トランプのソレイマニ司令官暗殺は サウジ・イランの和解阻止のためだった
トランプは嘘をついている。イランのソレイマニ司令官らを空爆で殺害した後すぐに、「司令官はテロリストだ」「差し迫った脅威があった」「私は被害が出るのを寸前のところで止めた」と弁明した。しかし、それは事実ではない。全く逆だ。トランプは中東での和平への試みを自ら妨害、破壊するために暗殺攻撃をしたのだ。
1月5日にイラクのアブドル・マハディ暫定首相はイラク議会で「ソレイマニ司令官は、サウジアラビアからの "地域危機の回避と和解をめざす提案" に対するイランの回答を持って、仲介するイラクの招請でやってきた」「司令官は暗殺された当日に私と会談の予定だった」と報告した。そして司令官殺害は政治的暗殺だと米の空爆を糾弾した。イラン・イラク・シリアの親イラン系組織全体が "サウジとの緊張緩和と和解について" 議論するために集まっていた。そのことを米軍はあらかじめ知っていて、和解の動きを阻止するために攻撃したのだ。だからこそ、イラクの暫定首相と議会は、怒りを持って "米軍がイラクから出て行くこと" を要求した。驚くべきことに、日本のメディアはこの事実を一切伝えなかった。
トランプの司令官暗殺により、米イラン間の緊張が突如戦争寸前のレベルに跳ね上がった。イラン側の冷静で忍耐強い行動がなければ報復の応酬と全面戦争につながっただろう。中東全体に戦火を巻き起こし大惨事をもたらすトランプの火遊びを許すことはできない。
トランプは、「戦争にするつもりはない」と言う。しかし、イランの報復攻撃後に追加で制裁を課した。制裁は別の形の戦争だ。貿易を遮断し物資を不足させ、イランの人びとを苦しめ、子どもや老人など弱者を死に至らしめる。現代の兵糧攻めなのだ。人を人とも思わない戦争行為に他ならない。
自衛隊中東派兵反対! こんなトランプの戦争に加担するのか
中東での緊張激化・武力衝突をトランプとアメリカが仕掛けていることは明らかだ。そもそも、イラン核合意から一方的に離脱し、制裁と武力の威嚇でイランに屈服を迫り戦争の危機を作り出しているのはアメリカだ。直ちにアメリカが中東から出ていくことを要求する。
日本はアメリカの要請に応えて自衛隊を中東に派遣した。河野防衛大臣は「有志連合には加わらない」というが、米軍のために情報を集め、全部差し出すために行くのだ。参加しているのと何も変わらない。「危険が迫れ」ば海上警備行動や戦争法発動に切り替えるという。中東でイランを武力で威嚇し、戦争の危険を高めているのはトランプ政権だ。それに協力して軍艦と哨戒機を送るのは、米軍の戦争への加担に他ならない。安倍首相は「平和と安定のために行く」のだというが、全く逆だ。戦争の危険を高めるだけだ。
日本が侵略行為に加担し戦争に加わることは許されない。憲法9条に違反するばかりか、国会審議さえ逃げた内閣独断での海外派兵に断固反対する。 (2020.1.19)