なぜなら、僕には、僕たちには「土蜘蛛の会」があるからだ。
この会は、何の気なしにスタートした。
能研の後輩が実家の料亭を継ぐために帰阪した。
1993年、彼へのエールと冷やかしのために、
30名ほどのメンバーが集まった。
以来、毎年欠かさず場所を変え、
今年で22回目を迎えることになった。
「土蜘蛛の会」という名称は、牧野先輩が名付けた。
牧野さんは第1回大阪大会には参加されていなかったのだけど、
案内葉書の返信欄に「名称は土蜘蛛の会にすべし!」と記してあった。
現役時代「拳王様」と後輩のみならず先輩からも恐れられていた牧野さんの提案に、
一も二もなく全員が賛同した。
毎年、下見と称しては集まって盃を交わし、
前夜祭とおどけて前入りし、
最近では後夜祭と言い訳して飲み明かす。
20年以上も続いているから、同窓会のようなノスタルジーはない。
今も、あのころのように能研の仲間としてつき合っている。
スタート当初20代だった僕らも不惑を迎え、
飲み方も遊び方もずいぶん変わった。
それでも年に1度のこの会を、僕は楽しみにしている。
50周年記念誌へ寄稿したほとんどの皆さんが、
能楽のことじゃなく、能研の友情について書いていると思う。
そういう意味では、僕のこの寄稿も one of them で、面白味がないだろう。
後輩諸君に何か気の利いたメッセージをおくりたかったのだけど、
結局ありふれたことしか言えない。
能研の出会いを大切に!
TSUCHIGUMO goes on!
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