「お、動いた!」小さくふくらんだお腹に手を当て、翔子は夫のカナオとともに、子を身籠った幸せを噛みしめていた。
しかし、そんなどこにでもいるふたりを突如として襲う悲劇──初めての子供の死をきっかけに、翔子は精神の均衡
を少しずつ崩していく。
困難に直面しながら、一つずつ一緒に乗り越えていくふたりの10年にわたる軌跡を、『ハッシュ!』以来6年ぶりに
メガホンをとる稀代の才能・橋口亮輔が人間の悪意が次々と顕在化していった9・11以降の世界、
そこで彼は、日本社会が大きく変質したバブル崩壊後の90年代初頭に立ち返り、自らの人生と世界を重ね合わせ
、「人はどうすれば希望を持てるのか?」を検証したと言う。
彼が導き出した答えは、「希望は人と人との間にある」ということ。
そうやって苦しみを乗り越えた実体験を反映させ、橋口亮輔はささやかな日常の中にある希望の光を、
1シーン1シーンをいつくしむ丁寧な演出で浮き上がらせる。6年ぶりの復活作は、観た後もずっと心の中に
大切にとどまり続ける、いとおしさにあふれた名作になった。
どこまでもやさしく、ときに笑いをまじえながら感動的に描きだす。
僕は一生、団地の中だけで生きていく。
12歳の春、渡会悟(濱田岳)の一大決心は母の日奈(大塚寧々)を始め、周囲を仰天させる。
賑やかな団地には、肉屋から魚屋、理髪店、衣料品店など何でも揃っている。
外出する用事は、団地の敷地内だけで充分。
初恋も、親友も、何だって団地の中だけで済ますことができる。
団地の中のケーキ屋に就職し、同級生の緒方早紀(倉科カナ)と婚約。
団地の中だけの生活を謳歌してゆく悟だったが、いつしか団地で暮らす友人たちは、
1人、また1人と悟の前から去ってゆく。本当はみんな知っている。
なぜ悟が団地から出ないのか。
果たして、悟が団地から出なくなった本当の理由とは何なのか?
彼が団地の外に一歩踏み出す日は来るのだろうか……?
伊坂幸太郎の著作を数多く手がけることで知られる中村義洋監督が、第1回パピルス新人賞
に輝いた久保寺健彦の同名小説を映画化したヒューマンドラマ。
「I am ICHIHASHI 逮捕されるまで」
イギリス人女性を殺害し、捜査員の追跡をかわして2007年3月から2年7か月に及ぶ逃亡生活を送った
殺人犯・市橋達也の手記を基に映画化した衝撃の実録ドラマ。
死亡説や女装潜伏説といった憶測が世間に広まる中、名前や姿を変えながら千葉から青森など日本中
を転々とした市橋の逃亡生活をたどる。
監督を、台湾で活動する日本人俳優のディーン・フジオカが務め、自ら市橋を熱演。市橋が3年近くも捕
まらずに逃げることができた理由や、市橋自身が明かした逃亡生活の中身が赤裸々につづられる。
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