前ブログで日本の製造業を再び強く出来ないかという事で、『物を見る力の養成が喫緊の課題』との私見を書いた。
このためには『なぜなぜ』問答が真剣に出来る人間力を引き戻す必要があり、どうしたらいいかと問題を投げかけたが、ブログを見た友人などから何通かのメールを受け、少しずつ問題点の整理に入っている。
今日の記事もあっちこっちへ飛んでしまいそうであるが、一つの結論が10日ほど前(4/5?)に放送のWBSにあった。
報道の内容は『激変!世界のイノベーション発信地 第二夜 加速中! ホンダ×ベンチャー』で、開発の速度アップのため、ホンダはシリコンバレーのベンチャーと組むことで、開発のスピードを一段とアップさせ、新しいアイデアの取り込みも貪欲に行っているとの内容であった。
この番組を見ていて一番驚いたことは、若い技術者やデザイナーがホワイトボードやこれに代わる白い壁にどんどんアイデアを書き込み、これを全員で議論し、一つの結論を導き出し、すぐにソフトを起こす作業に入っていた。
先のブログで『ヒヤリメモ』について少し触れたが、新製品開発でも、開発者全員が『ナゼナゼ』『Why What』という知恵を出しあい、黒板などで意見を戦わせる『黒板力』が、スピードと新しい物へのチャレンジには改めて必要ではないかと感じた。
この『黒板力』が日本では、特に大手企業では、あまり醸成出来ておらず、逆に低下していっているのではとの思いが深くなった。
このシリコンバレーでの様相は、今までの日本の製造業が取り組んできた以上の進化があり、日本の製造業へ再び活力を取り戻すためには、この黒板で自由に議論出来る力の育成が急務かと思えて来た。
開発段階で、出て来たアイデアを分類し方向性を決めるためにはトヨタが取り入れている、KPT(ケプト)等での手法があり、番組でもこのようなマトリックスでの分類で議論がなされていたが、このためのアイデアをひねり出し組み立てる『力』が日本では成長できていないのではなかろうか。
昨今、新規技術のバロメーターの一つである特許出願件数が減少傾向との事であり、さらには、この『力』が低下すれば、この記事で書いてきた『品質に対する見る目』の低下は否めなず、日本の製造業の生末が危うくなる。
このアイデアを創出し組み立てる『力』、能力をあえて『思考回路形成力』という名前としてみたが、この能力は、体で覚え込んだ癖のようになっている必要があり、幼児期から学ばないと身についてこないかもしれない。
日本では昔から『からくり文化』の国とも言われ、自らの生活の中での不便さを克服するためや、中国や諸外国から得られたあらたな技術へ創意工夫して色々な物を作り上げて来ており、この根底には『ナゼナゼ』『Why What』と考える『力』が自然と働いて来ていたが、現状、少し『思考回路形成力』が低下し始めているように思える。
なぜなのか、どうすればこの力を上げることが出来るのか。
もう一度ハングリーな世界で、『ナゼナゼ』『Why What』から生まれた問題点から新たな創造へと結びつける思考をどう醸成するか。子供たちにどう教えていくかを急いで考えないと、日本はますます世界から取り残される可能性もある。
友人から受けたメールの中で、『先輩は、何か問題が起こったらたらすぐに黒板へ書くことをされ、ちょっと異端児かと思いましたが、最近の色々な事象から見ると、この考えが正しかったのかもしれない』という声も受けたが、たしかに、ISO監査やTPMなどの管理だけを目的とする場所で、新たに取り組むことの議論を吹きかけ、飛び跳ねていた可能性もあるが、疑問点から問題点の解決に向けた検証作業は少し人の先を行った可能性がある。
この『黒板に書いて議論すること』を学んだのは、本業の中ではなく、大手電機会社をスピンアウトしアメリカで学び直した友人からの知識吸収である。
30数年も前の事であり、少し記憶からは遠のいているが、当時、安全や品質活動は、事故が減り改善のネタも無くなって来たため活動が停滞化し、次の手立てを探す必要が出て来た。この中で、異常現象発生原因を時系列的に探る一つの手法として、アメリカが戦争中に採用の最適化戦略といわれるPERT(Program Evaluation and Review Technique)と言う技術に興味があった。コンピューターのプログラミングの中でも生かされているとの事で、MBAでの生産工学の本を借りてPERT以外の手法も色々と勉強した事からである。
