●絶望的状況に置かれた日本
今の日本は終わっている。
その代表格が「防衛」増税だろう。国家の役割の一つは、インフラの整備や教育など公共事業への投資により、国民生活の向上を図ることである。
国民生活を向上させるためには、この不景気で増税すればさらに不景気が加速するのであり、他の予算を削るのも増税ほどではないにせよ、景気が後退するため、国債発行がベストであろう。
同時に、防衛も国家の役割の一つであるから、国債発行で防衛費を増額してもらいたい。
●公民・歴史教育は日本解体宣言である
この危機をもたらしたのは間違いなく、公民教育であるし、歴史教育である。
まず、日本の公民教科書では、家族や国家、文化とは本質的にどういうものなかのか、国家の役割とは何なのかなどの基本的な事柄が全く書かれない。愛国心や愛郷心、公共の精神についても一切書かれない。改正教育基本法で「我が国と郷土を愛する」や「公共の精神」が明記されてもである。
前回も書いたが、現代の国家は、対外的には軍事力を使用した防衛(ぼうえい)により、その主権と独立を保ち、対内的には公共の秩序を維持し、国民の安全を守るとともに、インフラの整備や教育など公共事業への投資(こうきょうじぎょうへのとうし)により、国民の生活の向上を図り、国民の自由と権利(こくみんのじゆうとけんり)を守ることが重要な役割だと考えられている。
大きく分ければ、防衛、公共の秩序の維持、公共事業への投資、国民の自由と権利の保障の4点が国家の大きな役割といえよう。この4点の中で序列をつけるのであれば、まず国家が存在しなくなれば国家の役割を果たすことは不可能なので、第一に防衛、その次に社会秩序の維持と国民の自由と権利の保護がくるであろう。そして第三に、公共事業への投資がくるだろう。
このような基本的な事柄を知らないまま、政府の役人が育成された結果、国家の役割を全く果たさない政府が生まれたのである。防衛増税などは公民教育が生み出したといっても過言ではない。
このまま行けば、日本国はいずれ世界からの信用を失い、国家承認を受けなくなるであろう。
さらに歴史教育では、もっと本質的な国家解体を実行する。国民的自覚や国家観だけでなく、民族共同体までもを破壊しようとする。
日本の歴史教科書は、神話が書かれない。海外では、激しく進むグローバル化から民族共同体を守るために、自国の神話をかなりの文量で記述し、さらに民族的自覚を高めるために、他国の神話まで教えようというのがスタンダードになっている。最低限、どんな国でも自国の神話を教科書で言えば1単元2ページ以上の分量を使って教えてきた。
その中で、神話が書かれない日本の歴史教科書はきわめて異常なものといえよう。
さらに、教科書のページを進めると、中国大陸が文化などで一番上の国として位置づけられ、その次に韓国、最下位が日本という考え方を教え込まされる。中国大陸で大半の文化ができて、その文化が韓国(朝鮮半島)に伝わり、そして最後に日本に伝わったという嘘物語が展開されている。
実際には、このようなものもあれば、日本から生まれた文化が韓国→中国大陸へと伝わったもの、日本→西欧諸国→中国大陸、中国大陸→日本→韓国など、文化の出現や移り変わりは多種多様であり、とても断定できるものではない。
また、歴史教科書は、本来神話が書かれるべき部分を穴埋めをするために、四大文明なる虚構を教え込み、その中では黄河文明を「中国文明」と表記し、日本に影響を与えた長江文明を抹殺する。
四大文明は、100年前ぐらいに日本や中国大陸で流行した全ての文明は、メソポタミア文明・エジプト文明・インダス文明・黄河文明の亜流(劣化コピーという意味。)であるという説である。
しかし、この学説は直ちに修正をせまられることになった。すぐに中国大陸で黄河文明とは全く別系統の長江文明が発見されるし、日本文明は、四大文明のいずれの影響も受けていないことが分かっている。
それなのに、歴史教科書は、日本文明を隠すとともに、日本文化に影響を与えた単位面積あたりの収穫量の多い稲作を基調とする平和な長江文明を抹殺し、単位面積あたりの収穫量が少ない農業のためにたくさんの奴隷を必要とする野蛮な黄河文明を「中国文明」として長江文明とすり替えている。
さらに、歴史教科書の後半では、日本は中国大陸や韓国への侵略者として描かれる。「侵略」と明言する教科書自体は減ったが、傾向は変わっていない。
特に東京書籍と学び舎は、満州事変と日中戦争を「侵略」と明言してみせるし、今日では完全に嘘だと証明された南京事件の犠牲者数30万人説を連想させる「南京大虐殺」を使う(当時の人口は20万人)。
しかも、東京書籍は、全社の中で唯一『太平洋戦争』を「侵略」と位置付ける。日本のことをできるかぎり悪く書こうとする学び舎でさえ、「侵略」とはしない。それは当然である。他の記事でも書いたが真実は「欧米列強と特亜の日本侵略戦争」なのだから「日本の侵略」であるはずがない(植民地を持たなければ植民地にされるという今よりも圧倒的にひどい弱肉強食の世界の中で日本に植民地を放棄せよとせまったとんでもなハル・ノートを受け入れなければ日本にとって重要な石油資源の輸出を停止するというアメリカ(ルーズベルト)の日本殺害宣言に抵抗し、真珠湾に軍事的に反撃したことにより始まった。敗北という結果にはなかったが、日本滅亡を防ぐことはできた→太平洋戦争)。
だから、日本の悪行を捏造するのが限度であるはずである。
