東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

真冬のリュウキュウツヤハナムグリ

2022年02月09日 | 甲虫
擬木柵で昆虫を探していた時、ふと、足元に目を向けると、黒い粒状の物体が見られた。


コレは間違いなくリュウキュウツヤハナムグリの幼虫の糞に違いないと思い、周辺にある常緑樹の林床をチェックしてみると、土壌表層部の一面が大量の糞で埋め尽くされていた事に驚愕。


冬場のリュウキュウツヤハナムグリは、幼虫か土繭で越冬しているので次女と探してみた。


ここはだいぶ食い尽くされてしまったのか、発見した土繭は少数。


日を改めて別の場所を捜索して掘ってみた。


土層部に堆積された糞より下に掘り進めると出てくれた。大小様々な幼虫に土繭までのステージ。

公園の堆肥場でも幼虫を確認しているので順応性に優れているようだ。
幼虫はリリースして土繭は持ち帰り飼育観察をする事にした。

掘った場所は元通りにするのが虫屋の鉄則。


試しに土繭を破ってみると中から出てきたのはグリーンタイプの成虫。

美しい金属光沢に色彩変異が楽しめると言う事もあり人気を呼ぶ。採集に来ていた学生に色彩について聞いたところブラックタイプがレアらしい。言われてみればブラックはあまり見かけない。

昨年の梅雨時期に撮影したブラックタイプのリュウキュウツヤハナムグリ。

2011年頃に大田区東海周辺で確認されてから10年が経過。専門家の調査により国内外来種に指定され、一時期、駆除用のトラップを見かけた時もあった。大田区東海周辺の林床は、ほぼ全域がリュウキュウツヤハナムグリの巣窟となり、世代交代を繰り返す毎に、幼虫から排出された糞が林床の土壌表層部に堆積されている状態にある。ここ数年、港区、目黒区、世田谷区の内陸で成虫を確認したとの報告を耳にする。また、区部から離れた千葉県東金市でも成虫が確認されたとの記事を読み生態系への懸念が止まない。保全生態学研究者による2017年の調査報告書に記載されていた内容からすると、生態系改変や遺伝子攪乱などの恐れがあり、早急に対策が必要との報告が記載されてた。しかし、専門家が懸念していた生態系改変などの影響を記録した新しい調査報告は今のところ無い。
ここからは自分のフィールドワークによる知見だが、林床を糞だらけにされている以外、生態系改変や近縁種との交雑や在来種の減少などと言った生態系を脅やかすような事例は無く、逆に共生のバランスが保たれていると感じている。これはリュウキュウツヤハナムグリよりも以前に侵入したクマゼミにも同じ事が言える。例年、夏になると金属光沢の輝きを放ちながら国道357号線の上空を飛び交い、トウネズミモチの花やブナ科、ニレ科の樹液に数多くの成虫が集まる光景が見られているけど、更にこの先も林床に大量の糞が堆積され続けていく状態にあると思われるが中、幼虫が餌場を失い減少傾向に向かう可能性はあるのだろうか、それとも例年通り大発生を見せるのか、今後の変化に注目したい。

合わせてご閲覧ください。
飼育中のリュウキュウツヤハナムグリ
トウネズミモチに群がる
7月のリュウキュウツヤハナムグリ
樹液場を埋め尽くす
新たな展開
丸太の下で越冬中
樹液より花蜜

撮影日:1月29日、2月5日


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