http://www.youtube.com/watch?v=PqJNc9KVIZE
このPVをヘビロテ中。振り返り驚いて目を見張るミクがいい。風にたなびく髪もいい。たとえ幻であったとしても、〈いま〉〈ここ〉を、全世界のクリエイターやオーディエンスと共有しているような喜び。
濱野智史氏は、初音ミクを育てたニコニコ動画の特異性を、「擬似同期」「n次創作」「Fluxonomy」(フラクソノミー:流転分類)の3点で説明している。
〈ニコニコ動画のタグのアーキテクチャは、そのタグを量子力学的に戯れさせることによて、人々を多様な作品の分類と解釈へといざなる。タグはハイパーリンクに自動的に変換され、ユーザはそれをクリックすることで、同じタグを付与された動画群に即座にアクセスすることができる。しかもこうしたメタデータの拡散プロセスは、基本的にタグ戦争に参加しない限り、ユーザたちに知覚されることはない。マルクスの有名な表現を借りるならば、個々のユーザーたちは、個体としてはその解釈の《多様性》を知ることはなくても、群体として《多様な》解釈を行うのだ。〉(「情報処理」vol.53 No.5特集の『CGMの現在と未来』より)
ここから導かれるのが、キャラクラシー(キャラクター民主制)というコンセプトである。
「ネット空間の匿名的集合知を政治の場に生かす新しい民主政治のあり方として、通常のように生身の身体を持った人間を政治家にするよりも、インターネット上での有志の協議によって作成された公約を持ったなんらかの虚構のキャラクター(例えば初音ミク)を選挙に出馬させて政治に参加させたほうがよいという構想・思考実験のこと。」(Wikipediaの解説より)
ただ、「匿名的集合知」が、虚構のキャラクターを召還して、「擬似同期」「n次創作」「Fluxonomy」を始めるのは、別にネット時代に始まったものではないし、固有の現象でもない。それはもう人類が始まったときからそうなのだ。アボリジニは天地創造時代をdream timeと呼んでいる。
〈ラジオというものはまったく宇宙的な問題である。地球全体が喋りまくっている。
……ああ! 黙って! 隣人のことを話すことなどおやめなさい、奥さんのこと、上司の話、部下の話などはおやめなさい。あなた自身に戻って、あなたのいろいろな原型のポエジーを養いなさい、あなたの根まで降りてごらんなさい。〉
(「夢想とラジオ」ガストン・バシュラール)