この中でPERTという手法は、いかにPASSを瞬時に判断し最適化するかという技術と、これを支える、見た事象を図式化し、ここからの結論を導き出すという『図解思考』技術が必要なことが判り、この点で少し深く雑学を進めた。
日本がデミング博士から教えてもらったQCや改善手法は、日本人向けには、コツコツ事象を精査する手法として優れた技術であったかと思えるが、その後の活動では、成果の完璧さを求めた事もあり、時間軸の管理が少し失われた事が反省点かもしれない。
当時のQC体制では、生産ラインや技術の進歩は、今よりスピードが要求される事もなく、これで問題点への対応は十分出来たかもしれないが、21世紀の現時点では、品質や安全管理、さらには、新しい製品開発へ挑戦するプロセススピードには合わなくなっている。
さらにこの後の、バブル崩壊後頃から始まったTPMやPDCAを取り入れた取り組みでは、どちらか言うと管理が中心となった活動が主流となり、製造部門や開発部門まで広められ、目標管理に向けた対応をどうとるかと、あまり『ナゼナゼ問答』をしない事に繋がった可能性がある。
前ブログで『TPM活動が日本の製造業をダメにした』と極論を述べたが、最近『PDCAも今の様な激動期にはそぐわない管理手法』と書かれた記事がネットに掲載されており、やはり瞬時に最適化を計るための新たな発想法とこれらをとりまとめする手法が必要となっているのではとも感じるようになっていた。
友人のメールでは、PDCAやTPM活動は『忖度しかうまく回せない』『ITなどの開発へ取り入れると大きな間違い。何も生まれない』とも書かれており、会社在籍時に小生が検討してはと提案の『図解思考』『OODA』を今一度考えてみたいとも書かれていた。
その他の方からいただいたメールでは、ドックイヤーと言われるように、バブル期の30年前とは大きく時間軸が縮まり、『色々な現象や異常を瞬時に捉え』、『適切に安全サイドへ導くための判断』をしていく能力をつける事が喫緊の課題ともあったる。
確かにセンサーの発達やコンピューターの処理速度が向上する中で、人工知能へ仕事を分担する事も必要であるが、AIも最初は赤子であり、これに色々な事を教え、善し悪しの判断を入れ込むのは人間であり、この知恵の進化速度を超えていく必要が出てきている。
ロボット同志が知恵を共有し、勝手に動き出す事は無いかと思うが、常に人間がロボットの知恵を上回り、先回りしておかないとSF小説ではないがロボッとの反乱になってしまう。
ちょっと話がそれてしまったが、この前どこかの番組で『お掃除ロボットの反乱』があるのでは・・と話されていた学者さんがおられたが、隣の家のロボットと結託して町へ繰り出したり、電源を分け合うために充電ステーションへ呼び込むなど・・ソフトでは書かれていない事が情報共有の中で知恵として蓄えられた時にどうなるのか。だれも理解できない事である。ペッパー君が反乱するともっと恐ろしいことになるかもしれない。
このSFがかった話は別の話題として、退社後しまい込んでいた『OODA』『図解思考』をもう一度勉強しなおしてみる事とした。
在職中に持っていた書籍はどこかへ行ってしまったので、とりあえずAmazonへ発注し、先週届いたので読み始めた。
これらの中に、いま日本の製造業の中で足りなくなっている『思考回路形成』のための能力向上策は必ずあると考えられるが、子供が小さいときからどう教え込むかが課題なのかもしれない。
小学校や中学校で取り組みを始めたプログラミング教育も悪いとは言わないが、その根底に流れるフローチャートの考え方が理解出来ない限り思考回路を形成するための一手法として有用ではない可能性がある。英語教育も、楽天が取り入れた社内公用語としての取り組みや、究極はグローバルな場で意見を戦わせるディベート技術の前段として捉えていかないと、目的を逸する可能性がある。
『思考回路形成』力向上のためには、親から、先生から、そして地域の人たちから『なぜなぜ』『Why What』と言う子供たちにこたえる必要があり、体で示し、絵や図にかいて理解を助ける事が必要なのかと思われる。
今、教育もタブレットやビデオなど、出来上がった教材で子供たちの考える能力を引き上げる事が主流になりつつあるが、まずは興味を抱く事から『思考回路形成』が始まり、これをいかに組み立てるかと言う能力と実行の判断がなされる。
