当山の毎年5月の山門大施食会では、
いつもかならずO老師にご法話をしていただいていました。
O老師は、拙寺以外でも多方面でお話をされており、
仏教用語ではない日常の言葉によってわかりやすく生き方を説き、
そしてその場で聞く人たちを生き生きとさせていました。
幼いころから他のお寺さんにもお邪魔することがあった私は、
老師のお話を毎年、年に何度も聞いていました。
ご法話中に会場内を歩き回ったり、檀信徒に問いかけたりしながら、
ただ、お話の内容はどこに行っても大きくは変わりません。
自作の歌が始まるとそろそろお話が終わります。
そんな老師にお話のコツをお伺いする機会がありました。
さまざまな思いをもってお話をさせていることを知り、
「年配の人には大きな声でハッキリとね、
話の内容は言いたいことを汲んでくれるから大丈夫。
むしろ若い人、会場で一番若い人が分かるようにと心がけよう」
などと教わりました。
そのO老師が先日遷化され、多くの檀信徒、
ご法話のご縁があった方々と共にご葬儀が営まれました。
自分自身、老師からの教えが達成できたとは言いきれず
いただいたものはすべて遺誡となってしまいましたが。
いま、お話をさせていただく機会を頂戴するようにもなりましたが、
きっとこれからも背中から見守ってくださっていると思って、
O老師の遺誡を胸に、お勤めをさせていただければと思っています。
(ご本葬前日の準備中)