衆議院議員選挙が終わり、5日。
投票翌日だけでは分からなかった
主権者・国民の投票行動が明らかになってきた。
個人の当選者については、
地元での諸事情があったり、
個人的な恩義があったりして、
必ずしも直接国民の投票行動は明確ではないが、
比例区の投票結果を見れば、
国民がどの政党に期待したか、
どの政党を忌避したかが判明する。
前回2021年衆議院選挙の得票数と比較すると、
結果は、次のとおり。
自由民主党 1991万→1458万 -533万票
公明党 711万→ 596万 -115万票
日本維新の会 805万→ 509万 -296万票
共産党 416万→ 336万 - 80万票
社民党 101万→ 93万 - 8万票
立憲民主党 1149万→1155万 + 6万票
国民民主党 259万→ 616万 +357万票
れいわ新選組 221万→ 380万 +159万票
参政党 0 → 187万 +187万票
日本保守党 0 → 114万 +114万票
公明党の減少は、基礎となる創価学会員の高齢化のせい、
維新の減少は、万博問題のせい、
共産党、社民党の減少は時代の反映だが、
自民党の激減は、
石破自民党に対する「NO」の表明と見て、間違いない。
自民党政権が長く続いた理由は、
「他に入れる党がない」からだ
と言われて来たが、
その自民党票が、
総裁選を経ての自民党への見限りで、
ついに決壊したというのが実情だろう。
では、失った533万票がどこに流れたのか。
立憲民主党の増加はわずか6万票。
いくら自民党から離れた支持層も
さすがに立憲民主党には入れなかった。
であれば、その票の受け皿として、
国民民主党、れいわ新選組、
そして、初めて衆議院議員選挙に参加した参政党と
立党したばかりの日本保守党に流れた
と見るのが当然だ。
長年の政権維持で腐敗した自民と公明党には投票せず、
かといって立憲民主党を比較第1党にはせず、
自公政権が政策を立てるにおいて、
野党の政策を取り入れざるを得ない状況を生んだ、
いつもながら、
国民は絶妙な匙加減を発揮したのである。
一番主導権を握っているのは国民民主党で、
さっそく103万円の「年収の壁」の
178万円への引き上げが検討されている。
これは、給与生活者の妻がパートなどで働く場合、
103万円を越えると、所得税が発生し、
夫や両親の扶養家族からも外れるので、
世帯の住民税や社会保険料にも影響が出る。
そのため、11月や12月になると、
収入総額が越えないように、働くのを調整するので、
人手不足に陥るため、企業が困る。
つまり、国民の勤労意欲を著しく損なう制度なのだ。
今の103万円が決まったのは1995年だから、
30年近く経っていて、
物価水準、給与位水準が上昇したにもかかわらず、
据え置かれている、時代遅れの制度。
178万円に引き上げれば、
サラリーマンの妻やアルバイト学生たちも安心して働ける。
財務省は「7から8兆円の税収減になる」と脅しているが、
これに対して玉木雄一郎国民民主党代表の切り返しが見事だ。
「この試算は素晴らしい。
つまりは、7兆円の国民の手取りが増えるということでしょ」。
ああ、そうなのか、と思う国民も多いだろう。
まさに「手取りを増やす」こと。
そうなれば、国内需要が増加し、
景気浮揚にもなるし、
結果として税収も上がる。
GDPも上昇する。
こういう、先を見通した政策が議論されるのは、
喜ばしいことだ。
財務省の圧力で
自公独裁政権では決して出来ないことが、
今度の自公過半数割れで実現する。
ところで、「自公で過半数」という勝敗ラインを自ら設けた石破氏は、
辞任せず、政権に居座るという。
4日前の本ブログで、
数々の判断ミスを明らかにしたが、
このような重大な判断ミスを連発する人物には、
国の運営を任せることは出来ない、
というのが選挙結果というものだ。
さかのぼれば、石破氏は、
2007年、参議院選挙に敗北した安倍総理に退陣を迫ったことがある。
2008年、支持率の低迷を理由に麻生内閣にも退陣を迫った。
その同じ人物が
衆議院議員選挙の惨敗、
支持率の低下にもかかわらず、
政権に固執するとは不思議な話だ。
そういう人間だったのだ。
安倍さんは、石破氏について、
「あいつだけは駄目だ」と言っていたという。
それは、石破氏の人間性を見抜いてのことだっただろう。
総裁選、その後の変節、敗北の責任回避で、
その人間性は明らかになった。
「史上最短の政権」となるのがいやなら、
それが過ぎた適切な時期に
自ら辞任するのが筋というものだが。
はて。
不思議なのは、
石破氏の「国民的人気」というやつ。
それが虚構だったことは、
今度の選挙で明らかになったが、
もしかして、
架空の「国民的人気」を書きたて、
総裁選で石破氏を選ばせ、
衆議院議員選挙で敗北させる、
それはマスメディアが描いた陰謀だったのではないか。
そうとさえ思える。
うがった見方だとは思うが。