少し前にある方のツイートで知ったが、大阪には統一協会の集会場がやたらと多い。
しかし京都にはそう多くない。
大阪と京都は隣同士なのに、この違いは何なのか。
統一協会は、現在は「世界平和統一家庭連合」と名称変更した。しかし安倍政権下、当時に文部科学相だった自民党の下村博文の認可のもと行われた名称変更は、霊感商法など統一協会の数々の犯罪行為を隠蔽するものであった。その教義も、その組織の実態も何ら変わっていない。このブログでは、「世界基督教統一神霊協会」の略称である「統一協会」を用いていく。統一協会が「キリスト教」を騙った反共政治カルト詐欺集団である以上、キリスト教系の団体であることを誤認させる「教会」を用いるのは誤りである。まして「世界平和」だの「家庭連合」だの、名乗らせていいわけがない。
しかし大阪が統一協会の集会場だらけで、京都はそうでもないのは、27年大阪に住んでいると、なんとなく肌感覚でわかる。
京都には、にわかのカルトが入り込む余地はあまりないような気がする。何しろ、今は東京に行っているとはいえ、天皇という「主」がすでにいて、その周囲に坊主やら神官やら公家やら鬼やら魑魅魍魎やらが跋扈しているのだから。この魑魅魍魎に、京都で一大勢力を誇る日本共産党を加えることもできる。天皇制とスターリニズムの親和性の高さは、京都における日共の強さによく表れている。
まあ、天皇とか鬼とかいわなくても、京都の企業経営者の75%が、京都の大学出身者という調査結果を見たことがある。大阪の企業経営者で大阪出身者の占める割合は、2、3割いたらいいほうではないだろうか。よそものが京都で商売するハードルは高い。いわんやカルトをおいてをやである。
しかしなぜ大阪にこんなに統一協会の集会場が多いのか。
いくつかのファクターが考えられる。
第一に、全国でもトップクラスの在日韓国・朝鮮人のコミュニティの存在であり、そのネットワークである。日本に密航して統一協会を設立した西川勝(崔翔翼)は、もともと大阪出身だった。大阪の在日韓国人のネットワークは、布教や信者の獲得に大きな役割を果たしたことを想像するのはむずかしくない。
第二に、京都では統一協会=原理研=勝共連合の天敵である共産党が健在で、新左翼セクトも生き残っている。しかし大阪では共産党を除く左翼運動・学生運動、リベラル勢力は壊滅状態である。立憲民主は大阪市議会はゼロ、大阪府議会にわずか2議席にすぎない。唯一残る共産党も党勢衰退が著しい。反共保守の牙城といっていい。
第三に、箕面市の名誉市民だった笹川良一が築き上げた宗教右派のネットワークが、大阪に今も強固なものとしてあるのではないだろうか。
勝共連合の創設者で、名誉会長だった笹川良一は、アメリカで「自分は文鮮明の犬だ」と演説したという報道が伝えられた。山口組三代目とも親交を結んだ笹川の庇護と援助のもとに、統一協会=勝共連合が大阪を地盤に大きく伸長したのは想像することは難しくない。
笹川の影響力は、水子供養を親交の柱にする新興宗教の辯天宗から、「伝統と格式」ある摂津国一宮の住吉大社にも及んでいた。
松下幸之助も信者だった辯天宗の信徒総代が、笹川だった。1960年代、若き日の石原慎太郎が辯天宗の開祖に会ってルポルタージュを残しており、石原と辯天宗との交流は終生にわたった。辯天宗そのものは穏健な仏教系団体だが、政治家や経済人とのネットワークを通じて、関西の草の根保守勢力の一翼をなしてきた。
水子供養がブームになるのは1970年以降と言われるが、辯天宗はその先駆けというべきだろう。水子は生まれて間もなく海に流された日本神話の神・水蛭子より転じたものとされるが、水子を供養する信仰・習俗は比較的新しい。オカルトブームの影響が指摘されるが、私はそこに戦後の民主主義教育、生命尊重の教えの影響をみる。人工妊娠中絶を選ばざるをえなかった女性たちに癒やしと救いを与えたのが、水子供養ではなかったのか。
大阪で一大勢力を誇ってきた創価学会をはじめ、戦後の雨後の筍のような新興宗教の成長は、高度成長の陰の部分である庶民の貧・病・苦の存在を抜きに考えることはできない。しかし高度成長以降は、先祖の因果応報、水子の霊障などのオカルトが、人びとを信仰に誘うファクターになっていったのではないだろうか。
住吉大社は、知る人ぞ知る日本会議の一大拠点である。この5月にも、日本会議主催で青山某の講演会が行われたようである。権禰宜のK氏の娘は、安倍「私人」の5人の秘書のうち一人だった。
住吉大社と笹川人脈との関係は、住之江競艇場を通じたものだろう。松井一郎大阪市長の父の元大阪議会議長・松井良夫が、笹川良一の元秘書であることはよく知られている。松井親子は、住之江競艇場の照明・電気設備関係の工事・補修を一手に請け負う株式会社大通の元代表である。松井市長は議員時代に勝共連合の手伝いに行ったことを公言していたが、笹川良一の宗教右派ネットワークを継承したのが、大阪を私物化する政治利権集団・維新だといえる。
森友学園の籠池学園も本部は住之江区にあるが、住吉大社とは青年部つながりだったと記憶する。学校法人「森友学園」の小学校新設認可の取り下げをめぐり、同学園の籠池泰典氏は、理事長が大阪府の松井一郎知事に「ハシゴを外された」と怒りをぶちまけたが、住吉大社に巣食い、ギャンブル利権、アベ友利権に群がる同じ穴のムジナだったというわけだ。
統一協会と自民党・維新の癒着関係、共生共存関係が白日の下に晒されつつある今は、カルトを社会的に駆逐・打倒・解体し、大阪に、また日本に民主主義を取り戻していくチャンスであろう。
またどうぞよろしくお願いいたします。