☆[緊急]第73回「かけがえのない人を失う前に(自殺のサインに気づき、どう寄り添うか)」☆
三浦春馬さん(30)から、芦名星さん(36)、ファンだった竹内結子さん(40)と津野米咲さん(29)と、自ら命をたつ芸能人がいます。この一連のことで、以前、大学卒業後に、大切な友人を失くしたことも思いおこされました。どうして気づかなかったんだろうと。
さて、メンタルヘルス(こころの健康)の分野では、エビデンス・ベースト・メディスン(Evidence-Based Medicine: EBM 「科学的根拠に基づく医療」)が進展しており、うつ病などから自殺につらなる対処法がさまざまな医療機関から、発表されています。
今回は、コロナ禍の緊急状況ではないかと考え、オーストラリアでスタートし、今では全世界に普及している「メンタルヘルス・ファーストエイド(こころの応急処置マニュアル)第4版2018年発刊」を参考にしながら、そのサインにどう気づき、どう寄り添ったらいいかを考えてみましょう。
【自殺が思い当たる人に、言ってはいけないこと、やってはいけないこと】
- 思い当たる人と「自殺の考え」について議論をすること
- 自殺が良いか、悪いかについて議論すること
- 自殺をしないように、罪悪感をもたせたり脅したりすること。たとえば、「地獄に行くよ」とか「もし死んだら、家族などの生活が壊されちゃうよ」
- 自殺願望者の問題を、軽く扱うこと
- 安心させるために、表面的なことばでなぐさめること。たとえば、「心配ないよ」、「がんばれ」、「すべてがうまく行くって」
- あなた自身の話で、相手の話をさえぎること
- 身振りや表情で興味ないよとか、ネガティブな態度でコミュニケーションをとること
- 彼(女)の話を、はったりだと思って、「じゃ、やってみたら」と言うこと
- あなたは、こころの病なんだから、と病気の診断をくだすように言うこと
自殺願望者の重要なサインは、つぎのようなことが言われています。
☆ 自分を傷つけようとしたり、自殺しようとする兆候が見える。
★ 自殺する方法を探しだす:たとえば、薬とか自殺の具体的な方法
☆ 死、自殺やそれについて話したり、書いたりする。
★ 希望がなくなる。絶望する。
☆ 激しい怒りや復讐にかられる。
★ なんの考えもなしに、むちゃをやったり、危険なことにかかわる。
☆ 出口が見えず、活路がふさがれたように、何かにハマって身動きできないように感じる。
★ アルコールやくすりの量が増える。
☆ 友達、家族、社会から離れてひきこもる。
★ 不安、イライラ、眠れないか四六時中起きている。
☆ 気分が急に、大きく変化する(たとえば、うつの気分が突然改善するなど)
★ 生きる理由をなくす、人生の目的意識がなくなる。
【どう寄り添うか?】
では、どのように寄り添ったらいいのでしょうか。
まず、どうアプローチするか、です。
もし、誰かが自殺を考えているようだと思ったら、すぐに行動を起こしてください。
たとえ、「自殺なのかどうかな?」と疑問に思ったとしても。
「ちょっと心配しているんだ」と近づいて話を始めましょう。
あなたが気になった、彼(女)の行動について、話してみましょう。
でも、もし相手が、あなたと話したくない、と言ったら、それ以上ムリに話は進めずに、誰か身近にいるほかの人を探して、手助けを願った方がいいです。
自殺を考えているような相手には、はっきりとそのことを聞くことが防止に効果があります。
相手が黙っていても、そのことを知るには、自殺を考えているか、聞くことです。
「自殺のことを考えていますか?」
「自殺したいと思っていますか?」と。
大事なのは、あなたが、相手のことを心にかけていることを、言葉でちゃんと聞くことです。
ゆめゆめ、
「あなたは、そんなバカなことを考えていないでしょうね」と批判的な、指導するような話し方をしてはいけません。
直接自殺について聞くことは、そういった考えを吹き込むことになるんじゃないかと思って、気が進まないと思うかもしれません。
それは正しくありません。
ハッキリ聞いた方が、自殺のリスクが低減するというEBM*があります。
聞いた方が、逆に、彼(女)の抱えている問題について、話しはじめるチャンスにもなるし、こちらが相手を支援をしますよと示すことにもなるからです。
◎◎軽症うつ病発見の簡易テスト(東邦大学医学部心療内科方式による自動判定サイト)
※ メンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)の援助者MHFAiderは、全世界400万人(豪州で100万人)以上。
こころの不調をもっている人たちは、自分からそのことを人に話したり、相談に行くことが難しいため、身近な、周りの人たち(援助者)がその人たちを支援して、初期の段階に早期発見し、専門家への治療へつなげていこうとの考えで、2000年オーストラリアの Betty Kitchener (メンタルヘルス教育家)と Anthony Jorm(メルボルン大学教授、メンタルヘルスリテラシーの提唱者)によって設立されました。
注1)タイトルの写真は、
[左]Standard Mental Health First Aidのテキスト表紙(「メンタルヘルス・ファーストエイド(こころの応急処置マニュアル)第4版2018年発刊」)
[中上] メンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)の実践基本ステップ
ALGEE (A: その人にアプローチをして、回復と悪化の分かれ目(crisis)の評価と支援をします L: 判断せずに、聞くことでコミュニケーションをとります G: 援助と情報を提供します E: 適切な専門的手助けが得られるように励まします E:そのほかのサポートで元気づけます(セルフケアや家族・友人・知人からのサポート)
[中下]
メンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)の適用範囲
<<-(予防)-早期発見・支援―(早期介入・治療)->> 専門家による治療へ
MHFAiderは、医者でもセラピスト(治療者)でもありません。支援をすることを中心に考えます。
[右上]竹内結子(イノセント・デイズの画面から)[右下]津野米咲https://natalie.mu/music/news/97237より
注2)エビデンスの論文*は、Harris KM, Goh MT-T. Is suicide assessment harmful to participants? Findings from a randomized controlled trial. International Journal of Mental Health Nursing 2016
#自殺 #メンタルヘルス #ファーストエイド