僕は名もない凡人でいたい

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星野道夫『ノーザンライツ』

2017年05月17日 | 本と雑誌
学生時代、大好きだった星野道夫さんの写真とエッセイ。
逗子の古本屋でまた再会できました。
厳冬の地で出会った人々への、著者のまなざしが温かいです。

  9月も半ばを過ぎると、フェアバンクスには晩秋の気配が漂ってくる。太陽の沈まぬ光に満ちた夏は遠く去り、美しい秋色も色褪せた。が、それを悲しむにはまだ早い。来るべき冬を待ちながら、風に舞う落葉を眺め、カサカサと枯れ葉を踏みしめる、不思議に穏やかな日々がまだそこにある。満ち潮が押し寄せ、再び引いてゆく前の、つかのまの海の静けさのようなとき。人の一生にも、そんな季節があるだろうか。
  (星野道夫「ノーザンライツ」新潮社 平成12年)


虐待に苦しみ、自分を消してしまいたかった当時の私。
死ねないのなら、せめて世界のどこか遠くへ行きたかった。

そんな時、星野道夫さんの写真とエッセイは、私の心を遠くへ遠くへと飛ばしてくれました。
今読んでも、言葉の一つ一つ、写真の一枚一枚が変わらぬ輝きを放っています。

番組の企画でクマに襲われ、亡くなられたとの事。テレビを見なかったので知りませんでした。
現在、没後20年特別展「星野道夫の旅」が全国展開されています。

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