本当に東京書籍はおかしな教科書である。
話がそれたが、こうして日本人は、公民教育では、国家観と国民的自覚を奪われ、歴史教育では民族的自覚と誇りを奪われる。これが、防衛「増税」などという「国家の役割を果たす気はない」と宣言したに等しいアホみたいなことを現実化させ、日本を危機におとしいれているのである。
●危機を脱するには...学習指導要領の改訂あるのみ
このように危機的状況に置かれた日本を復興させるには、もはや学習指導要領の改訂しかない。歴史教育の改善は最終的な解決を意味するが、現実問題の改善には全く意味をなさない。
そこで、今回は公民教育を中心にさまざまな改善を提案する。
まず、国家論の教育である。
国家には、決まった範囲の領土(りょうど)があって、その周りに領海(りょうかい)を持ち、それらの上に領空(りょうくう)を持つ。これが国家の領域(りょういき)である。
領域の中にはそこで生活する人々がおり、この人々が国家を運営する主体となる。これが国民(こくみん)である。
国家が、領域や国民を支配する権利を、統治権(とうちけん)といい、これが対外的に独立し、どの国の干渉も受けないようになると、国家主権(こっかしゅけん)となり、主権を持つ主権国家(独立国)となる。
この主権、領域、国民が国家の三要素(こっかのさんようそ)である。領域や国民がなければ、国家が成立しないのは分かるだろう。では、主権はどうだろうか。
主権を持たない国家は、どこかの国に属するか、他国の影響を強く受ける傀儡国家(かいらいこっか)になるしか、選択肢がない。このような場合、当然、現地の国民の意思や利益が尊重されるわけがなく、現代の国家は、この主権を持ち、かつ独立し、主権と独立を守ることが重要である。
このような現代の国家は、対外的には軍事力を使用した防衛(ぼうえい)により、その主権と独立を保ち、対内的には公共の秩序を維持し、国民の安全を守るとともに、インフラの整備や教育など公共事業への投資(こうきょうじぎょうへのとうし)により、国民の生活の向上を図り、国民の自由と権利(こくみんのじゆうとけんり)を守ることが重要な役割だと考えられている。
これらの役割を担うのが、国会や、内閣、裁判所などの国の機関である。例えば、防衛省や自衛隊は、このうちの防衛を担っている。警察は国内の秩序の維持を担っている。裁判所は、国内の秩序の維持と国民の自由と権利を守る役割を担っている。
国家は、これらの役割を限られた時間で果たすために、できるかぎり合意に努める。これが政治である。ただし、限られた時間で対立を解消しきれず、合意に達しない場合は、権力による強制も避けられない。この権力が、政治権力である。
政治権力は、一見すると、国家による一方的な強制力のようにも見えるが、実は国民がその政治権力を承認しているから成立しているのである。国民の承認がない政治権力は、歴史上いくつか存在してきたが、例外なく、その国家は消滅している。国民の承認がなければ、政治権力を維持することは不可能なのである。
上記の国家論は極めて簡単なものであるが、これさえも教えられなければ、国会や内閣、裁判所について教えても理解できるはずがないだろう。
国家論を公民教科書に記述させるためには、中学校学習指導要領「人間の尊重についての考え方を,基本的人権を中心に深め,法の意義を理解すること。」などと記す前に、「国家についての考え方を,国家の機能を中心に理解を深め,国家の意義を理解すること。」と明記する必要がある。
解説書では、上記の指導要領改訂ができた場合は改訂時に追加した上記の内容に関連づけて「アの(ア)のについて国家についての考え方を,国家の成立と役割を中心に理解を深め,国家の意義を理解することについては,弥生時代における国家の成立から扱い,防衛,社会秩序の維持,社会資本の整備,国民の自由と権利の保障が国家の役割であることなど,国家の機能について理解を深めるようにすることが大切である。」と記す必要がある。
指導要領の改訂ができなくとも、「民主的な社会生活を営むためには,法に基づく政治が大切であることを理解すること。」などに関連付けて「国家の機能について触れ,国家の意義を理解できるようにすることが必要である。」と明記する必要がある。
続けて、家族論の教育が必要である。
家族は、男女の愛と尊敬から始まる集団の中で最も小さな共同体(きょうどうたい)であり、団らんの中で安らぎを得るなど、いこいの場としての性格を有するとともに、子を生み、愛情や道徳を教えながら育てるなど、人間形成の場としての性格を有し、ともに生活することで、信じ合い、助け合いながら家族の絆(きずな)を深め、祖父母から父母、父母から子という縦のつながりをもつ唯一の集団である。
もう少し掘り下げると、人間形成の場であるために、民法が親の養育・教育に関する義務や権利を定め、また、親には子への懲戒権が認められている。
従来、中学校学習指導要領には「家族や地域社会などの機能を扱い,人間は本来社会的存在であることに着目させ,個人と社会とのかかわりについて考えさせる。」と記載されていた。
ところが、教育基本法が改正されて改めて家族教育の重要性が認知されるようになったはずの平成20年の指導要領の改訂時に傍線部の「家族や地域社会などの機能を扱い」の部分が削除された。
これにより、これまで2単元4ページないし1単元2ページで家族論を展開していた教科書が一気に数行や単語だけとなった。
