昨日は、「聞く」には、以下のA~Cように、
大きく三つの種類がある、ということ、
そして、そのうち、
身につけたい聞き方と言われるAとBは、
違うものであり、役割が違うのだけれど、
混同されて誤解されている点があるかもしれない、
ということを書きました(→こちら)。
A)メディアにおけるインタビュアーがやっていることに
代表される「聞く」。
B)コーチングやカウンセリングといった分野で使う
いわゆる「傾聴」としての「聞く」。
C)刑事が容疑者を追及するなど、問いただす時に使う
「尋問・詰問、糾弾」などとしての「聞く」。
そこで、AとBについて、考えてみることにしました。
AとBには、もちろん共通点も多いのですが
相違点もあります。
Aは、いわば読者や視聴者の代表としての
聞き手であるインタビュアー自身、
つまり「自分」のため(for me/us)に聞きます。
Bは、話し手である「相手」のため(for you)に
聞きます。
ここが決定的な違いです。
Aの聞き方の目的は、
聞き手が、話し手から、何らかの情報を取ることです。
情報とは、技術的なノウハウかもしれないし、
話し手が何を考えてきたかということかもしれない。
いずれにしろ、話し手から聞くことで、
聞き手が、何かを発見したり、気づいたりするのです。
一方、コーチングなどの傾聴的聞き方の場合は、
目的は、話すことで、話し手が、
気づきを得たりすることにより、目標に近づくことです。
その際に、その元となる何らかの情報は、
話し手が、自分の中から、自ら捜し出します。
聞き手であるコーチは、
話し手がそれをすることをお手伝いするに過ぎません。
前者は、確かに自分の後ろにいる読者や視聴者という
「他人」のために聞いている、と言うこともできます。
けれども、少なくとも、それは基本的に、
話し手である「相手」のためではありません。
誰のために聞くのか、ということを
話し手と聞き手という二者だけを軸に考えれば、
左(聞き手のため)から右(話し手のため)への
C(尋問など)→ A(インタビュー)→ B(傾聴)
と並ぶことになるのでしょう。
Aの聞き方に慣れていた私は、
Bの聞き方を学び始めて、戸惑ったのですが、
AとBの違いは何か、
この点がわかるようになって、
戸惑いは消えていきました。
「質問は、クライアントへのプレゼント」という
コーチもいらっしゃいます。
けだし、名言だと思います。
(つづく)