久保敬元校長の文書訓告取り消しを求める応援団(ガッツせんべい応援団)

久保敬さんの「文書訓告取消を求める人権侵害救済申立」を応援します!

新自由主義的教育に異を唱えた大阪の元小学校校長の話

2024-05-09 07:21:00 | FCCJ記者記者会見
渡部通信(5/8) 明けない夜はない(247)<新自由主義的教育に異を唱えた大阪の元小学校校長の話>
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5月6日、東京のポレポレ中野で、「日本外国特派員協会(FCCJ)記者会見直前!経過報告&意見交流会」(主催:久保敬元校長の文書訓告取り消しを求める(ガッツせんべい)応援団)
が開かれ、20人ほどの人が参加しました。

人数はそれほど多くなかったのですが、そこで報告された久保敬元校長さんの話は大変よかったです。現在の大阪の教育現場がいかに酷いことになっているか、
そのことを告発したら世界中で同じような問題に悩んでいる教育学者などから共感のメッセージが届いた、現在世界中で展開されつつある新自由主義的な教育行政を
国際的にも連帯しながら変えていく必要がある、というものでした。

その告発は、2021年5月に当時の松井大阪市長宛に出された「大阪市教育行政への提言」というものでした。そこには次のようなことが述べられていました。
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子どもたちが豊かな未来を幸せに生きていくために、公教育 はどうあるべきか真剣に考える時が来ている。
学校は、グローバル経済を支える人材という「商品」を作り出す工場と化している。
そこでは、子どもたちは、テストの点によって選別される「競争」に晒(さら)される。
そして、教職員は、子どもの成長にかかわる教育の本質に根ざした働きができず、
喜びのない何のためかわからないような仕事に追われ、疲弊していく。
さらには、やりがいや使命感を奪われ、働くことへの意欲さえ失いつつある。

(大幅な中略:全文は検索すれば出てきます)

コロナ禍の今、本当に子どもたちの安心・安全と学びをどのように保障していくかは、難しい問題である。オンライン学習などICT機器を使った学習も教育の手段としては有効
なものであるだろう。しかし、それが子どもの「いのち」(人権)に光が当たっていなければ、結局は子どもたちをさらに追い詰め、苦しめることになるのではないだろうか。
今回のオンライン授業に関する現場の混乱は、大人の都合による勝手な判断によるものである。
根本的な教育の在り方、いや政治や社会の在り方を見直し、子どもたちの未来に明るい光を見出したいと切に願うものである。
これは、子どもの問題ではなく、まさしく大人の問題であり、政治的権力を持つ立場にある人にはその大きな責任が課せられているのではないだろうか
。
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この「提言」を行ったために久保校長(当時)は「文書訓告」という処分を受けました。
久保さんは、なぜ告発する気になったのか、また文書訓告を受けた後どうしたか、さらにどうして日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見まで
するようになったのかなどについて詳しく話してくれました。

それについてはすでに、以下のユーチューブで流れていますので是非ご覧ください。多忙な方は①と、③の最初の30分くらいの久保さんの発表をご覧ください。
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「経過&意見交流会」で流した動画
①短縮版
https://www.youtube.com/watch?v=S5j0uwLarSE
②全部
https://www.youtube.com/watch?v=KbdefwHnzso
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③久保元校長の海外特派員記者クラブでの記者会見の動画

https://m.youtube.com/watch?v=sA4RLHZgHDo
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海外からのビデオメッセージなどを見ると、現在、新自由主義的教育(それは露骨な資本主義の下でバラバラにされ絶えず競争にさらされる教育)の下で、
世界中の子ども・教職員・保護者たちが同様に苦しんでいることが分りました。久保さんは③の最後で、「政治を変えないと教育はつぶされてしまう」とも言っていまし
た。その通りだと思います。また、そのための国際連帯の芽ばえも知ることができました。

皆さん、私たちも声を上げていきましょう。
画像は5/6ポレポレ坐で話す久保さん

FCCJ記者会見で久保敬さんがスピーチされました!!