ただ、現在、学習指導要領の構成が大幅に変更されており、従来のように「家族や地域社会などの機能を扱い」とすることはできない。
ではどうすれば良いのであろうか。「内容の取り扱い」というところに「アの(イ)の「人間は本来社会的存在であること」については,家族や地域社会の機能なども扱うこと。」と規定すれば良いのである。
ちなみに、指導要領解説には、平成20年のときと違って、「家族・家庭の基本的な機能についての理解を深めること...などを目標に掲げる技術・家庭科(家庭分野)と特に関わりが深いことに十分留意して,組織的かつ計画的に学習指導を進めていくことが大切である。」と書かれている。
それなのに、相変わらず、東京書籍・教育出版・日本文教出版は家族論を全く展開しないし、「基礎的な社会集団」とさえしない。帝国書院は、今回記述を悪化させ、家族論を明確には展開しなくなった。わずか8行程度しか家族について書かれなくなった。それでも「基礎的な社会集団」とはする。
育鵬社は、帝国書院ほどではないにせよ、記述を悪化させ、「共同体」としていたものを「基礎的な社会集団」という位置付けに変化させたのである。それでも1単元2ページという分量はある。
結局、自由社ぐらいしか家族論を本格的に展開しているとみなせる教科書はないのだ。この学習指導要領の改訂が実現すれば、必ず、自由社に近い記述が全社で取り入れられるだろう。
また、拉致問題についても記述する必要があるし、領土問題も「固有の領土」の徹底を図る必要がある。
現在は、領土問題は小学校と中学校では「固有の領土」だが、高校の歴史では「固有の領土」という表現が徹底されていない。
拉致問題については規定はないが、中学校の歴史と公民では最後の方でかなり小さく扱われる。領土問題と異なり、拉致問題は中学と高校でまるで状況が違い、高校ではほとんど扱われない。
主権問題がここまで軽く扱われる国がどこにあるだろうか。早急な解決が必要である。
小学校学習指導要領では、6年生の歴史分野で、新たに内容の取り扱いにおいて「アの(ケ)の「廃藩置県や四民平等などの改革」に関連させて,我が国の固有の領土である北方領土に触れるとともに,竹島や尖閣諸島の編入についても触れること。」と書く必要があるだろう。
さらに、同じく6年生の歴史分野で、内容の取り扱いにおいて「アの(サ)については,北朝鮮による日本人拉致問題についても触れること。」と明記する必要がある。なお、「アの(サ)」は、日本国憲法の制定などの戦後史の部分である。
中学校学習指導要領では、領土画定のところにある「北方領土に触れるとともに,竹島や尖閣諸島の編入についても触れること」の前に「我が国の固有の領土である」を加えて「我が国の固有の領土である北方領土に触れるとともに,竹島や尖閣諸島の編入についても触れること」と明記する必要がある。
ちなみに、一度「固有の領土」と書いておけばあとに続く文(すなわち、竹島と尖閣諸島)も検定で「固有の領土」と書くよう求められるので、この書き方で問題ない。
さらに、戦後史の部分では沖縄返還や石油危機などに関連付けて「その際,北朝鮮による日本人拉致問題についても触れること。」と明記する必要がある。
公民の方では、指導要領の規定がしっかりしており、「固有の領土」は徹底されているので、国際社会編の国家主権の部分に関連付けて「「国家主権」については,我が国が,北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向けて努力していることなども取り上げること。」と明記すれば良い。
高校の地理歴史科の歴史総合や、日本史探究、公民科の公共、政治経済についても同様の改正が必要である。
また、これは歴史教育関係だが、神話教育も重要である。
神話教育は、海外ではものすごく進んでいて自国の神話を数十ページで、他国の神話さえも見開きで紹介するのがスタンダードなのに(当然、すべて本文である)、日本ではコラム扱いで分量も少ない。
最低でも「国生み」「国譲り」「天孫降臨」「神武東征」「建国の詔」については単元本文で取り上げる必要がある。
中学校学習指導要領には「日本列島における国家形成」という部分の内容の取り扱いで「古事記,日本書紀,風土記などにまとめられた神話・伝承などの学習を通して,当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせるよう留意すること。」という規定がある。
これに加えて「その際,古事記・日本書紀にまとめられた「国生み(くにうみ)」「国譲り(くにゆずり)」「天孫降臨(てんそんこうりん)」「神武東征(じんむとうせい)」「建国の詔(けんこくのみことのり)」などについても扱うこと。」と規定するべきではないだろうか。
さらに、目標を改善し、もっと本質的に改善する必要がある。
小学校学習指導要領の社会科の目標の「多角的な思考や理解を通して,地域社会に対する誇りと愛情,地域社会の一員としての自覚,我が国の国土と歴史に対する愛情,我が国の将来を担う国民としての自覚,世界の国々の人々と共に生きていくことの大切さについての自覚などを養う。」となっている部分を改正する必要がある。
すなわち、「多角的な思考や理解を通して,地域社会に対する誇りと愛情,地域社会の一員としての自覚,社会の一員として,正義と責任を重んじ,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与することの大切さについての自覚,我が国の国土と歴史に対する誇りと愛情,我が国の将来を担う国民としての自覚,世界の国々の人々と共に生きていくことの大切さについての自覚などを養う。」と改善する。