出来上がった教育資料を使う授業は『PDCA』をまわすだけであるが、子供達の素朴な疑問が出てきて、質問があり、方向を修正して・・という事が知識の吸収には是非とも必要であり、『OODA』が教育にも取り入れられようとしているが、行ったり来たり、脱線しないように学ばせることが、豊かな『思考回路』の形成には必要なのではないか。
では、若い人たちはどうか。
このブログでは『思考回路形成能力』が無いような、極端な発言をしてしまったが、ベンチャーや新進のプロジェクトでは『黒板』での議論がなされていると考えられるが、ここにもいくつか問題点があるかと思われる。
一つは、ベンチャーなどでの能力差。多分ベンチャーなどを立ち上げられる方は『思考回路形成能力』に優れた方でないと難しいかと思え、同志も同じ能力を有しているため、意思疎通や議論をしても、色々な問題点がすぐに拾い出され、危険事項を整理し、対策が出されるかと思われる。
当たっているかどうかわからないが、最近問題となったコインチェックなども、トップは、この能力が高く、すぐに問題点を議論出来るかと思うが、急激に拡大した会社では『思考回路形成能力』がトップと一致できないメンバーもいる場合があり、『ナゼナゼ』が欠落すれば今回の様な、ものすごい時間軸が短い中で事件は発生してしまう事も想定される。この危機に対する『思考回路形成能力』は身についていないと、色々な現象を見逃してしまう可能性がある。
オレオレ詐欺が問題視されているが、これを仕掛けている若者の方が、昔から『鼻が利く』と言うが、危ない事に対する『思考回路』はいち早く働くのかもしれない。
最近、このような商才が効く若者が減ってきているのも、商家教育での危険を予知する教育が無くなったためかと思われるが、技術伝承の中で『思考回路形成』は自然と学んでいたのかもしれない。
又、今日のダイヤモンドオンラインで、若手社員が「自分がやりたい仕事と違う!」という事が起きているとも書かれているが、これは逆にその職場のメンバーの『思考回路形成力』の低さにもあるのではと思えて来た。
若手社員の能力や、やる気ある思考と、これに合わせられるだけの思考能力が一致しない限り、若者はどんどん離れていくことになり、若者に出来るだけ近い『思考回路』『感性』をすり合わせる必要があるかと思われる。このためにも、常に『思考回路』のスイッチを柔軟に切り替えも必要なのかもしれない。
話が見えなくなってきたが、『思考回路形成力』向上をどうするかが課題であるが、最初の取り組みは、黒板で問題を整理し、方向性を決めて実行し、途中途中で検証してみる事ではないかと思われる。
このためには『図解力』で使われる
問題点を、枝葉で分けてみるツリー構造、グループ分けをするマトリックス、時間軸などで追いかけるガントチャート、さらにはデーターを分けたものの相関をみたり、重なっている点を探したり、グラフで傾向を追いかけるなどの作業が必要となるが、このやり方を直感的に出せるのが『思考回路』形成力であり、学ぶためには経験が必要となる。
これらの事象でえられた事実を基に行動に入るが、OODA手法では、最初の O → Observe(見る)が必要となり、客観的な事実を即時に見出し、次の O → Orient(判る→方向つけ)につなげる。
さらに D → Decide (決定)、A → Act(行動)となるが、いままでのPDCAとは異なり、OODAはこの各要素間が有機的につながり、機能させる事で、速戦的で、適宜方針を修正させ、作戦を誤らない特徴があると言われており、21世紀型の管理手法とも言われ始めている。
但し、このOODAは小隊編成の作戦手法であり、作戦責任は全体としてD-OODAと言われる通り、最初のDESIN下での最適戦略を求めるために小隊長へ与えられた管理範囲であるが、これを支えるのは、部下の能力が高くないと無理であり、海兵隊のような感性能力がある同じ『思考回路』が備わったメンバーで無いと無理なのかもしれない。
このためには訓練で鍛え上げる必要があり、『思考回路形成力』も訓練でしか出てこないのかもしれない。
前のブログの品質問題の項で記載したが、日本の製造業の技術力が低下しているのではなく、これを支える従業員教育、さらには日本の技術教育が少しおかしくなっているのかもしれない。
