富山からの帰り道、岐阜県との県境にある白木峰 (1596m) を二人で歩いてきました。市内のホテルを朝5時少し前に出発。風の盆で有名な八尾の町を通り抜け、国道472号から471号へとたどります。1時間ほど走り、「21世紀の森」の看板を目印に左折して林道へ入ります。さらに30分弱走り、6時20分、標高 1300m の駐車場に着きました。ニッコウキスゲの最盛期を過ぎていることもあり、土曜日にもかかわらず先着の車は1台だけでした。
ここから白木峰頂上直下まで、急な登山道をたどるコースと林道コースがあり、どちらをとってもかかる時間に大きな差はないようでしたが、とりあえず登山道を行くことにしました。
登山口駐車場にある案内看板
1回目の林道交差点直下の登山道
登山道と林道は3回ほどクロスするのですが、最初の交差点までおよそ40分かかりました。かなり急で足場が悪いことと、ぬかるんで滑りやすいところがあることから、それ以上登山道を行くのはやめて、以降は林道を登ることにしました。
ゆっくりと林道をたどっていくと、あちらこちらに野生のオオバギボウシの花が露を抱いてみごとに咲きそろっています。
オオバギボウシ
登山口から1時間半ほど歩き、7時50分、白木峰の山頂に着きました。山頂到着直前には雲の切れ間に遠く槍ヶ岳の穂先が見えていましたが、数分後には雲に隠され、二度と姿を現しませんでした。
雲間遥かに槍ヶ岳が一瞬姿を見せる ・・・ 白木峰山頂手前にて
朝食をとり、ひと休みして、登り下りの少ない道を浮島の池まで歩きました。ゆっくり歩いても往復1時間ほどの道で、ところどころにニッコウキスゲがまだ残っていました。
遅くまで雪が残っていたと思われる谷あいにニッコウキスゲの群落が
池塘に影を映すニッコウキスゲ
いくつかの池塘があり、大変気持ちのよい高原です。雲が多く遠くの山は見られなかったけれど、快適に散策を楽しむことができました。
浮島の池 ここまで歩きやすい遊歩道が整備されている
浮島の池を巡る木道に腰をおろし、何もしないで30分ほどのんびりとした時間を過ごしました。池に浮かぶ浮島にはアキアカネがやってきて羽を休めています。木道にはキベリタテハが飛んできて、リュックにとまってなにやら蜜をすようなしぐさをしています。
池等に浮かぶ浮島で羽を休めるアキアカネ キベリタテハ
涼しくて帰りたくなくなりましたが、9時過ぎ、重い腰を上げ、来た道を戻りました。行く手には高原状に広がる緑の彼方に白木峰の頂上が見えます。
浮島池付近から白木峰頂上方面を見る
頂上に戻って三たび大休憩。1時間以上もここで時を過ごし、11時、山頂をあとにしました。帰路はすべて林道経由。道の脇には、タマガワホトトギスがかわいい花を咲かせています。
タマガワホトトギス
登るときには気がつかなかったので、朝遅い時間になって花を開いたものと思われます。アサギマダラが2匹飛んできて、オミナエシの花にとまりました。
アサギマダラ
およそ1時間の下りで、12時10分、駐車場のある登山口に着きました。車は10台以上に増えていましたが、駐車場がいっぱいになるほどではありませんでした。
帰路、高山をめざしてカーナビをセットすると、国道471号を指示。国道と思って安心したのが間違いで、これがとんでもない”酷道”。舗装はされているものの大部分はすれ違いも難しい細い道で、両側に茂った草が車体をこすります。帰ってから調べてみましたが、高山に出るにはこれ以外には大回りするしかなく、名古屋方面からのアクセスは不便な山、ということがよくわかりました。そういえば駐車場の車もすべて富山ナンバーでした。
最盛期を過ぎていたこともあり、出会った人は全部あわせても20数名。にぎやかな地元富山の女性4人組と何度か一緒になりましたが、話によるとニッコウキスゲの最盛期には駐車場に止めきれない車が林道の脇に並ぶそうです。おかげさまで今回は静かで涼しい山歩きをゆっくりと楽しむことができました。立山のような派手さはなく、遠くから訪れるには多少不便ではありますが、頂上近くまで車で入ることができ、山慣れない人には取り付きやすい名山、という印象を持ちました。次は北アルプスに雪の来る頃、好天をねらって訪れてみたい所です。