中学校学習指導要領については社会科の目標から地理・歴史・公民の各分野の目標の全てを、次のとおり改善する必要がある。
社会科(改善前)「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される我が国の国土や歴史に対する愛情,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,他国や他国の文化を尊重することの大切さについての自覚などを深める。」
社会科(改善後)「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される,家族の一員として,家庭生活を尊重し,家族と協力しながら家庭生活を充実させていくことの大切さについての自覚,社会の一員として,正義と責任を重んじ,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与することの大切さについての自覚,我が国の国土や歴史に対する誇りと愛情,我が国の将来を担う国民として,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛し,その発展に寄与することの大切さについての自覚,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,他国や他国の文化を尊重することの大切さについての自覚などを深め,公共の精神を養う。」
地理的分野(改善前)「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される我が国の国土に対する愛情,世界の諸地域の多様な生活文化を尊重しようとすることの大切さについての自覚などを深める。」
地理的分野(改善後)「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される,社会の一員として,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与することの大切さについての自覚,我が国の国土に対する誇りと愛情,我が国の将来を担う国民として,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛し,その発展に寄与することの大切さについての自覚,世界の諸地域の多様な生活文化を尊重しようとすることの大切さについての自覚などを深める。」
歴史的分野(改善前)「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される我が国の歴史に対する愛情,国民としての自覚,国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切さについての自覚などを深め,国際協調の精神を養う。」
歴史的分野(改善後)「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される,社会の一員として,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与することの大切さについての自覚,我が国の歴史に対する誇りと愛情,国民としての自覚,国家及び社会並びに文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在に伝わる文化遺産を尊重しようとすることの大切さについての自覚,我が国の将来を担う国民として,伝統と文化を尊重し,それらを育んできた我が国と郷土を愛し,その発展に寄与することの大切さについての自覚などを深め,公共の精神と国際協調の精神を養う。」
公民的分野(改善前)「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,各国が相互に主権を尊重し,各国民が協力し合うことの大切さについての自覚などを深める。」
公民的分野(改善後)「多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵(かん)養される,家族の一員として,家庭生活を尊重し,家族と協力しながら家庭生活を充実させていくことの大切さについての自覚,社会の一員として,正義と責任を重んじ,主体的に社会の形成に参画し,その発展に寄与することの大切さについての自覚,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図り文化を高めることや,各国が相互に主権を尊重し,各国民が協力し合うことの大切さについての自覚などを深める。」
高校の地理歴史科の目標については、中学の地理的分野と歴史的分野を合わせたもの、地理総合と地理探究の目標については中学の地理的分野、歴史総合と日本史探究と世界史探究の目標については中学の歴史的分野、公民科の目標と公共・倫理・政治経済の目標については中学の公民的分野と同じように改善する必要があろう。
●論争がある事件を本文で「断定的」に書くな...教科書検定基準の改訂を
