空飛ぶ自由人・2

旅・映画・本 その他、人生を楽しくするもの、沢山

貨幣博物館

2024年09月14日 23時00分00秒 | 名所めぐり

先日、日本橋まで出かけ、

ここ↓へ。貨幣博物館

場所は、ここ↓。

日本銀行本店に隣接し、
日本銀行金融研究所内の2階フロアに設置。
1982年(昭和57年)に
日本銀行創立100周年を記念して設置され、
1985年(昭和60年)11月に開館。

入場料は無料

この展示品は、

ストロボで撮ると、

こう変身。

入口付近。

映像で貨幣の歴史を見ます。

館内は写真撮影禁止なので、
ネットの写真から拝借。


館内には古代から現在に至るまでの「日本の貨幣史」
世界の貨幣・紙幣を紹介する「さまざまな貨幣」
および「テーマ展示コーナー」からなります。
発掘された貨幣や、軍票、記念硬貨などが
順路毎に約3000点が展示されています。

 

 

古代
物々交換から物品貨幣へ
わが国における貨幣発行の開始

中世
中国銭の使用

近世
江戸時代幣制の芽生え
独自の幣制の成立
幣制の安定と動揺

近現代
明治初期の幣制混乱
円の誕生
日本銀行の成立
金本位制度から管理通貨制度へ

さまざまな貨幣
海外の貨幣・紙幣など 

                                                                     

いただいた印刷物。

すぐ側に日本橋三越があるので、
行ってみました。

本館は初めて。

ここを通ると、

見えて来たのが、天女像。

横から。

後ろから。

4階から。

正面から。

見下ろす。

高級な店。

地下の食品売場も高級な店ばかり。

地下鉄への通路。

駅の名前の通り、直結しています。

 


小説『マリリン・トールド・ミー』

2024年09月12日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

                        
2020年春。
瀬戸杏奈(あんな)は田舎から東京の大学に出て来た。
時はコロナ禍の最もひどい時で、
緊急事態宣言下、
入学式も中止、通学もなく、オンライン授業。
ステイホームの自宅自粛で、
外出さえはばかられる時代。
楽しい学園生活を夢見て上京してきた杏奈には、
苛酷な日々だった。

そんな鬱々とした日、
田舎から持って来た
プリンセス・テレフォンという
古いおもちゃのような電話器が鳴る。
出てみると、相手はマリリン・モンローと名乗った。
電話線はつながっていないはず。
電話のマリリンは日本語を話す。
あるいは幻影だから、何語ということもなく、
杏奈の心に話しかけてきたのかもしれない。
いずれにせよ、
杏奈とマリリンは、2020年の日本と
1962年のアメリカとの間で、
時空を越えた会話を交わす。
ふたりの女性の孤独が時を超えて交錯する。

マリリンは、「セックス・シンボル」と呼ばれ、
頭の弱いいブロンド娘の役ばかり当てられるのをいやがっていた。
それで、ニューヨークの俳優学校に入って、
演技の勉強をしているのだという。

世代的に見て、杏奈はマリリンの映画など見たことがない。
しかし、「セックス・シンボル」としてのマリリンは知っていた。
杏奈はそのイメージと電話で語るマリリンのイメージの落差に驚き、
マリリンについて調べ始める。
すると、作られたイメージのマリリンとの違いが浮き上がって来た。


なにしろ、マリリンに関する自伝のような書物は
全て男性が書いたものであり、
その視点でマリリンの虚像が作られていたのだ。
マリリンの少女時代の性虐待の経験も、
「自分を悲劇のヒロインに仕立て上げるものであった」
という調子に。
行間は男性著者の想像と偏見で埋められ、
何気ない言葉の端々に女性嫌悪が滲んでいる。

映画会社の重鎮たちに肉体を要求された件も、
そういう要求をした男性を責めるのではなく、
求めに応じた女性を非難する。

学校閉鎖から2年が経ち、
大学生活が始まる。
新入生たちが大学生活を謳歌しているのを見て、
自分たちの2年間は何だったんだろうと嘆く。
しかも、3年生以上は、
ソーシャルディスタンスのマナーのもと、
人と物理的に距離を置く癖がついているのだ。

杏奈はジェンダー学専攻のゼミに参加し、
男女差別や性被害の実情を知り、
マリリンのハリウッドでの生活を思う。
ハリウッドの男社会は、
今で言うセクハラの王国だった。
しかし、マリリンは自分に課せられたイメージに
敢然と挑戦し、
意に沿わない役はボイコットし、
自分のプロダクションを立ち上げる。
マリリンはハリウッドで受けた性被害を告発する。
後年、「Me Too」運動が起こるはるか前のことだ。