品質データーも、今や電子計測でコンピューターへデーターを取り込み、品質管理データーや異常値は簡単に見いだせるが、ここでグラフ化を自分で進めてみると、先ほどの『図解力』で示したような、グループ化や、データーがかぶった所なども見いだせるかもしれないし、ブロックすれば4M変更などでの特異点を見いだせるかもしれない。
この作業を新たにするのは人間であり『思考回路』が『ナゼナゼ』『Why、What、How』と言う切り口で作業が行われると思う。
JRにしても川重でのコメントを見ているとこの『思考回路』のスイッチが入り切っていない。
東京大学の教授の方が、経済誌のオンライン記事で『日本の製造業の技術力がダメになったのではない』とコメントされていたが、人間力、特に『思考回路』の底上げ策を学府として考えてほしい。
次のブログで『図解力』『OODA』を勉強した結果をもう少し詳細記載してみたい。
特に『図解力』に前後して新しい目標を捉える手法であるFramework (ビジネスフレームワーク) でのロジカルシンキングやコンセプトトレーニングなどが今までの仕事の中では役に立った。
これらの手法はアメリカでMBAを取得された方などが本で書かれているが、なぜ日本ではあまり受け入れられないのであろうか。
最後に上記の疑問に対し『ナゼナゼ』の回答を友人からのメールに見出した。
どうなんだろう・・
友人曰く、もともとの思想が違う
★日本民族 ⇒ 危機感覚が低い
⇒ 農耕民族 ・・・四季は必ず戻ってくる
⇒ 島国だから ・・外から襲来ナシ
(ウサギは寝て待つ)
★海外 ⇒ いつも危険
⇒ 狩猟民族 ・・自ら動かないと飢え死に
⇒ 外から攻められる
(中国 万里の長城・・『蛮』対応)
⇒ 攻めていく ローマ帝国、バイキング
もう一つ、ボーイスカウトの考え方の変遷。今に通じるものについてメールに書かれていた。
Boy Scout活動 ⇒ イギリス BP卿が提唱
Scouting ⇒ 斥候 のための技術習得
戦略決定 Scout → Officer → Sir
★意思決定の速度 → 今の時流でどうすべきか
★Scoutの判断力、解析力 → 権限移譲
★Top Down 指揮命令 → 強い組織
これらを見ると、今の日本は団塊の世代が第二段階に入り、危機を受けた事がない世代が日本を司っていく中で、『思考回路形成』能力の醸成はどうするべきか、ますます急務なのかとも思えて来た。
このためには『なぜなぜ』問答が真剣に出来る人間力を引き戻す必要があり、どうしたらいいかと問題を投げかけたが、ブログを見た友人などから何通かのメールを受け、少しずつ問題点の整理に入っている。
今日の記事もあっちこっちへ飛んでしまいそうであるが、一つの結論が10日ほど前(4/5?)に放送のWBSにあった。
報道の内容は『激変!世界のイノベーション発信地 第二夜 加速中! ホンダ×ベンチャー』で、開発の速度アップのため、ホンダはシリコンバレーのベンチャーと組むことで、開発のスピードを一段とアップさせ、新しいアイデアの取り込みも貪欲に行っているとの内容であった。
この番組を見ていて一番驚いたことは、若い技術者やデザイナーがホワイトボードやこれに代わる白い壁にどんどんアイデアを書き込み、これを全員で議論し、一つの結論を導き出し、すぐにソフトを起こす作業に入っていた。
先のブログで『ヒヤリメモ』について少し触れたが、新製品開発でも、開発者全員が『ナゼナゼ』『Why What』という知恵を出しあい、黒板などで意見を戦わせる『黒板力』が、スピードと新しい物へのチャレンジには改めて必要ではないかと感じた。
この『黒板力』が日本では、特に大手企業では、あまり醸成出来ておらず、逆に低下していっているのではとの思いが深くなった。
このシリコンバレーでの様相は、今までの日本の製造業が取り組んできた以上の進化があり、日本の製造業へ再び活力を取り戻すためには、この黒板で自由に議論出来る力の育成が急務かと思えて来た。
開発段階で、出て来たアイデアを分類し方向性を決めるためにはトヨタが取り入れている、KPT(ケプト)等での手法があり、番組でもこのようなマトリックスでの分類で議論がなされていたが、このためのアイデアをひねり出し組み立てる『力』が日本では成長できていないのではなかろうか。
昨今、新規技術のバロメーターの一つである特許出願件数が減少傾向との事であり、さらには、この『力』が低下すれば、この記事で書いてきた『品質に対する見る目』の低下は否めなず、日本の製造業の生末が危うくなる。