上記の学習指導要領を改訂しても、教科書にはまだまだ問題が残る。
「南京事件」については真偽や実態をめぐる議論が続いている。「慰安婦問題」についても、強制性(強制連行を含まない。)の有無をめぐる議論があるし、強制連行についてはないというのが通説だが、あるという主張も存在する。
他にも、関東軍「七三一部隊」の細菌実験や「三光作戦」などは、真偽か犠牲者数などの実態をめぐる論争が続いている。
しかし、教科書ではこうした論争が書かれることなく、「多数の中国人が殺害された(南京事件)。」のように単元本文で断定している。おかしいのではないか。
論争がないものと明確に区別できるように単元本文で書くべきではないだろうし、注釈などで「多数の中国人が殺害された(南京事件)。」と書いてとしても、後に「この事件の犠牲者数などの実態については、さまざまな見解がある。」ぐらいは書いてほしいものである。
さらに、いまだに特定事項や一面的見解の強調も目立つ。もっと客観的事実を重視すべきだ。
東京書籍の中学歴史教科書では、朝鮮人志願兵の写真を「動員され訓練する朝鮮の若者たち」として強制性のある徴用兵であるかのような印象操作をしている。
多くの歴史教科書ではその年代に「元号」が書かれない。応仁の乱などでも「応仁」の元号が書かれないものもあるという。しかし、それでは生徒は名称の意味について理解することができない。是正が必要だろう。
このような問題を解決するために、義務教育諸学校教科用図書検定基準及び高等学校教科用図書検定基準(以下これらをまとめて「教科書検定基準」という。)を改正するべきではないか。
教科書検定基準では「学習指導要領の総則や教科の目標に一致していること」とはあっても、学年や分野、科目などの目標に一致することを求めてはいない。
その意味でも、次の通り、教科書検定基準を改正する必要があるだろう。
義務教育諸学校教科用図書検定基準※小中学校とかがこれ。
対照形式※改正箇所は傍線部。
改正前
第2章 教科共通の条件
1 基本的条件
(2) 学習指導要領の総則や教科の目標に一致していること。
(3) 小学校学習指導要領(平成29年文部科学省告示第63号)又は中学校学習指導要領(平成29年文部科学省告示第64号)(以下「学習指導要領」という。)に示す教科及び学年、分野又は言語の「目標」(以下「学習指導要領に示す目標」という。)に従い、学習指導要領に示す学年、分野又は言語の「内容」(以下「学習指導要領に示す内容」という。)及び「内容の取扱い」(「指導計画の作成と内容の取扱い」を含む。以下「学習指導要領に示す内容の取扱い」という。)に示す事項を不足なく取り上げていること。
改正後
第2章 教科共通の条件
1 基本的条件
(2) 小学校学習指導要領(平成29年文部科学省告示第63号)又は中学校学習指導要領(平成29年文部科学省告示第64号)(以下「学習指導要領」という。)の総則並びに学習指導要領に示す教科及び学年、分野又は言語の「目標」(以下「学習指導要領に示す目標」という。)に一致していること。
(3) 学習指導要領に示す目標に従い、学習指導要領に示す学年、分野又は言語の「内容」(以下「学習指導要領に示す内容」という。)及び「内容の取扱い」(「指導計画の作成と内容の取扱い」を含む。以下「学習指導要領に示す内容の取扱い」という。)に示す事項を不足なく取り上げていること。
改正前
第3章 教科固有の条件
【各教科】
[社会科(「地図」を除く。)]
1 選択・扱い及び構成・排列
(1) 略※小学校学習指導要領との関係規定
(2) 略※多様な見解のある社会的事象に関する包括的な規定
(3) 略※未確定な時事的事象への対応に関する規定
(4) 略※近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定
(5) 略※閣議決定などへの対応に関する規定
(6) 略※いわゆる近隣諸国条項
(7) 著作物、史料などを引用する場合には、評価の定まったものや信頼度の高いものを用いており、その扱いは公正であること。また、法文を引用する場合には、原典の表記を尊重していること。
(8) 日本の歴史の紀年について、重要なものには元号及び西暦を併記していること。
改正後
第3章 教科固有の条件
【各教科】
[社会科(「地図」を除く。)]
1 選択・扱い及び構成・排列
(1) 略※小学校学習指導要領との関係規定
(2) 略※多様な見解のある社会的事象に関する包括的な規定
(3)社会的事象について、特定の事柄を強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするなどの取り上げ方に不適切なところはなく、児童又は生徒が事実を客観的に捉え、考えを深めることができるよう適切な配慮がされていること。
(4) 略※未確定な時事的事象への対応に関する規定
(5) 略※近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定
(6)近現代の歴史的事象のうち、本文において、多様な見解がある事柄について記述しているところはなく、本文以外の図書の内容において多様な見解のある事柄について記述する場合には、多様な見解があることが明示されているとともに、児童又は生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。
