちはおしなべてアウトローであり、アウトサイダーである。
しかし彼らには彼らのフィロソフィーがあり、
愚直なまでに自分のルールを守って生き、そして死んでいく。
架空とはいえ、戦後のある時期の青春群像の一面を穿っているのではないだろうか。


今般、たまたま書庫でみつけ、ひさしぶりに読んでみた。
大仰にいえば、ピカレスク小説の枠を飛び越えて、
日本における娯楽小説の最高峰の位置にある作品ではないかと再評価した。
今の日本には、こういう硬派な小説はすでに絶滅してるんじゃないかな。

次世代マガジン『 JC 』

2005-04-20 09:00:00 | 本と雑誌
jc_magazineWe Believe 』(JC プレス)という雑誌が、青年会議所に入会すると、
毎月おくられてる。
その『 We Believe 』に、今月、次世代マガジン『 JC 』という新刊が同梱されていた。
以下は批判じゃなくて、ガンバレってエールの意味での感想。


JC が社会により認知されることは好ましく、こういった取り組みは歓迎すべきことだ。
実際、日本 JC の会員拡大マニュアルなんてほとんど役にたたないし
(日本 JC にかぎらず拡大マニュアルなんてものは不要)、
TV コマーシャルでもしてもらって、JC のブランド力を高めた方が
会員拡大につながるとつねづね思っていた。


で、次世代マガジン『 JC 』だけど、会頭の対談は掲載されているものの、
JC 色が薄すぎる印象を禁じえない。
「郵政民営化」「国防」「天皇制女帝論」…etc 、確かにどれも大切なコンテンポラリーな問題だけど、
これらの記事にたいして、JC としての取り組みや提言がまったくないってのはさびしい限りだ。
これだったら、『アエラ』や『サンデー毎日』でもいいんじゃないだろうか?


以前、日本 JC に出版事業運営会議という会議体があった。
これは JC で出版業を営んで利益を上げることが目的じゃないだろうから、
ぜひ JC らしくガンバってほしいと思う。


J.D.サリンジャー

2005-04-14 09:00:00 | 本と雑誌
salingerサリンジャーの小説は、30代になって読みかえしたほうがいい
と、最近感じている。
  
彼を第一級の作家の地位にまつりあげたもっとも重要な作品
『ライ麦畑でつかまえて』は、とくに思春期の若者たちの愛読書とされているが、
大人の世界のインチキを見抜く高校生ホールデン・コールフィールドの反抗的で混乱した精神は、
ティーンエイジャーにとって、致死量をこえる劇薬にもなりうるからだ。
若さゆえにその毒気にあてられて社会への反骨心ばかりが増幅され、
物語の本質をとらえられない危険性がある。
 
だれでもティーンエイジャーのころは、社会にたいする反抗心みたいなものが多少はあって、
ちょっとした言葉や音楽、小説などによって、その反骨心が敏感に化学反応をおこしやすい。
もちろん、それはそれで好ましいことなんだけど、
サリンジャーの本質を感じるには、ある程度の年齢になってからのほうが、さらにいい。
最近、読みかえしてみて、オッサンはそう感じている。
 
ちなみに僕のオススメは、短編集『九つの物語』(NINE STORIES)かな。
とくに『バナナフィッシュに最適な日』は、『ライ麦畑で…』以上に、サリンジャー的だと思う。
  
このエントリーの要旨と矛盾するけど、
サリンジャーはティーンエイジャーのハングリー・ハートにこそ必要な作家
という認識も、僕のなかには強くあるんだよな。