ちょっとできてよかった。

心に響いたことを記録してみました。

ムクドリと私の奮闘記

2023-05-17 21:45:10 | 日記

怒濤のようなゴールデンウイークが終わって、ほっと一息ついて、

その疲れも靴ずれも癒えた頃、また怒濤がやってきました。

 

屋根裏にムクドリが巣を作って、子育て中です。

そこから、ヒナが落ちてきました。

 

こういうとき、獣医さんや都道府県の担当者に連絡すると、「自然のままに」とは、よくある話です。

猫やカラスや蛇が見つければ、彼らのお腹を満たして、命をつなぐでしょう。

 

では、それが人間だったら?

無関心、見て見ぬふり、自分の物にしたい所有欲、助けたい等々、

いろんな気持ちも、それを持つ人間の存在もまた、自然の一部ではないかと思うのです。

 

私は鳥が好きで、鳥らしく生きてほしいと願う人間なので、

そんな人間がヒナを見つけたので、なんとか巣に戻すことにしました。

 

とはいえ、巣は二階の三角屋根の頂点の内側。その下は絶壁。どうしたものか。

 

ヒナは、羽も生え変わっていて、少し飛べそうなくらい育っています。

とりあえず、地面から手の届く高さの木の上に、移動させました。

 

 

1時間くらい様子を見ていても、飛び立ちそうにありません。

巣の手前にある電線まで送り届けたら、飛ぶかな?

 

一階の屋根に上って、物干し竿をその電線に伸ばしてみます。竿は届きました。

が、竿は太すぎて、ツルツルしていて、ヒナの足でつかめません。

 

次に長いもの。9尺の立てすはどう?

うんせ、うんせ、と屋根に運んだけれど、電線に届かない。

 

剪定して乾かしておいた2mくらいの棒は、ヒナが止まりやすい質と太さです。

ヒナを先端にのせて、屋根の端から、棒を持った腕を伸ばして、届いた!

 

でも、ヒナがなかなか電線に移動しません。

親鳥が、ガーガー騒ぎながら、近くで見守っています。

近くに住むスズメ夫婦まで、何事かと見ています。

その中で、「早く移動して・・・」、私の腕がぷるぷるしてきました。

 

すると、ヒナは、巣とは反対方向に飛んで行ってしまいました。

・・・逆・・・

母鳥が後から追いかけて行ったので、あとは任せることにしました。

もう、うちの敷地ではないから、どうすることもできません。

 

母鳥に誘導されて帰ってくるかもしれないし、

茂みに落ちて残念なことになってしまうかもしれない。

考え出したら切りがなくて、また自分を責めてしまいそうになったので、

「精一杯、できることはした」とつぶやいておきました。

 

また、うんせ、うんせ、と立てすを下ろし、片づけて、

「ふー、やれやれ」

 

と思ったら、次の日、またヒナが落ちていました。

また!? おとん、おかん、頼むで~

 

昨日とは違う、もっと幼いヒナで、頭の上にまだ産毛が残っています。

もちろん、飛べそうにありません。

 

うちのにゃんこに見つかると危険なので、洗濯かごに入れて、

ネットで情報収集して、ごはんをあげました。

幸い、畑にはヨトウムシがうようよいるので、いいごはんになりました。

 

 

昨日と同じ方法を試してみましたが、棒の先から落ちてしまいました。

やっぱりまだ全然飛べないようです。

 

庭の松の木に巣箱を設置して、「別宅」で親鳥に子育てしてもらうことにしました。

家にあった材料で、巣箱を作りました。

ノコギリ、ねじ回し、トンカチ、普段使わない筋肉を使って、明日絶対に筋肉痛だろうな。

 

材料は、贈答用梅干しの箱3つ。適当な、短めの釘とねじ。

調べてたら、ムクドリ用の巣は、入口が直径5.5cmだそうで。

丸く切る道具がないので、真ん中の箱の壁を5・5cm切りました。

 

 