(7) 略※閣議決定などへの対応に関する規定
(8) 略※いわゆる近隣諸国条項
(9) 著作物、史料などを引用する場合には、児童又は生徒の心身の発達段階に適応し、評価の定まったものや信頼度の高いものを用いており、その扱いは公正であるとともに、児童又は生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。また、法文を引用する場合には、原典の表記を尊重していること。
(10) 引用、掲載された教材、写真、挿絵、統計資料などは、児童又は生徒の心身の発達段階に適応し、信頼性のある適切なものが選ばれており、その扱いは公正であるとともに、児童又は生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。
(11) 日本の歴史の紀年について、元号を記していること。
※なお、新設の(6)の運用については、近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定と異なり、多様な見解について個別具体の出典は求めず、また「多様な見解があること」の明示方法については「さまざまな見解」と書くのみで良いものとするよう補足させていただく。これは、「多様な見解」と称してありえない説が多数掲載されることを阻止するためのものである。
高等学校教科用図書検定基準※高校のこと。高校は現状義務教育よりも圧倒的に酷い。
対照形式※改正箇所は傍線部。特筆するべき改正は赤字。
改正前
第2章 各教科共通の条件
1 基本的条件
(2) 学習指導要領の総則や教科の目標に一致していること。
(3) 高等学校学習指導要領(平成30年文部科学省告示第68号。以下「学習指導要領」という。)に示す教科及び科目の「目標」(以下「学習指導要領に示す目標」という。)に従い、学習指導要領に示す科目の「内容」(以下「学習指導要領に示す内容」という。)及び「内容の取扱い」(「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」を含む。以下「学習指導要領に示す内容の取扱い」という。)に示す事項を不足なく取り上げていること。
改正後
第2章 各教科共通の条件
1 基本的条件
(2) 高等学校学習指導要領(平成30年文部科学省告示第68号。以下「学習指導要領」という。)の総則並びに学習指導要領に示す教科及び科目の「目標」(以下「学習指導要領に示す目標」という。)に一致していること。
(3) 学習指導要領に示す目標に従い、学習指導要領に示す科目の「内容」(以下「学習指導要領に示す内容」という。)及び「内容の取扱い」(「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」を含む。以下「学習指導要領に示す内容の取扱い」という。)に示す事項を不足なく取り上げていること。
改正前
第3章 各教科固有の条件
[地理歴史科(「地図」を除く。)]
1 選択・扱い及び構成・排列
(1) 略※多様な見解のある社会的事象に関する包括的な規定
(2) 略※高等学校学習指導要領との関係規定
(3) 略※未確定な時事的事象への対応に関する規定
(4) 略※近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定
(5) 略※閣議決定などへの対応に関する規定
(6) 略※いわゆる近隣諸国条項
(7) 著作物、史料などを引用する場合には、評価の定まったものや信頼度の高いものを用いており、その扱いは公正であること。また、史料及び法文を引用する場合には、原典の表記を尊重していること。
(8) 日本の歴史の紀年について、重要なものには元号及び西暦を併記していること。
2 正確性及び表記・表現
(1) 略※図表の記載方法に関する規定
改正後
第3章 各教科固有の条件
[地理歴史科(「地図」を除く。)]
1 選択・扱い及び構成・排列
(1) 略※多様な見解のある社会的事象に関する包括的な規定
(2) 略※高等学校学習指導要領との関係規定
(3)社会的事象について、特定の事柄を強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするなどの取り上げ方に不適切なところはなく、生徒が事実を客観的に捉え、考えを深めることができるよう適切な配慮がされていること。
(4) 略※未確定な時事的事象への対応に関する規定
(5) 略※近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定
(6)近現代の歴史的事象のうち、本文において、多様な見解がある事柄について記述しているところはなく、本文以外の図書の内容において多様な見解のある事柄について記述する場合には、多様な見解があることが明示されているとともに、生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。
(7) 略※閣議決定などへの対応に関する規定
(8) 略※いわゆる近隣諸国条項
(9) 著作物、史料などを引用する場合には、児童又は生徒の心身の発達段階に適応し、評価の定まったものや信頼度の高いものを用いており、その扱いは公正であるとともに、児童又は生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。また、法文を引用する場合には、原典の表記を尊重していること。