杏奈はマリリン旋風が
アメリカとは1年遅れでやってきた日本の映画雑誌で、
マリリン否定論が横行していたことも分析する。
女性たちでさえ、
マリリンを女性の敵のように扱う論調。
この部分はよく調べたと瞠目した。

指導教官の導きを受けて、
杏奈が卒業論文のテーマに選んだのは、
コロナ禍で心の支えになってくれたマリリン・モンローだった。
当時の資料を読み漁るうちに浮き彫りになったのは、
マリリンが受けた性的虐待、映画界の女性蔑視、
働く女性の苦悩、今の時代も根深く残る男性社会の問題。
主人公が学ぶジェンダー社会学の視点から考えるそれらのテーマは、
マリリンが生きた時代から60年が経過した
その歴史の記録とともに読者の心を強く揺さぶる。

杏奈はそうした話をゼミでし、
それを卒業論文としてまとめる。
題名は「セックス・シンボルからフェミニスト・アイコンへ
     マリリン・モンローの闘い」
マリリンは男社会のハリウッドで、
果敢に女性の権利を主張した人物、
闘う女だった。
もし彼女が現代に生きていたら。
セックス・シンボルでなくフェミニスト・アイコンとして、
認められた音のではないか、
というのが基調だ。
今生きていれば、98歳。
                   
コロナ禍の女史大生の苛酷な日常を描く本だと思っていたら、
詳細なマリリン・モンロー論に縁どられ、
ジェンダー問題をからませた、
実質硬派な小説だった。
マリリンとの電話は、後半出て来ないのが残念。
せめて「ありがとう」か「さよなら」の電話があっても
よかったのではないか。
どうせ、幻影なのだから。

私はマリリン・モンローは好きだし、
「お熱いのがお好き」(ビリー・ワンルダー監督 1959)は、
「宇宙旅行に持っていく10本の映画」の1本だ。


そこでもマリリンは、
男運のない、頭の弱い金髪娘を演じている。
でも、何と魅力的なこと! 
マリリンはこの作品で
ゴールデングローブ賞の主演女優賞(ミュージカル、コメディ部門)を受賞している。
映画そのものの評価も高く、
AFI(アメリカ・フィルム・インスティチュート)が
2000年に選出した
「アメリカ喜劇映画ベスト100」で、
第1位に選出されている。
マリリンは映画の歴史でも評価されているのだ。

私自身のマリリン像も一新させられる本だった。

 


浅田真央アイスショー「Everlasting33 」

2024年09月11日 23時00分00秒 | 映画関係

 [映像紹介]


         
今年6月に、立川ステージガーデンで15公演のみ開催され、
チケットが入手困難だったアイスショー「Everlasting33 」
6月16日の千穐楽公演の模様を収録して、映画館のスクリーンで上映。
劇場型アイスショーだというので、
興味を持って出かけた。

普通スケートのショーはアイスリンクで開催される。
360度の観客に囲まれ、全方向からの視線にさらされる。

今回はステージ上に氷を張り、
観客は、主に正面におり、


それに合った造形が要求される。
全く新しい試みだ。

結果は、堪能した。
「ファンタジー・オン・アイス」などの公演では、
スケーターが一人ずつ演技をし、
全員で滑るのはオープニングとフィナーレのみだが、
このショーでは、ソロ、デュエット、群舞と変化がある。
特に、群舞スケートの造形がことのほか美しい

フィギュアスケートの表現だけに留まらず、
空中を舞うエアリアルコンテンポラリーダンス
タップダンスなど新たな表現も取り入れている。

浅田真央は、シューズを脱いで裸足でコンテンポラリーダンスを、


タップシューズを履いてタップダンスも披露する。


エアリアルは、さすがに布を用いた演技は無理だったようだ。

音楽が素晴らしい。
「ボレロ」などクラシック音楽、
「眠れる美女」などのバレエ音楽、
「ゴッドファーザー」などの映画音楽、
「ウエストサイド物語」などのミュージカル、
ラテン音楽など
選曲のセンスが光る。
これは、音楽監督(指揮も)の井田勝大の功績だろう。


しかも、全曲オーケストラの生演奏
特にスケートはバレエ音楽との相性がいいと感じた。

スケーターはわずか11名だが、
もっと大勢いたように感じさせた。

浅田真央 田村岳斗 柴田嶺 今井遥 
小山渚紗 中村優 山本恭廉 松田悠良
マルティネス・エルネスト 今原実丘 小林レオニー百音
競技に出ない人たちのようで、知らない人たちばかりだが、
技量は確かだった。
タップダンスのゲストはHIDEBOH
コンテンポラリーダンスのゲストはSeishiro