2024-05-09 07:03:01 | 集会・イベント

日本外国特派員協会(FCCJ)記者会見久保敬さんスピーチ

久保敬さんからスピーチ原稿を提供いただきました。アーカイブ動画(末尾にURL掲載)とともにご覧ください。大阪におけるこの10年余りの教育への政治のかかわりがお分かりいただけます。

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私が、今日お話するのは、政治的権力による教育への不当な介入についてです。テストで競争させ、数値評価で序列化し、政治家が管理していくことを目的とした教育システムに強い危機感を持っています。

子どもや教職員一人一人の権利が蔑ろにされ、非人間的な教育が進行しています。これは、大阪市の教育現場で起こっていることですが、日本の教育全体、さらには世界中の教育に関わる重大な問題だと思っています。

2012年、当時の橋下徹大阪市長は、教職員への管理・統制を強め、教育の自由を奪う目的で教育行政基本条例や学校活性化条例をつくりました。そして、これら条例の影響はその後の10年間起こったことを鑑みると甚大でした。

子どもの内心の自由に踏み込む日の丸・君が代への強制やテストの点数など冷たい数値評価によって人を支配しようとする教育行政が、教職員、児童・生徒の人間としての尊厳を傷つけ続けていると言っても過言ではありません。

昨年こちらFCCJで「報道の自由賞」を受賞された斉加尚代監督の映画「教育と愛国」の中では安倍元首相が「教育に政治がタッチしてはいけないはずがない」と発言し、当時の大阪維新の松井知事と握手をしています。

その流れは止まらず、先の日本の軍国主義、侵略戦争を反省し、国に命を捧げよと教えた教育勅語を廃止して作られた民主的な教育基本法が崩されており、再び戦争できる国になって行くのではないかとさえ思えるのです。その斉加監督が大阪で私の「提言書」をめぐって生じた問題についても事態を深刻にとらえ、応援してくれています。

それでは、具体的に私の身に起こったことをお話します。

コロナ禍の発生から1年を経た2021年4月19日、当時の松井一郎大阪市長が、定例記者会見で「大阪市立小中学校は、全面オンライン授業を行う」と突然発表し、それがテレビのニュース番組で流れました。この時点で学校側はまったく何も知らされておらず、心配した保護者からの電話で初めて知りました。

すぐに市教委に確認したところ、市教委さえもこの教育政策上の重要な判断について知らされていませんでした。大阪市では教育政策について市長が先にテレビで発表し、学校現場が初めて知るというようなことは、それまでも何度もありましたが、今度ばかりは「全国に先駆けてオンライン授業やります、できます」という市長の政治的パフォーマンスに教育を使われていると実感し、憤りが沸き起こりました。

パンデミック下の1年間を経ても通信環境は整備されておらず、家庭の格差にも支援が行き届かない状況でした。そうした中でオンライン授業が不可能なことは明白でした。市長の言う通りにオンライン授業を実施すれば、学校だけではなく、子どもや保護者に大きな負担がかかり、混乱することは目に見えていました。

しかし、それ以上に、やっとコロナ禍の学校生活が落ち着き始め、心身のバランスを取り戻しつつある子どもたちを、全国臨時一斉休校になった1年前のあのしんどい状況に戻したくないという思いが、一番でした。学校では感染症対策を行いながらできるだけ対面で授業を続けてきており、子どもも家庭もそのことを望んでいたのでした。

だからこそ、いろいろと自分なりに教育委員会にも働きかけましたが、私の声は聞き入れられませんでした。できもしないオンライン授業が始まり、予想通り学校現場は大混乱しました。

教育現場への想像力を失い政治化されてしまった教育行政には失望するばかりでした。しかし、この十数年を振り返ると、こんなことは今に始まったわけではなく、2011年のダブル選挙で橋下徹氏が大阪市長に、松井一郎氏が大阪府知事になったときから始まったことでした。「おかしい」と思いながらも、自分一人が何か言ったところで変わるわけでもない、仕方がないと思考停止し、やり過ごしてきた自分がいたのです。

気がつけば、管理・統制強化の教育施策がどんどんトップダウンで降りて来て、学校現場は硬直し息苦しい場所になっていきました。子どもたちには「自分一人の意見だと思っても勇気を出して言おう、嫌なことはイヤだと言っても構わないんだよ」と言っておきながら、自分は黙ったまま・・・。市長への怒りは、自分への怒りにかわりました。

このまま何も行動せずに定年退職したら、一生後悔し続けると思いました。これは直接、市長に言うしかないと思い、2021年5月17日「提言書」を郵送したのでした。

しかし、この提言書を出したことが咎められて、3か月後の8月20日に明確な理由を示されないままに「文書訓告」処分を受けました。

学校現場からの当たり前の発信に対する見せしめのような処分に弁護士団体やたくさんの市民団体から、文書訓告取消しの要望が教育委員会に届けられました。周囲からの熱い声援を受け、2022年1月24日、自らも教育委員会へ「文書訓告取消しの要望書」を提出しましたが、教育委員会からの返答はないままでした。

