☆☆第80 回「自信回復7つの習慣~うつ解消・ヘルスマネジメント(心とからだ)技術(その1)」★☆
さて、コロナも3年目に突入しました。
もし、あなたが今落ちこんだ気持ちをもっていたら、今回以降の話はお役に立てるかもしれません。落ちこんだ気持ちやうつなどの気分や感情を追いはらいたい、こころや身体を健康に保って、心身ともにヘルシーな自分にしたいなと思った人は、ぜひお読みください。
さてヘルシーな自分にするには、どうしたらよいでしょうか。今までの習慣を、エビデンス(科学的根拠)に基づいた生活習慣に変えれば、それが可能になります。
ウェルビーイング(Well-Being「幸せ・健康」)の先進国オーストラリアのメンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)のセミナー*および最新の栄養理論**(Food&Mood「食べ物と気分」)、これまでの科学的エビデンスをもとに、幸せな健康生活を組み立てていきます。
「自信回復7つの習慣」とは、
第1の習慣●ものごとを分けて、心配ごとを減らす
第2の習慣●変えることができなければ、自分が変わりなさい
第3の習慣●気分をよくする食事をとる
第4の習慣●身体を大事に運動を習慣にする
第5の習慣●睡眠の法則を知ってスマートに実践する
第6の習慣●人生あるがままに、でもちょっとだけいいことをする
第7の習慣●立ち直るための工夫をする
です。
第1と第2の習慣では、心配ごとを減らす工夫を、第3と第4、第5の習慣ではこころに影響を与えている食事、運動、睡眠の最新知見を探検し、第6の習慣では、幸せの健康生活の具体的な行動を、最後の第7の習慣では、すべての習慣を無理なく続けるにはどうしたらよいかについて、さまざまな知恵を絞ります。
ではさっそく、「第一の習慣●ものごとを分けて、心配ごとを減らす」に行きましょう。
ものごとを分けるには、①自分のできることとできないことを分ける、②自分の思いをちょっと遠くから離れてながめてみる、ことです。
①自分のできることとできないことを分ける
タイトルの右側の絵をご覧ください。円の外側に、「自分ではどうにもコントロールできないこと'I CANNOT CONTROL'」を書きだします。
たとえば、病気・災害・コロナの流行、他人の行動や幸福、将来の予測、ガソリンの価格、この状況がどのくらい続くだろう、他人がどう反応するか、などです。これは、自分ではどうにもコントロール(調整)できません。
「自分ではどうにもコントロールできないこと」の場合、「自分はこれらのことをそのままにして、ほおっておきます。'So, I can LET GO of these things'」
つぎに、「自分でコントロールできること'I CAN CONTROL'」を書きだします。
たとえば、マスク・手洗い・3密回避、ソーシャルディスタンスを自分で保とう、テレビやSNSの利用を制限しよう、家で面白いことを見つけよう、どのように他人に接するか、などです。これは自分でコントロール(調整)しようと思えば、できます。
「自分でコントロールできること」ですので、「自分はこれらのことに集中します。'I will focus on these things」
自分でコントロールできることとできないことを分けて、できることに専念すると、心配ごとが減ってきます。
②自分の思いをちょっと離れてながめてみる
何かに失敗して、「自分はダメだ」と思うことがあるでしょう。そのときに、「自分はダメだと本当に信じてますか?」と自分に問いかけます。そうすると、「そうでもないね、他人が言ってるだけじゃない?」、「今はダメかもしれないけど、ダメでなかったときもあるよ」、もしかしたら「自分はダメだと思ってるだけ」かもしれない。
そうです。わたしたちは、しばしば、「自分の(ダメだという)思い」と「自分が直接経験してきた世界」をくっつけて、混同してしまいがちです。生れてから、少しづつ言葉を学んできて、直接経験した世界とは別の世界、つまり「言葉の世界」にとらわれてしまいます。「自分の思い」と「直接経験してきた世界」の差があまりなくなってしまい、疑問ももたず、自動的に、「自分はダメ」な人間だと思ってしまうのです。
そこで、こう考えます。
「自分がダメだと思っている」んだなあ。いいや、「自分がダメだと思っている自分がいるんだなあ」と、自分を遠くからはなれてみる自分に気づくことができるでしょう。
具体的な方法としては、「言葉のくりかえし」や「葉っぱに思いをのせて流す」などがあります。
「言葉のくりかえし」は、たとえば、「自分はダメだ」という言葉に、身体やこころが異常反応する場合、「ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、、、、、」と早口で声に出したり、わざとゆっくり「ダ~メ、ダ~メ、ダ~メ、、、、、」と大きな声で繰り返します。つぎに、「ダメ」の当て字を漢字で考えたり、ダジャレを言います。たとえば、「駄飴(だあめ)」とか「だあ~れ?」など、すこしふざけて、ダメという言葉に自分を慣れさせます。いろいろな言葉を口にだして、笑いがでてきたらこちらのものです。
「葉っぱに思いをのせて流す」は、座ってもいいしベッドに横になってもいいし、リラックスした姿勢をとります。そして、目を閉じます。小さい頃に遊んだ川があれば、その川原に座って川を眺める自分をイメージします。その川に葉っぱが流れてきます。一枚、二枚、三枚と。自分が今考えていることや感じていることを、その流れてくる葉っぱにのせます。幸せなことでも悲しいことでも、ポジティブなことでもネガティブなことでも、その思いをその葉っぱにのせます。いろいろな思いを葉っぱにのせ続けます。もし、その川を流れる葉っぱのイメージが途切れたり、いろんな思いが乱されたり、思いが出てこなくなったりしたときは、最初のリラックスした状態に戻り、初めからやり直します。
たとえば、「自分はダメな人間だ」→葉っぱにのせる、「どうしてなんだろう」→葉っぱにのせる、「でもそんなに駄目じゃないよな」→葉っぱにのせる、「何でこんなこと考えてるんだろう」→葉っぱにのせる、「無駄じゃないの」→葉っぱにのせる、、、、、、。
5分前後やってみるのがいいでしょう。川の自然な流れに、葉っぱが流れていくのをただ眺めます。
すこしこころが軽くなりませんか。
次回は、「第二の習慣●変えることができなければ、自分が変わりなさい」です。
【Note注】
*メンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)のセミナー*(2021年10月8日開催facilitated by Dr. Michael Carr-Gregg)
** 最新の栄養理論(Food&Mood「食べ物と気分」)は、
The Food & Mood Centre at Deakin University(英語)
【参考】
Russell Harris (2006), Embracing Your Demons: an Overview of Acceptance and
Commitment Therapy, Psychotherapy in Australia, Vol.12 No4, pp.2-8
Russell Harris (2011), The Confidence Gap: A Guide to Overcoming Fear and Self-Doubt, Trumpeter
ラス・ハリス(2021)『自信がなくても行動すれば自信はあとからついてくる ――マインドフルネスと心理療法ACTで人生が変わる』筑摩書房
Mental Health First Aider (メンタルヘルス=こころの健康実践援助家)より