(10) 引用、掲載された教材、写真、挿絵、統計資料などは、児童又は生徒の心身の発達段階に適応し、信頼性のある適切なものが選ばれており、その扱いは公正であるとともに、児童又は生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。
(11) 日本の歴史の紀年について、元号を記していること。
2 正確性及び表記・表現
(1) 略※図表の記載方法に関する規定
※なお、新設の(6)の運用については、近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定と異なり、多様な見解について個別具体の出典は求めず、また「多様な見解があること」の明示方法については「さまざまな見解」と書くのみで良いものとするよう補足させていただく。これは、「多様な見解」と称してありえない説が多数掲載されることを阻止するためのものである。
改正前
第3章 各教科固有の条件
[公民科]
1 選択・扱い及び構成・排列
(1)略※多様な見解のある社会的事象に関する包括的な規定
(2)略※高等学校学習指導要領との関係規定
(3)略※高等学校学習指導要領との関係規定
(4)略※高等学校学習指導要領との関係規定
(5)略※未確定な時事的事象への対応に関する規定
(6)略※近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定
(7)略※閣議決定などへの対応に関する規定
(8)略※いわゆる近隣諸国条項
(9)著作物、史料などを引用する場合には、評価の定まったものや信頼度の高いものを用いており、その扱いは公正であること。また、史料及び法文を引用する場合には、原典の表記を尊重していること。
(10)日本の歴史の紀年について、重要なものには元号及び西暦を併記していること。
2 正確性及び表記・表現
(1) 略※図表の記載方法に関する規定
改正後
第3章 各教科固有の条件
[地理歴史科(「地図」を除く。)]
1 選択・扱い及び構成・排列
(1)略※多様な見解のある社会的事象に関する包括的な規定
(2)略※高等学校学習指導要領との関係規定
(3)略※高等学校学習指導要領との関係規定
(4)略※高等学校学習指導要領との関係規定
(5)社会的事象について、特定の事柄を強調し過ぎていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げていたりするなどの取り上げ方に不適切なところはなく、生徒が事実を客観的に捉え、考えを深めることができるよう適切な配慮がされていること。
(6)略※未確定な時事的事象への対応に関する規定
(7)略※近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定
(8)近現代の歴史的事象のうち、本文において、多様な見解がある事柄について記述しているところはなく、本文以外の図書の内容において多様な見解のある事柄について記述する場合には、多様な見解があることが明示されているとともに、生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。
(9)略※閣議決定などへの対応に関する規定
(10)略※いわゆる近隣諸国条項
(11)著作物、史料などを引用する場合には、児童又は生徒の心身の発達段階に適応し、評価の定まったものや信頼度の高いものを用いており、その扱いは公正であるとともに、児童又は生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。また、法文を引用する場合には、原典の表記を尊重していること。
(12) 引用、掲載された教材、写真、挿絵、統計資料などは、児童又は生徒の心身の発達段階に適応し、信頼性のある適切なものが選ばれており、その扱いは公正であるとともに、児童又は生徒が誤解するおそれのある表現がないこと。
(13)日本の歴史の紀年について、元号を記していること。
2 正確性及び表記・表現
(1) 略※図表の記載方法に関する規定
※なお、新設の(8)の運用については、近現代の歴史的のうちの通説がない事項に関する規定と異なり、多様な見解について個別具体の出典は求めず、また「多様な見解があること」の明示方法については「さまざまな見解」と書くのみで良いものとするよう補足させていただく。これは、「多様な見解」と称してありえない説が多数掲載されることを阻止するためのものである。
●教育基本法と学習指導要領への一致強化が必要だ...編修趣意書の改善を
現在の教科書の編集趣意書(編集方針を示したもの)では教育基本法の目標を項目的に網羅していれば良く、例えば、第五号には「伝統文化の尊重」「愛国心」「他国の尊重」「国際社会への寄与」等が掲げられていますが、「他国の尊重」だけなど、いずれかを書けば検定を通過します。
しかし、これでは教育基本法の目標が十分に反映されたとはいえません。
そこで編集趣意書の教育基本法の目標の対照の末尾を「第◯号」と項目だけを示す方式から、「第◯号「〇〇」」(例えば、「第五号「伝統と文化を尊重し」)のように具体的な内容を示し、それらを網羅するよう求め、教育基本法を教科書に反映していくことが必要です。
