空飛ぶ自由人・2

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小説『星くずの殺人』

2024年07月15日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

作者の桃野雑派(もものざっぱ)は、
本業はゲームのシナリオライター。
(そちらでは、桃ノ雑派と名乗る)
2021年に「老虎残夢」で第67回江戸川乱歩賞を受賞し、
その受賞第一作

民間宇宙旅行が可能になった近未来の話。
そのモニターツアーで、
抽選で選ばれた5人の参加者、
(参加費は3千万円)
と1人の無料招待客、
宇宙船の機長と添乗員の8人が宇宙に旅立つ。
主人公は添乗員兼副機長の土師穂稀(はせ・ほまれ) 。

最初はジェットエンジンで水平飛行し、
大気が希薄になる高度15キロメートルで
ロケットエンジンに切り替える。
飛行時間5時間15分で、
宇宙空間に建設されたホテル「星くず」に到着。
ホテルも試し運営中だ。

到着してすぐに、
機長の伊東が殺される
それも無重量の倉庫の中、首吊り状態で。
重力がないのに首吊り?
ホテルの従業員はモニターで所在が明らかでアリバイがある。
だとすると、ツァーの参加者の中に殺人犯がいる
ホテルの従業員は早々と脱出ポッドで地球に帰還してしまい、
残された参加者6人とホテルの支配人と技師の計8人。

こうして隔絶した宇宙空間という
クローズド・サークルが誕生する。
これは、新手

クローズド・サークル(closed circle )・・・
ミステリ用語で、
何らかの事情で外界との往来が断たれた状況下で
起こる事件を扱った作品を指す。

参加者6人は、
東京の元不動産業者、千葉の飲食店社員、神奈川の清掃業者、
静岡のフリーコンサルタント、福岡の介護職、
そして、無料招待枠を当てた京都の女子高生。

添乗員の土師はツアーの続行か中止かを迫られる。
やがて第2の殺人が起こり、
ホテル館内のWiFi装置や防火装置が破壊されていることが判明し、
抽選で選んだはずの参加者の中に
昔の因縁のある者がいることが発覚、
その上、火気厳禁のホテル内で爆発が起こったり、
地球との通信をするために
土師が宇宙服で船外に出ることになって
生命の危険にさらされる、
などの事件が続けざまに起こる・・・

というわけで、隔絶した宇宙、
地球との通信が絶たれる巨大密室
の中でのミステリーが続く。

面白い設定だが、
もう一つ話が弾まないのは、
6人の参加者の描き分けが十分でないことと、
犯人の動機が、えっ、そんな、
というものだからだろう。
全体的に薄っぺたい。

女子高校生を主人公にした続編が発売されている。

途中まで読んだが、やめた。