新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃん姉妹とお父さんの日々。

それでも町は廻っている

2006年10月29日 | コミック/アニメ/ゲーム
■『それでも町は廻っている 2』石黒正数


期待して待ってきた甲斐はあった。

臨死体験の死後の世界、未知との遭遇。光線銃を拾った歩鳥のカットがいい。

実験的な要素も強くなってきた。冒険的でもあり、その分不安定なところも感じる。しかし歩鳥は最強のヒロイン。タヌキ犬ジョセフィーヌも、木星人に続くヒットだった。

ところで、「オレは山に帰るポコ」と歩鳥の夢に出てくるジョセフィーヌだけれど、Josèphineは女性名。宇宙語の誤植(?)を反省するのなら、こちらのほうが、傷は深いのではないか。

もっとも、「オレ女」がいても、別におかしくない(今もいるし、私の祖母はふたりとも一人称はオレであった。一地方一時代のジェンダーを固定的に考えないこと)。何より、ジョセフィーヌの名づけ親は、細かいことは気にしない歩鳥なのだろう。そして、雨のなか、消えたジョセを探すタカラヅカごっこは、「ジョセッ」(一拍おいて)「フィーヌ!」でなければ決まらない(実は家の中にいる)。

死後の町の物語は、「それでも営みを続ける町」を描きたかったと作者はいう(あとがきより)。1巻でバスで寝過ごし、終点までたどり着いて歩鳥が呟くセリフを思い出した。

「わー 知らない町だ
いやー 普段見えない所にも 人は暮らしているんだね
なんか安心したような……
ちょっと悔しいような不思議な気分だよ」

この歩鳥のセリフは、震災後、以前と変わらない大阪や宝塚の夜景を眺めた時の気分と同じものだった。震災後の死後の世界に生きているのは、私の方かもしれないと思いながら眠りについた。(次に眼を覚ますのは、焼け焦げたコンクリガラのあの廃墟だろうか)。

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