自分がずっと「こんなCDあったらいいのにな…」と思っていたアルバムを、自分で創ることにしました。しかも予想外の最強の布陣で。上の写真はスタッフ全員集合。左から、最高のピアノを使わせてくださったタカギクラヴィアの高木裕さん、私、ディレクターの内藤晃さん、エンジニアは元日本コロムビアの北見弦一さん。
今回のアルバムは全てバロック音楽で構成されています。メインとなる作曲家はパッヘルベル、ブクステフーデ、ラインケン…バッハが憧れたドイツの作曲家でまとめました。
パッヘルベルは「カノン」の作曲家として有名ですね。ですが、今回の選曲はカノンの印象を吹き飛ばすようなものばかり。きっとパッヘルベルへのイメージが変わることでしょう。
ブクステフーデという作曲家は普段、古楽に触れない方は耳馴染みがないかもしれません。或いは名前のみ知っている程度かも。若きバッハが多大な影響を受けた作曲家です。そして私も最も影響を受けています。
ラインケンは…今回録音した曲はチェンバロ曲なのですが、チェンバロですらほとんど録音が残っていない曲です。私はこの曲が本当に大好きで、とても可愛がっています。
まぁ…曲について等は後ほど。まだ収録曲についての情報は解禁になっていないはずなので…(笑)
最初に書いた「こんなCDがあったらいいのにな」というのは、「モダンピアノ」で「根拠のある」バロック音楽を演奏したCDのことです。
我々ピアニストにとって、レパートリーの中で最も古い作曲家というのはバッハになりやすいんです。他はせいぜいバッハと同い年のヘンデルやスカルラッティ。
ヘンデルはリヒテルとガヴリーロフによる組曲集がありますし、スカルラッティはホロヴィッツをはじめ、プレトニョフやティーポなど数え切れないほどモダンピアノによる演奏の名盤があります。バッハに至っては平均律をはじめ、一生をかけても聴ききれないほどモダン楽器での録音があります。
では、バッハより前は?
パッと思い浮かぶのはやはりグールドのバードやギボンズ集でしょうか?しかし、バロック音楽ではなく、もっと前の時代…いわゆるルネサンス音楽というやつですね。たしかに素晴らしい録音です。彼の演奏するスウェーリンクも素晴らしい。
他となると、つい最近の録音になりますが、トリスターノのブクステフーデ集でしょうか。ルネサンス音楽になってしまいますが、キット・アームストロングの演奏するものも本当に素晴らしいです。彼以上に知的かつピアノの可能性を最大限に引き出せるピアニストがいるだろうか?と思うほど素晴らしい(笑)
ですが、個人的に好きな音楽はバッハ以前のドイツもの。バッハ自身が強く影響を受けた音楽をモダンピアノで聴きたい。そんな思いが強かったです。鈴木雅明氏やヴァルヒャのオルガンを聴けばとてもワクワクし、ロンドーやコープマンのチェンバロを聴けばとてもドキドキします。
じゃあピアノでは…?
………残念ながらそのようなアルバムは見当たりませんでした。じゃあ自分でやるか…と。
つまり、自分が聴きたいアルバムを自分で創ろうということです。
しかし、やるからにはそんな気持ちだけでは成り立ちません。ずっと「ピアノ界」にブクステフーデの名を浸透させたい、パッヘルベルは「カノン」だけじゃないということを知ってほしい!と活動をしてきました。今回のアルバムにはその想いもそのまま込められています。
今後は収録曲についてやレコーディングの裏側なんかについて書いていこうかと思いますので、ちょくちょく覗いてみてくださいm(_ _)m
じゃバイバイ(^^)/
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