このアイデアを創出し組み立てる『力』、能力をあえて『思考回路形成力』という名前としてみたが、この能力は、体で覚え込んだ癖のようになっている必要があり、幼児期から学ばないと身についてこないかもしれない。
日本では昔から『からくり文化』の国とも言われ、自らの生活の中での不便さを克服するためや、中国や諸外国から得られたあらたな技術へ創意工夫して色々な物を作り上げて来ており、この根底には『ナゼナゼ』『Why What』と考える『力』が自然と働いて来ていたが、現状、少し『思考回路形成力』が低下し始めているように思える。
なぜなのか、どうすればこの力を上げることが出来るのか。
もう一度ハングリーな世界で、『ナゼナゼ』『Why What』から生まれた問題点から新たな創造へと結びつける思考をどう醸成するか。子供たちにどう教えていくかを急いで考えないと、日本はますます世界から取り残される可能性もある。
友人から受けたメールの中で、『先輩は、何か問題が起こったらたらすぐに黒板へ書くことをされ、ちょっと異端児かと思いましたが、最近の色々な事象から見ると、この考えが正しかったのかもしれない』という声も受けたが、たしかに、ISO監査やTPMなどの管理だけを目的とする場所で、新たに取り組むことの議論を吹きかけ、飛び跳ねていた可能性もあるが、疑問点から問題点の解決に向けた検証作業は少し人の先を行った可能性がある。
この『黒板に書いて議論すること』を学んだのは、本業の中ではなく、大手電機会社をスピンアウトしアメリカで学び直した友人からの知識吸収である。
30数年も前の事であり、少し記憶からは遠のいているが、当時、安全や品質活動は、事故が減り改善のネタも無くなって来たため活動が停滞化し、次の手立てを探す必要が出て来た。この中で、異常現象発生原因を時系列的に探る一つの手法として、アメリカが戦争中に採用の最適化戦略といわれるPERT(Program Evaluation and Review Technique)と言う技術に興味があった。コンピューターのプログラミングの中でも生かされているとの事で、MBAでの生産工学の本を借りてPERT以外の手法も色々と勉強した事からである。
この中でPERTという手法は、いかにPASSを瞬時に判断し最適化するかという技術と、これを支える、見た事象を図式化し、ここからの結論を導き出すという『図解思考』技術が必要なことが判り、この点で少し深く雑学を進めた。
日本がデミング博士から教えてもらったQCや改善手法は、日本人向けには、コツコツ事象を精査する手法として優れた技術であったかと思えるが、その後の活動では、成果の完璧さを求めた事もあり、時間軸の管理が少し失われた事が反省点かもしれない。
当時のQC体制では、生産ラインや技術の進歩は、今よりスピードが要求される事もなく、これで問題点への対応は十分出来たかもしれないが、21世紀の現時点では、品質や安全管理、さらには、新しい製品開発へ挑戦するプロセススピードには合わなくなっている。
さらにこの後の、バブル崩壊後頃から始まったTPMやPDCAを取り入れた取り組みでは、どちらか言うと管理が中心となった活動が主流となり、製造部門や開発部門まで広められ、目標管理に向けた対応をどうとるかと、あまり『ナゼナゼ問答』をしない事に繋がった可能性がある。
前ブログで『TPM活動が日本の製造業をダメにした』と極論を述べたが、最近『PDCAも今の様な激動期にはそぐわない管理手法』と書かれた記事がネットに掲載されており、やはり瞬時に最適化を計るための新たな発想法とこれらをとりまとめする手法が必要となっているのではとも感じるようになっていた。
友人のメールでは、PDCAやTPM活動は『忖度しかうまく回せない』『ITなどの開発へ取り入れると大きな間違い。何も生まれない』とも書かれており、会社在籍時に小生が検討してはと提案の『図解思考』『OODA』を今一度考えてみたいとも書かれていた。
その他の方からいただいたメールでは、ドックイヤーと言われるように、バブル期の30年前とは大きく時間軸が縮まり、『色々な現象や異常を瞬時に捉え』、『適切に安全サイドへ導くための判断』をしていく能力をつける事が喫緊の課題ともあったる。
確かにセンサーの発達やコンピューターの処理速度が向上する中で、人工知能へ仕事を分担する事も必要であるが、AIも最初は赤子であり、これに色々な事を教え、善し悪しの判断を入れ込むのは人間であり、この知恵の進化速度を超えていく必要が出てきている。
