喫煙を考える

「喫煙」という行為について共に考えましょう。
タバコで苦しむのは、喫煙者本人だけではありません。

歯周病とタバコ

2016-10-22 18:01:51 | 喫煙を考える

私の楽しみのうちの一つは、歯科で定期的なチェックとクリーニングを受けることです。
クリーニング後の歯は食品による着色汚れも取れて輝きを増し
歯の裏側もツルツルになり、普段より口の中がさっぱりした感じがします。
個人的には、美容院に行くより、歯科に行く方がウキウキします
これは自慢ですが、私は普段の口内管理がとても良いと歯科医から信頼されていて
半年に一度のチェックとクリーニングで大丈夫と言われています。
予定ですと来月施術なのですが、1か月早めて、昨日かかりつけの歯科に行きました。


歯科衛生士さんによる施術も終わり、歯科医のチェックも終わって、タバコの話題になりました。
かかりつけの歯科の先生によると、治療もしているしケアもしているのに
全然良くならない歯周病の患者さんがいて、どうしてだろうと考えると、タバコを吸っているからだと。
タバコをやめるように言っても、タバコをやめれば歯周病が良くなると話しても
それでもタバコをやめられない患者さんがいて、そうした人は歯周病が治らないのだそうです。
患者さんの中には、タバコをやめない理由として
「人は人、自分は自分」というようなことをおっしゃる方もいるのだとか。
歯科衛生士さんのご家族でさえもタバコを吸っていて
タバコをやめてもらえなくて、とても困っているそうです。
「本当に、タバコをやめてもらいたいのですけれど、やめられないんですね」
先生も、本当に困っていらっしゃいました。
日本臨床歯周病学会のホームページによると
歯周病にかかる危険は1日10本以上喫煙すると5.4倍に、10年以上吸っていると4.3倍に上昇し
また重症化しやすくなると、ある統計データでは出ているそうです。
禁煙することで、この危険性が下がっていくことも、研究の結果わかっており
「歯周病にかかりやすさ」は4割も減るとのこと。
タバコをやめれば歯周病が治るとわかっていても、タバコをやめられないのはなぜでしょうか。 



ニコチンの依存性は麻薬並みだと言われています。
タバコをやめたくてもやめられないのは、ニコチン依存症のためで、れっきとした病気です。
現在は、治療に有効な薬が開発されて、禁煙外来での禁煙成功率は70%に上ります。
タバコをやめたい方は、ぜひ、禁煙外来での治療をお勧めします。
しかし、問題なのは「人は人、自分は自分」「自分の歯だから自分の勝手」と考えている喫煙者の方です。
でも、本当に「人は人、自分は自分」「自分の歯だから自分の勝手」なのでしょうか。
私の亡父は喫煙者でした。
父も、「俺は誰にも迷惑をかけていない」「タバコと酒で死ねるなら本望だ」
「自分で自分の始末をつける」と、タバコ病が発病する前は豪語していました。
しかし、実際はどうでしょう。
タバコを吸うことで、周囲の人間を受動喫煙・三次喫煙に巻き込み
実際に自分がタバコ病になったら、タバコのせいだと私に指摘されることを恐れたのか
COPDであることを家族に隠していました。
病気が悪化した時は、自分で靴の紐を結ぶことも、服のボタンを掛けることもできないほど弱ってしまい
「自分で自分の始末をつける」ことなどできない状態でした。
そして、「自業自得かも」と手紙に書き残し、家族に看取られて亡くなったのです。
たとえそれが自分の身体であっても、共に暮らす家族には多大な影響を与える行為があり
喫煙はその最たるものだと言えるでしょう。
歯周病は全身の病気の原因になるだけでなく、QOL(生活の質)の低下を招きます。
生活習慣病になったら、それを看護するのは誰でしょう。
病気のみならず、死に直面した時、それを支えてくれるのは誰でしょう。
家族や、身近にいる人々にほかなりません。
一人で吸って、一人で死ぬことができないなら、結局は誰かのお世話になるのです。
その、最も身近にいる大切な誰かを、心身ともに苦しめる行為が喫煙なのです。 


歯科での出来事を元喫煙者の夫に話したところ、夫が恐ろしいことを言っています。
「後で後悔することになっても、タバコさえ吸えればそんなの平気さ。
 自分の歯がなくなって入れ歯になったとしても、入れ歯でタバコを吸えばいいんだよ。
 全身の病気の原因ですよって言われても、今そうじゃないから実感なんて全然ないし。
 その時はその時さ。
 自分の身体と引き換えにタバコを吸えるんだったら、自分の身体なんてどうなってもいいんだ
 っていうのが、『自分は自分』と考える喫煙者の本音じゃない?
 喫煙が自分だけの問題だと思っているからそうなるんだよ。」
喫煙者はニコチンの依存性にはまって、自分の身体を代償にしてまでもニコチンを求めるものなのでしょうか。
だとしたら、喫煙者の健康や喫煙者の身体のことを考えてのアドバイスは
あまり効果がないと考えられます。
そうなると、大切なのは、喫煙は他者に危害を及ぼす、ということを認識してもらうしかありませんが
父のように「俺は誰にも迷惑はかけていない」「俺のどこが迷惑だっていうんだ」と喫煙者は言うのでしょうか。
それもこれもニコチンが、他者のことを考えられなくなるようにしているのでしょうか。


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