東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

誰にも教えたくないリスアカネの産卵撮影術

2022年09月21日 | トンボ
羽化の撮影をしたリスアカネが最盛期を迎える頃だと思い、開拓した秘密の生息湿地に入ってみた。

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
トンボの写真も大事だけれど環境写真は更に重要なので、フィールドに訪れたら必ず撮影しておこう。ここはウェーダー必需なのでトンボ撮影初心者には向かない場所。

リスアカネ(連結産卵)

Nikon D810+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
暫くすると樹上からペアが湿地に飛来して産卵を開始。

特に決まった産卵場所は無く、湿地の縁上でホバリングを繰り返しながら至る所にばらまく、数打ちゃ当たるスタイル。

Nikon D810+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
マクロや広角レンズ使用前提で連結産卵を撮影する場合は、オスが主導権を握っているので、近寄っても逃げない個体の選択が重要。連結態と落下する卵をジャスピンでフレーム内に写し込む技術が、リスアカネの産卵撮影の楽しさ。ただ、動向が読みづらいので、置きピンで合わせながらレンズとトンボを平行にする時間を長く保ちながらシャッターを押し、まぐれ当たりを狙うしか無いのが本音。

リスアカネ ♂

Nikon D810+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
連結産卵から単独産卵に移行すると、オスはホバリングしながらメスを警護するので、その時がオスの飛翔撮影のチャンス。

リスアカネ ♀(単独産卵)

Nikon D810+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
例えるならアンダースローのアーム式のピッチングマシン。ホバリングしながら一定のリズムで瞬間的に腹部を下に打ちつけ卵を飛ばしてばらまく。マクロ域は数ミリずれただけで、ピントが合わない世界なので、一定の場所で滞空時間が長い個体との出会いが必要。また、時期が進むに連れて産卵の時間が短くなるので撮影チャンスが減ってしまうのも事実。1メスにつき、いったい何個産み落としているのか気になるところ。

リスアカネ ♀(オスと同色型のメス)

Nikon D810+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
稀に腹部上面がオスと同じ様に赤化する通称、赤メスも出現するので絶対に見逃せない。今回はマクロレンズ編なので次回は広角レンズ編を予定。今年もあっという間にアカトンボの季節がやってきた。

温暖化等、近年の気象条件による環境変化が著しく、終止符を打つ様な生態に関する書籍や切の無い改訂版、一般に知らされない学会の発表など、自己満やマニアだけの世界は必要が無い時代になっている事を実感している。むしろ、リアルタイムの情報が無料で楽しめるSNSやYouTubeにブログ、もしくは検索すれば直ぐに画像を含めた生態の情報を知る事が出来る時代だ。ただ、一枚の写真を撮るのに費やした時間や技術などの情報が含まれている事が少ないので、この先は生態は勿論、自分なりの撮影技術を含めた記事にしていきたいと思う。

撮影日:9月11日

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