「梅雨」はなぜ「梅の雨」と書くのでしょ~か?
「梅雨」とは 春から夏へと 季節が移り変わる時
中国の長江流域から 朝鮮半島南部
そして 日本列島(北海道と小笠原諸島を除く)において見られる
特有の気象で 毎年めぐってくる
それほど雨足の強くない雨が 長期に亘って続くのが特徴
現在 中国では「梅雨(メイユー)」 韓国では「長霖(チャンマ)」と呼ぶ
梅雨の時季が始まることを梅雨入り
梅雨が終わって夏になることを梅雨明けと言い
日本各地の地方気象台・気象庁が 梅雨入り・梅雨明けの発表をする
「梅雨」は 東アジア特有の雨期であり
「梅」も 東アジアにしか生息しない植物
梅雨は 中国から「梅雨(ばいう)」として伝わり
江戸時代頃より「つゆ」と呼ばれるようになりました
「日本歳時記」には 「此の月淫雨ふるこれを梅雨(つゆ)と名づく」とある
中国では 黴(かび)が生えやすい時期の雨という意味で
元々「黴雨(ばいう)」と 呼ばれていたものを
「かび」では語感が良くないので
同じ読みで この季節に合った「梅」の字を使ったとする説
「梅の熟す時期の雨」という意味で
長江流域では 元々「梅雨」と呼んでいたという説があります
「つゆ」と呼ばれるようになったのも いくつか由来があり
葉などに降りる「露(つゆ)」から連想したとする説
梅の実が熟して潰れる時期であることから 「潰ゆ(つゆ)」とする説
黴で物がそこなわれるため 「費ゆ(つひゆ)」と
関連付ける諸説があるようで 梅雨の語源は未詳部分が多いです
語感として最も美しい語源は「露」ですね
ちなみに 「梅雨」という言葉が伝わる以前は
「五月雨(さみだれ)」でした 「さ」は 陰暦5月(現在の6月)
「みだれ」は「水垂れ」です
梅雨(つゆ)は梅雨(ばいう)〔Baiu〕とも呼ばれ
こちらは国際用語として認められています
梅雨は 中国では 古くから使われていた言葉で
盛唐の詩人 杜甫(712~770)も 「梅雨」と題した詩を詠んでいます
梅の実が黄色く熟す頃になると 「冥々として細雨至る」と
雨のうっとうしさを 美しい言葉で 言い表した詩です
日本をはじめ 東アジアでは 湿気が多く不快なこの季節も
ところ変わって ヨーロッパでは
最もさわやかで 気持ちのいい 季節になり 結婚式も好まれ
「ジューン・ブライド(6月の花嫁)」 という呼び名が
あるほど 実に対照的です
陰と陽 2つの梅雨タイプ
梅雨どきの天気は 雨の降り方の特徴から
陰性型と 陽性型の 2つのタイプに 分類することができます
陰性型は、しとしと冷たい雨が降り
気温の低い日が続くタイプ
一方 陽性型は 雨が激しく降ったかと思えば
強い日ざしが照りつけるなど
変化が大きいタイプで 気温が高いのも特徴です
一般に 西日本では 陽性型が現われやすく
特に 梅雨の後半には 集中豪雨などのような
激しい雨が目立ちます
東日本では 梅雨の前半には 陰性型が
後半には 陽性型が 現われやすくなります
梅雨は 農作物の 成長には 欠かせない 恵みの雨です
田植え時でもある この季節 植えられた苗は
一雨ごとに ぐんぐん 育っていきます
私たちが 秋に おいしい新米を 食べられるのも
梅雨のお陰なんですね
梅雨に 雨が降らなければ 夏に水不足・・・
田んぼは カラカラに 乾上がり 稲も枯れてしまいます
一方 梅雨が長引きすぎても 今度は 冷害が心配になるところ
いつも通りの 梅雨が通り過ぎて
そして 盛夏を迎えるのが 一番なのです
梅雨どきの 青い田んぼを よく見れば
カエルやオタマジャクシが たくさん育ち
道端では 赤紫や 青紫の 紫陽花が 雨に濡れて
つやつやと輝いています
生物が 豊かに息づき 意外にも目にも鮮やかな
この季節 雨も楽しめそうですね
耳になじんだ雨の童謡
アメフリ 作詞 北原白秋 作曲 中山晋平
アメアメ フレフレ、
カアサン ガ
ジャノメ デ オムカイ、
ウレシイナ。
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン。
カケマショ、カバン ヲ
カアサンノ
アトカラ ユコユコ
カネ ガ ナル。
ピッチピッチ
チャップチャップ
ランランラン。
アラアラ アノコ ハ
ズブヌレダ、
ヤナギ ノ ネカタ デ
ナイテイル。
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン。
カアサン、ボクノヲカシマショカ。
キミキミ、コノカサ、サシタマエ。
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン。
ボクナラ イインダ、カアサンノ
オオキナ ジャノメ ニ
ハイッテク。
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン。
誰もが知っている雨降りの歌
「アメフリ」は詩人 北原白秋(1885~1942)の作で
大正14年 『コドモノクニ』 11月号に
発表された 子どものための 童謡です
歌詞の表記が すべて カタカナという
当時としては 画期的なものでした
何の心配もない 子ども時代の
楽しさを やさしく 歌い上げた 雨の名歌です
いずれにしても 梅雨時は
天候だけでなく 体調も気分も 湿りがちで
何かと疲れが 出やすいころです
充分な睡眠や 休養をとり
規則正しい バランスのよい食事を 心がけるなど
しっかりと 健康管理を 行いましょう