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佐野元春というミュージシャンは、風変わりな人なんだろう。
新作アルバムをリリースして2年ほど経って、
ようやくその作品をフィーチャーしたツアーをおこなっている。
しかもその『 COYOTE 』アルバムは、
佐野さんのシンガー・ソングライターとしてのひとつの到達点といっていいほど
完成度が高く、商業的にも成功を収めたのにだ。
結局、すぐれた音楽や文学、絵画には、説明しがたい香気がある。
鑑賞している者を精神の高みへ誘ってくれるだけでなく、官能的でさえある。
高い意味での「ぬめり」といっていい。
誰もがそれを植物であるか合成樹脂製であるかを見わけるのに、
ちょっとさわってみる。
ぬめりを感じて生物であることにハッとするように、
すぐれた芸術作品であるか否かを見るのは、この操作だけでいい。
音楽においては、生の演奏を聴くとがこれに当たる。
佐野さんの作品は、僕はティーンのころから1曲のこらず聴いてきた。
歴代のツアーにも数多く参加した。
上記の点で、つねに稀有な名作の密度と香気を感じてきたのだけど、
今回の COYOTE Live House Tour においてそのことが圧倒的だった。
素晴らしいライヴ・パフォーマンスを見せてもらったお礼を、
まず佐野さんとその若いバンドにいわなければならない。