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白色度

2008-01-25 09:59:58 | ニュース
Paper製紙会社が再生紙に含まれる古紙の配合率を偽装していた問題、
いわゆる「エコ偽装」について。


ある意味、食品の表示偽装や産地偽装よりもけしからん、と思う。
なぜならば、ひとの善意を踏みにじる偽装だからだ。


わが国でも、1990年代初頭から環境問題についての意識が高まってきて、
現在では環境省というお役所までできている。
国民(市民)一人ひとりの環境への配慮も、
高度成長期やバブル期にくらべると、別の民族ではないかと思うほど深まっている。
値段が高くても環境に配慮された商品を選ぶ、「グリーンコンシューマー」と呼ばれる購買層も少なくない。


僕は、1994年前後、ある社団法人で環境について勉強し、
さまざまな提言をまとめたり、フォーラムを開催するお手伝いをさせていただいた。
そのとき、まだトレンドじゃなかった(むしろ、過去の遺物とされていた)古紙回収についても勉強した。

当時の提言は、
森林破壊に繋がる木材パルプを使用せずに、「ケナフ」「バガス」などの非木材紙を使っていこう
というものだった。


そして、再生紙については…。
単なる再生紙じゃなくて、白色度70%以下の再生紙を使用しよう
という提言をまとめた。


再生紙だからといって、必ずしも地球に優しいわけじゃない。
真っ白な再生紙を作製するためには、漂白のために大量の化学薬品を必要とし、
結果、産業廃棄物(汚染物質)が大量にできてしまう。
これでは返って、バージンパルプの普通紙よりも環境破壊につながってしまう。
その点 白色度70%以下ならば、見てくれは悪いが、
地球に優しいのだ(もちろん、廃棄物ゼロ・無公害というわけにはいかないけど…)。


出版物をよく見ればわかるように、真っ白な紙に真っ黒な印刷というのはない。
コントラストが、目にキツイからだ。
だから通常、白色度の低い紙に、グレーが混じった黒インクで印刷されている。
つまり、白色度70%以下のコピー用紙は、人(の目)にも優しい紙なのだ。


最近では、行政機関などでも使用されていているが、
1990年代、白色度70%以下のコピー用紙はあまり流通してなくて、むしろコスト高だった。
一部の企業や人びとが環境に対するコストを払い続けたことで、
白色度70%以下のコピー用紙が採算ベースに乗り、流通するようになった。


話しが長くなったけど、きょうの本題。
年賀状のエコ偽装について。


「再生紙」と表示されてる年賀状の白色度は知らないが、バージンパルプ並の白さに見える。
これ自体意味がないのに、古紙の配合率まで偽装していたのだから救いようがない。
環境に配慮どころか破壊していた、といっても過言じゃない。


偽装した製紙メーカーは、「地球のため、人類のため」と願い込めてエコハガキを購入した人たちに、
どういう釈明をするつもりなのだろうか?
事ここに至れば、僕らが再生紙を利用する際は「白色度」を意識すべきだし、
メディアも「白色度」について取りあげてほしいと思うのだけど…。