8月5日の日曜日、予てから見ようと考えていた映画「オッペンハイマー」を近くの映画館に見に行ってきた。
考えてみると、その時間は日本時間ではちょうど8月6日であって、広島に原爆が投下された日になるなと、思いながら映画館に向かった。
映画は3時間である。考えさせられる難しい映画が多い、クリストファー・ノーラン監督の作。
主役を演じるのは、ノーラン監督の映画では常連中の常連脇役、キリアン・マーフィ。
脇を固めるのも主演級の役者さんが続々。カッコいい女優エミリー・ブラント、マット・デイモン、アイアンマンのロバート・ダウニー・Jr、フレディー・マーキュリーを演じたラミ・マレック、そして、Me Too運動の影響下で俳優業を半ば廃業しかけた、ケイシー・アフレックが久しぶりのお目見えで、ちょっと嬉しかった。彼が主演してアカデミー主演男優賞を得る「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は何度も見返したい映画である。
ユダヤ系ドイツ人移民のアメリカの家庭に生まれたオッペンハイマーがアメリカで原子力爆弾を作るに至るまでと、作ってからの様々な出来事を科学者である彼の心の葛藤を見せながら、つづられる3時間。長くは感じなかった。一時でも席を立つと話が分からなくなりそうな複雑な心理描写が続く。演者が飽きさせない。つまり、難しい系の映画になる。
映画が終わった後で、英語ハンディーたくさんの私は、一緒に見に行った息子と映画のあらすじの答え合わせをしながら帰路に就く。大まかな筋はわかっても、役者さんの肝心な場面での一言、なんてのは、私には理解困難なので、そこら辺のポイントを踏まえての、息子の的を得た解説を聞きながら。
第2次世界大戦の最中、アメリカと言う国に、優秀な物理学者である彼がいたと言うめぐりあわせが、原爆の開発を製造にこぎつかせ、そして、実際に使用するに至らせたんだ、ドイツが敗戦を決め、日本も後が長くないとわかっていたアメリカは、必ずしも広島、長崎に原爆を落とす必要はなかったんだ、日本は遅かれ早かれ敗戦国になると言うのはわかっていたんだから。しかし、その時のアメリカは、先の事を考えていた、ロシアとの戦争だ、その為に原爆の威力をロシアに見せる必要があったんだよ、その投下先が日本だったんだ。と言うのが、息子の解説。
使う必要はなかったけれど、別の目的での使用だった、と言う見方である。
原爆投下後、日本が敗戦を認めた。原爆が戦争を早く終わらせたと見る向きもある。それによって、罪のない多くの失われた命がある。それと引き換えに、戦争が早く終わった事で助かった命も多かった、と考えるのは申し訳ない気がするけれど、それも事実。
広島原爆投下、8月6日は人類が記憶しなければならない日となった。
以前、まだ中学小学生だった子供たちを連れての日本帰国の時に、広島を訪ねて、原爆の残した爪痕を見せた。私自身、日本にいる時に行ったことがなかったので、行きたかった事もある。
今年の秋は久しぶりの日本帰国の予定がある。
今度は、長崎を訪ねてみよう。