さらに、学習指導要領の学年・分野・言語(高校においては科目)の目標との対照表も提出するよう求め、学習指導要領の反映を図ることも必要です。
●教科書の横暴に国民の監視が必要だ...検定合格後の教科書の「HP公開」を
教科書は展示会などで公開されますが、時間の関係で行けない人も多くいます。今の時代、インターネットで公開することは簡単なはずです。検定合格後の教科書の全内容を文科省のホームページで公開するべきです。
●韓国併合・台湾併合を「植民地支配」と断言することの不適切さ...閣議決定を
韓国併合は当時韓国内で最大規模の政治団体『一進会』が日韓合邦運動を進めたことにより実現し、日本が近代化を進めました。台湾併合でも同様に近代化を進め、特に八田與一などが活躍しました。欧米列強の「植民地支配」とは違うのです。これを「植民地支配」とすることこそ、日本や欧米列強に対する誤解を招きます。「不適切」の閣議決定が必要です。
●政治的批判にしかならない「侵略」の用語を教科書に載せるな...閣議決定を
「ウクライナ侵略」といえば、一発でロシア批判の立場と分かるでしょう。それは別に良いです。しかし、教科書にあれば、それは教科書が政治的批判をしているということになり、問題です。「侵略」は不適切だと閣議決定すべきです。
●日本語理解を混乱させる「重語」を教科書に載せるな...閣議決定を
「徴用」「動員」「徴税」「連行」、全て強制性のある言葉ですが、教科書ではこれらの前に「強制」を付けて「強制連行」などと称することがあります。これは重語と呼ばれますが、教科書に載せる分には生徒の日本語理解を混乱させるだけです。「不適切」の閣議決定が必要です。
●朝鮮人徴用・中国人「強制連行」人数に通説なし...閣議決定を
朝鮮人徴用については数百~数十万人、中国人「強制連行」については数千~数万人との学説がある。文科省は学説の幅のある場合は「通説的な見解がない」として断定的な記述をしないよう求めており、朝鮮人徴用と中国人「強制連行」の人数に通説がないことを確認する閣議決定をするべきだ。
●「意思に反して日本に連れてこられ」は閣議決定からの逃亡だ...東京書籍・教育出版・帝国書院・山川出版は問題教科書、一刻も早く訂正申請を
2021年4月、戦時中の朝鮮人労働者には、徴用・官斡旋・募集や自ら来たものなど、その実態はさまざまであり、一括りに「強制連行」「連行」などの表現を使うべきでないと閣議決定が出た。また、徴用は合法であり、「強制労働」との表現を使うべきでないともした。
これに伴い、「強制連行」などを書く高校の教科書の多くが訂正申請を出した。しかし、「強制連行」と明言はしないものの、例えば、東京書籍は「意思に反して日本に連れてこられ...労働を強いられました」として、「強制連行」ばかりか、「強制労働」までもを連想させている。
今年の検定で「強制的に連れてこられて」との記述があった小学校の教科書が「強制的に動員され」に変わった。
教育出版が「連れてこられ」と「厳しい労働を強いられました」、帝国書院が「連れて行き」、山川出版も「労働を強いられた」との表現を使っている。
東京書籍・教育出版・帝国書院・山川出版は、早急に訂正申請すべきだ。
●国際社会は国益を取り合う「競争社会」である...国際社会=競争社会論もなければ「国益」の思想さえないお花畑の東京書籍等多数派公民教科書
領土問題が起こるとき、その原因は、多くの場合、領土拡張の国益と領土防衛の国益との対立である場合が多い。これは、ほかの対立にもいえるし、逆に利害が一致したときは合意にもつながる。明らかに国際社会は競争社会なのである。しかし、教科書にはこれらの事実は記載されず、国際社会を単なる国際協調の場としてしか捉えようとしない。子どもが国家の一員として生きることを踏まえていない、あまり乱暴な態度だ。
一応、「国と国との利益の対立」として、国際社会を競争社会と捉え、曲がりなりにも「国益」の思想を表明するのが帝国書院、外交における軍事力や経済力の裏付けを紹介し、国際社会を競争社会として捉え、正面から「国益」の思想を表面するのが自由社と育鵬社である。
逆に、「国益」の思想を一切表明せず(そもそも国の利益などない、あっても解体せよな雰囲気)、国際社会を競争社会として一切書かないのが、東京書籍・教育出版・日本文教出版の多数派教科書である。特に教育出版は、領土問題さえも「日本固有の領土というのが日本政府の立場です」と他人事のように書いている。
●付録 誤報で生まれた『近隣諸国条項』の削除も必要だ
近隣諸国条項の削除も必要である。というか、近隣諸国条項を削除することができればこの記事のような回りくどいことはしなくて良いのかも知れない。
しかし、近隣諸国条項はこれまでさまざまな人が削除を要求して、安倍政権でも見直しが図られたが、ついに今日まで削除されることはなかった。
この状況を見るに、いきなり削除するのではなく、段階的に『反』近隣諸国条項的なものを追加していってフェードアウトさせるのが得策だと思う。
若しくは、『近隣諸国条項』を「削除」せずに「改正」して「近隣のアジア諸国との近現代の歴史的事象について国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」の「国際理解と国際協調」を「郷土愛と愛国心」に入れ替えるべきではないか。
というか、今の文科省は左翼過ぎるので「削除」に意味はないのではかと思う。