出来上がってから、いきなり箱にヒナを入れても、親鳥がそこにヒナがいると認識してもらえるかわからないな、と思ったので、木の入れ物をまず、設置しました。

これも、どう置いたら水平になるのか試行錯誤して、なんとかできました。

 

ヒナをそこに入れると、ヒナが勢いよく鳴いて、木の枝を移動しながら親鳥を呼びます。

ヒナを探していた親鳥は、ほどなくヒナを発見してくれました。

 

よかった、と思ったら、ヒナが巣に向かって飛ぼうとして、地面に落ちてしまいます。

ヒナがじっとしていないなら、「別宅で子育て」作戦は成立しません。

巣箱は、せっかく作ったけど、使い道がなくなってしまいました。

 

再び、どうしたものか。

 

家にある一番長いはしご(祖父作の木製。重い)を、うんせ、うんせ、と運んできましたが、やっぱり1階の高さまでしかありませんでした。

また、うんせ、うんせ、と元の位置に戻しました。

 

そうだ。物干し竿の先に、2mの棒をくくりつけて、巣に戻してみよう。

ひもでは不安定だから、ガムテープでぐるぐる巻きにして。

試してみると、1階の屋根から巣に届く!

 

ヒナを棒の先に乗せて、落とさないように、手を持ち替えるときに揺れないように、

慎重に、慎重に。

物干し竿って結構重い。けれど、ゆっくり、ゆっくり・・・届いた!

 

またヒナがなかなか移動してくれません。怖いものね。

頼む・・・また腕がぷるぷるしてきた・・・

 

そしてついに、ヒナが梁に移動してくれました。

まだおしりが見えていて、そこがどんな構造でどう巣を作っているのかわからないけど、あとは親鳥に任せることにしました。

しばらくするとおしりも見えなくなり、ヒナも落ちてこなくて、巣に戻れたようです。

 

ああ、よかった・・・

疲れた。他のことは、人間のごはんも、そっちのけ。

かわいかったなあ。

けれど、こんな「不幸」は手放したいな、と思いました。

 

 

1回巣から落ちたヒナは、また落ちる可能性があるらしいです。

翌日、母鳥が地面の方を見ながら、ガーガー騒いでいるので、もしや、と思ったら・・・

やっぱり、いた! またまた落ちてた!

 

拾ってみると、昨日と同じくらいの成長度だけど、別のヒナのよう。

顔や毛色が違う。3羽目・・・

 

 

またとりあえず洗濯かごにいれて、余っていたヨトウムシをあげました。

虫をつかんだ箸をもっていくと、ぱくぱく食べてくれます。かわいい。

 

昨日成功した方法を、再び試しました。

けれど、ヒナが巣の手前で飛ぼうとしたり、梁に移動してもまた落ちてきたり、なかなかうまくいきません。

 

雨が降ってきて、日が暮れてきたので、翌日試すことにしました。

風と雨と暗さで、私が屋根に上るのが怖いし。

ごはんは大事なので、雨の中畑に出かけ、ヨトウムシを取りました。

そろそろ虫を見つけるのも難しくなってきました。明日こそ、必ず。

 

と思っていたのですが、翌朝、ヒナは亡くなっていました。

 

野生で生きられない子だったのかもしれません。

野生の動物は、そういう子の世話をしない場合があると、聞いたことがあります。

思い返すと、拾った時からしんどそうでした。写真も。

それでも、一生懸命ごはんを食べて、一生懸命生きようとしていました。

よく頑張ったね・・・

短い間だったけど、かわいい姿に、人間の心はほっこりしたよ。ありがとう。

 

ヒナが亡くなった朝、親鳥が必死に鳴いてヒナを探していました。

その様子には心が痛みました。

半日探して返事がなかったので、残りのヒナの子育てに戻っていきました。

もう大丈夫でしょう。(大丈夫であってほしい。私の願望)

 

そうして、ようやく、怒濤が終わりました。

ブログを書く時間と余裕もできました。

ムクドリ、私、お疲れ様。

 

 

ブログを書けてよかった。

 



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