ロボット同志が知恵を共有し、勝手に動き出す事は無いかと思うが、常に人間がロボットの知恵を上回り、先回りしておかないとSF小説ではないがロボッとの反乱になってしまう。
ちょっと話がそれてしまったが、この前どこかの番組で『お掃除ロボットの反乱』があるのでは・・と話されていた学者さんがおられたが、隣の家のロボットと結託して町へ繰り出したり、電源を分け合うために充電ステーションへ呼び込むなど・・ソフトでは書かれていない事が情報共有の中で知恵として蓄えられた時にどうなるのか。だれも理解できない事である。ペッパー君が反乱するともっと恐ろしいことになるかもしれない。
このSFがかった話は別の話題として、退社後しまい込んでいた『OODA』『図解思考』をもう一度勉強しなおしてみる事とした。
在職中に持っていた書籍はどこかへ行ってしまったので、とりあえずAmazonへ発注し、先週届いたので読み始めた。
これらの中に、いま日本の製造業の中で足りなくなっている『思考回路形成』のための能力向上策は必ずあると考えられるが、子供が小さいときからどう教え込むかが課題なのかもしれない。
小学校や中学校で取り組みを始めたプログラミング教育も悪いとは言わないが、その根底に流れるフローチャートの考え方が理解出来ない限り思考回路を形成するための一手法として有用ではない可能性がある。英語教育も、楽天が取り入れた社内公用語としての取り組みや、究極はグローバルな場で意見を戦わせるディベート技術の前段として捉えていかないと、目的を逸する可能性がある。
『思考回路形成』力向上のためには、親から、先生から、そして地域の人たちから『なぜなぜ』『Why What』と言う子供たちにこたえる必要があり、体で示し、絵や図にかいて理解を助ける事が必要なのかと思われる。
今、教育もタブレットやビデオなど、出来上がった教材で子供たちの考える能力を引き上げる事が主流になりつつあるが、まずは興味を抱く事から『思考回路形成』が始まり、これをいかに組み立てるかと言う能力と実行の判断がなされる。
出来上がった教育資料を使う授業は『PDCA』をまわすだけであるが、子供達の素朴な疑問が出てきて、質問があり、方向を修正して・・という事が知識の吸収には是非とも必要であり、『OODA』が教育にも取り入れられようとしているが、行ったり来たり、脱線しないように学ばせることが、豊かな『思考回路』の形成には必要なのではないか。
では、若い人たちはどうか。
このブログでは『思考回路形成能力』が無いような、極端な発言をしてしまったが、ベンチャーや新進のプロジェクトでは『黒板』での議論がなされていると考えられるが、ここにもいくつか問題点があるかと思われる。
一つは、ベンチャーなどでの能力差。多分ベンチャーなどを立ち上げられる方は『思考回路形成能力』に優れた方でないと難しいかと思え、同志も同じ能力を有しているため、意思疎通や議論をしても、色々な問題点がすぐに拾い出され、危険事項を整理し、対策が出されるかと思われる。
当たっているかどうかわからないが、最近問題となったコインチェックなども、トップは、この能力が高く、すぐに問題点を議論出来るかと思うが、急激に拡大した会社では『思考回路形成能力』がトップと一致できないメンバーもいる場合があり、『ナゼナゼ』が欠落すれば今回の様な、ものすごい時間軸が短い中で事件は発生してしまう事も想定される。この危機に対する『思考回路形成能力』は身についていないと、色々な現象を見逃してしまう可能性がある。
オレオレ詐欺が問題視されているが、これを仕掛けている若者の方が、昔から『鼻が利く』と言うが、危ない事に対する『思考回路』はいち早く働くのかもしれない。
最近、このような商才が効く若者が減ってきているのも、商家教育での危険を予知する教育が無くなったためかと思われるが、技術伝承の中で『思考回路形成』は自然と学んでいたのかもしれない。
又、今日のダイヤモンドオンラインで、若手社員が「自分がやりたい仕事と違う!」という事が起きているとも書かれているが、これは逆にその職場のメンバーの『思考回路形成力』の低さにもあるのではと思えて来た。
若手社員の能力や、やる気ある思考と、これに合わせられるだけの思考能力が一致しない限り、若者はどんどん離れていくことになり、若者に出来るだけ近い『思考回路』『感性』をすり合わせる必要があるかと思われる。このためにも、常に『思考回路』のスイッチを柔軟に切り替えも必要なのかもしれない。