アメリカ・ミネソタ大学名誉教授のクレイグ・キゾック氏が私の「提言書」を自動翻訳で読んだと、大阪公立大学の辻野けんま准教授に感想を寄せられたことがきっかけで、本人と対談する第1回のジョイントセミナーが開催されました。

そこに参加していた他国の研究者からもリクエストがあり、ドイツ、マレーシア、キューバ、ブルガリア、インドネシアの教育研究者との間でこれまでに計6回のジョイントセミナーが開催されてきました。そこには、十数か国以上の研究者が参加してくださり(ブラジル、南アフリカ、インド、キプロスなどからも参加)、今も交流が続いています。

海外の研究者の方々に「『文書訓告』をこのまま放置することは、後々の教育に悪い影響を及ぼすにちがいない。正統性のない理由での「文書訓告」を許せば、さらに何も意見が言えなくなり、ますます抑圧的な学校になる」と言われたことがずっと心に引っかかっており、2023年2月21日、大阪弁護士会に文書訓告処分取り消しを求めて、人権侵害救済申し立てを行うことを決心しました。

これは、自分個人の名誉を回復したいというような思いではありません。政治権力が不当に学校に介入してきたことへの異議申し立てが、あの「提言書」であり、その意見が「文書訓告」という形でさらに圧力をかけられたのです。もはや私個人の問題ではなく、子どもや教職員全体に対する人権侵害であり、許すことはできないと考えるに至ったからです。

私を支援してくれている市民応援団の方々が、これまでの行政とのやりとりから内部の意思決定があまりにも不透明であると情報公開請求を行った結果、驚くべきことが判明しました。私の処分には大阪市特別顧問の大森不二雄氏の市教委に対する指示があったのです。

大森氏は橋下元市長によって大阪に招かれた人物ですが、顧問はアドバイザーという立場であり、教育行政はあくまでも教育委員会の権限で執り行われるものです。であるにも関わらず、知事や市長の名前を出して市教委の幹部職員たちに何度も自身の意に沿うような政策変更を強要する多くのメールが明らかになりました。

教育基本法16条には「教育は不当な支配に服することなく」と謳われています。私は、これを世界的普遍性をもつ重要な文言だと感じているのですが、その法の理念そのものが破壊されつつあるのです。

大森不二雄特別顧問の教育委員会への関与のあり方を問題にするのは、政治的権力による不当な介入によって教育委員会の独立性が失われていることに他ならないからです。教育が極度に政治化されてしまい、子どもや家庭の状況、そして教職員の声が鑑みられなくなっていく中で、戦前のような非民主的な教育が進行しているのです。私が教師になるときに中国戦線に従軍したことのある祖父がこう言いました。「お前が教師になるならこれだけは覚えておけ、南京虐殺はあったんだ」と。

先日、文部科学省は令和書籍の歴史教科書を教科書検定で合格させました。これは教育勅語や日露戦争、南京虐殺、沖縄戦など、日本の戦争加害を伝えず自国の軍国主義を美化することばかり書かれた教科書で過去、3回不合格になっていたものですが、文科省が政治圧力に屈したと言われています。この問題も地続きだと思います。

わたしが教員になった頃のかつての大阪の教育はそうではありませんでした。「共に学び 共に育ち 共に生きる」を合言葉に、子どもたち一人一人を大切にした豊かな教育を創ろうとしていました。ところが、競争を強いられる現在では、小中高生の自殺者は、2022年が514人、2023年が513人となっており、自殺者全体の数は、この十数年で約30%減少しているのに対して、10代の小学生を含む子どもの自殺率は上がっているのです。また、10代の死因の第1位が「事故」ではなく、「自殺」というのは日本だけです。これほどまでに子どもたちが生きづらい社会とは何なのでしょうか。「子どもの権利条約」批准から30年、子どもの最善の利益を考えたい、その一念です。

このような悩みが決して大阪だけの問題ではなく、日本全国でも深刻化していることであり、海外の研究者も自分たちの国が直面している問題でもあると感じておられるのです。そうした中で、本日このような会見の機会が得られたことに感謝し、お集まりいただいた皆様に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

アーカイブ動画

◇日本海外特派員記者協会公式サイト

https://www.youtube.com/live/sA4RLHZgHDo c?si=WJNVcakG5_rDDkaz

◇Iwjサイト

https://youtu.be/qQDV3AKkSms?si=DzMTbF037QtsXqds