感動は命の肥し

曇りなき眼で、物事を見つめるなら必ずや真実を見極めることができる。覚醒の時を生きた記録として。

記憶したい韓国

2012-10-03 | 韓国を思う
2005年の夏、家族で韓国を訪ねた時の話です。ソウルに出かけた帰りの高速バスの中、当時5歳だった末の息子が突然トイレに行きたいと言い出しました。しかも、大きい方だと言うのです。高速バスはソウルを出発して間がなく、最初の停留所に止まるまではまだかなりの時間がありました。ソウルを出てキョンギ道に入ればバス停があって止まれるはずなので、息子には何とか我慢するように言いますがこればかりはどうしようもありません。

満員の乗客で混雑したバスの中でしてしまっては大変と、主人が運転手に適当なところで止めてくれないかと無理をお願いしたところ、事情を知った運転手は、下りるはずのない高速道路を急に下りて、横断できないはずの中央線をコーンをなぎ倒しながら乗り越えてバスをユーターン、高速道路の脇を走る地下鉄に下りる道路わきの階段の横に見事に止めてくれたのです。私は、最初何が起こったのかわかりませんでしたが、車が止まったところで理解できました。地下鉄の駅のトイレを使えと言う事。ただ下ろしてくれたら良いのを、わざわざトイレがある場所にバスを横付け、待ってるからトイレに早く行って来いと、御礼を言いながら急いで下りる私たちに運転手が言ってくれた言葉に、私はもう一度驚かされたのです。

こんな事があるでしょうか。バスの運転手が個人の一存で、ここまでやれる韓国、人目など気にしない、上司がどうのこうのなんて思わない、その時にこうするべきと思った自分の判断で(独断で)ここまで果敢な行動が出来る国。

息子は、残念ながらバスを降りた途端もらしてしまいましたが、待つと言う運転手を丁寧に断り、バスがまた高速に入るのを見送りました。

この後、地下鉄乗り場に下りてトイレを探し、トイレの中で汚れた息子のお尻を、便器の中の水を流しながら洗い、私の上着で息子の裸の下半身を包んで抱きかかえて地下鉄に乗り込みました。息子がウンチをお漏らししたのと合わせて、この時のバスの運転手との出会いは、韓国での印象深い、忘れられない出来事となりました。

私の好きな国、これが韓国の情の世界です。



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