話が見えなくなってきたが、『思考回路形成力』向上をどうするかが課題であるが、最初の取り組みは、黒板で問題を整理し、方向性を決めて実行し、途中途中で検証してみる事ではないかと思われる。
このためには『図解力』で使われる
問題点を、枝葉で分けてみるツリー構造、グループ分けをするマトリックス、時間軸などで追いかけるガントチャート、さらにはデーターを分けたものの相関をみたり、重なっている点を探したり、グラフで傾向を追いかけるなどの作業が必要となるが、このやり方を直感的に出せるのが『思考回路』形成力であり、学ぶためには経験が必要となる。
これらの事象でえられた事実を基に行動に入るが、OODA手法では、最初の O → Observe(見る)が必要となり、客観的な事実を即時に見出し、次の O → Orient(判る→方向つけ)につなげる。
さらに D → Decide (決定)、A → Act(行動)となるが、いままでのPDCAとは異なり、OODAはこの各要素間が有機的につながり、機能させる事で、速戦的で、適宜方針を修正させ、作戦を誤らない特徴があると言われており、21世紀型の管理手法とも言われ始めている。
但し、このOODAは小隊編成の作戦手法であり、作戦責任は全体としてD-OODAと言われる通り、最初のDESIN下での最適戦略を求めるために小隊長へ与えられた管理範囲であるが、これを支えるのは、部下の能力が高くないと無理であり、海兵隊のような感性能力がある同じ『思考回路』が備わったメンバーで無いと無理なのかもしれない。
このためには訓練で鍛え上げる必要があり、『思考回路形成力』も訓練でしか出てこないのかもしれない。
前のブログの品質問題の項で記載したが、日本の製造業の技術力が低下しているのではなく、これを支える従業員教育、さらには日本の技術教育が少しおかしくなっているのかもしれない。
品質データーも、今や電子計測でコンピューターへデーターを取り込み、品質管理データーや異常値は簡単に見いだせるが、ここでグラフ化を自分で進めてみると、先ほどの『図解力』で示したような、グループ化や、データーがかぶった所なども見いだせるかもしれないし、ブロックすれば4M変更などでの特異点を見いだせるかもしれない。
この作業を新たにするのは人間であり『思考回路』が『ナゼナゼ』『Why、What、How』と言う切り口で作業が行われると思う。
JRにしても川重でのコメントを見ているとこの『思考回路』のスイッチが入り切っていない。
東京大学の教授の方が、経済誌のオンライン記事で『日本の製造業の技術力がダメになったのではない』とコメントされていたが、人間力、特に『思考回路』の底上げ策を学府として考えてほしい。
次のブログで『図解力』『OODA』を勉強した結果をもう少し詳細記載してみたい。
特に『図解力』に前後して新しい目標を捉える手法であるFramework (ビジネスフレームワーク) でのロジカルシンキングやコンセプトトレーニングなどが今までの仕事の中では役に立った。
これらの手法はアメリカでMBAを取得された方などが本で書かれているが、なぜ日本ではあまり受け入れられないのであろうか。
最後に上記の疑問に対し『ナゼナゼ』の回答を友人からのメールに見出した。
どうなんだろう・・
友人曰く、もともとの思想が違う
★日本民族 ⇒ 危機感覚が低い
⇒ 農耕民族 ・・・四季は必ず戻ってくる
⇒ 島国だから ・・外から襲来ナシ
(ウサギは寝て待つ)
★海外 ⇒ いつも危険
⇒ 狩猟民族 ・・自ら動かないと飢え死に
⇒ 外から攻められる
(中国 万里の長城・・『蛮』対応)
⇒ 攻めていく ローマ帝国、バイキング
もう一つ、ボーイスカウトの考え方の変遷。今に通じるものについてメールに書かれていた。
Boy Scout活動 ⇒ イギリス BP卿が提唱
Scouting ⇒ 斥候 のための技術習得
戦略決定 Scout → Officer → Sir
★意思決定の速度 → 今の時流でどうすべきか
★Scoutの判断力、解析力 → 権限移譲
★Top Down 指揮命令 → 強い組織
これらを見ると、今の日本は団塊の世代が第二段階に入り、危機を受けた事がない世代が日本を司っていく中で、『思考回路形成』能力の醸成はどうするべきか、ますます急務なのかとも思えて来た。