2時間16分、全く飽きさせず、
料金一律3000円が安いと感じさせた。

総合演出は浅田真央
キャストの選出、振付、演出、楽曲、衣装とショーの細部に至るまで
全て彼女自身がプロデュースしたらしい。
演出家としての幅の広さと才能を感じさせた。

Everlasting は“永遠”という意味。
そして、33の薔薇の花言葉。
浅田真央の今の年齢でもある。

羽生結弦と浅田真央といえば、
日本フィギュアスケートの双璧。
しかし、引退後、一緒には仕事せず、
それぞれが座長としてアイスショーを続けている。
羽生結弦はついに、ワンマンショーにまで昇りつめた。
一方の浅田真央のこのショー。
スケートショーのジャンルを越えた
総合芸術としての水準を確立した。
ラスベガスの常設公演をしてもいいくらい。
二人の動向は目を離せない。


しながわ水族館

2024年09月10日 23時00分00秒 | 名所めぐり

東海七福神の最後、磐井神社を訪れた後、
第一京浜沿いに歩いて、

ここへ。

しながわ水族館

JR品川駅側にある
アクアパーク品川とは別の施設です。
ここの最寄り駅は大森海岸。

これは、しながわ区民公園の入口で、

水族館は、その南端にあります。

ここが入口。

シルバーは1200円。

1991年10月19日オープン。

事業主体は品川区で、
管理運営は㈱サンシャインエンタプライズ。

品川区民や通勤者には割引制度があります。

530種、約13000匹の海の生き物がいます。

「水族館」って、よく考えると、妙な名前だと思いませんか?
「動物園」「植物園」はいいとしても、
「水族」とは。
ちなみに、「海水浴」というのも、
妙な言葉だと常々思っていました。

1階の「海面フロア」では
東京湾の魚や生物などを展示、

地下1階の「海底フロア」では


巨大なトンネル水槽を通ることができます。

世界一大きいタカアシガニ

クラゲのコーナー。

変わった生き物ですね。

タコが

管をくぐり抜けます。

これは、

葉っぱに乗せたエサを水中から水鉄砲のように狙い落とす。

腹ごしらえで、外へ。

軽食コーナー。

ショーのスケジュール。

イルカショー

あまりうまく撮れなかったので、拝借した写真。

どうやって教え込むのでしょうね。

尾びれを振って、バイバイ。

トンネル水槽での水中ショー

ダイバーが餌をあげます。

これも、拝借した写真を。

小さな水族館ですが、
平日にもかかわらず、
家族連れで一杯でした。

 

 


小説『喫茶おじさん』

2024年09月08日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

主人公は松尾純一郎、57歳。
大手ゼネコンを早期退職し、
退職金をつぎ込んだ喫茶店を半年で潰し、
現在無職
再就職先を探しているが、
それほど切羽詰まっているわけではない。
当面の問題は、
妻の亜希子が家を出て、
大学生の娘・亜里砂が暮らすアパートに移り住んで約半年、
つまり、現在は別居中で、
離婚の危機が迫る。

その松尾純一郎、
ふらりと入った喫茶店で、
コーヒーとタマゴサンドを味わい、
せっかくだからもう一軒と歩きながら思いついたのが、
「趣味は喫茶店、それも純喫茶巡り」

というわけで、呑気な中年男の喫茶店巡りの日々を描く。
「一月 正午の東銀座」
「二月 午後二時の新橋」
と、月と刻限と場所が違う12の章で成り立つ。
つまり、1月から12月までの一年間
場所も東銀座、新橋、学芸大前、アメ横、渋谷、
谷中、新橋(2度目)、赤羽、池袋、京都、淡路町と、
京都を除き、東京都内の各所を徘徊する。

離婚した前妻の小料理屋に友人に連れられて行ったり、
未来を嘱望されながら、
純一郎と共に早期退職に応じた友人の移住先を訪ねたりする。
順調そうに見える友人の老後も、やはり苦いものだった。
また、喫茶店学校で一緒だった若い女性の店を手伝ったりする。
娘にも時々会う。
喫茶店経営時にアルバイトで雇っていた青年と
娘が付き合っていることを知って、やきもきしたりする。
その娘や妻や別れた前妻や友人に言われるのは、
「あなたは何も分かっていない」という言葉。
自分の置かれた環境がどれほど恵まれているか分かっていない、
ということらしいが、純一郎には、その自覚がない。

メインは、喫茶店で出される料理の数々。
オムレツやナポリタンやトーストセットやフルーツサンドや・・・
もちろんコーヒーの味にも言及する。
実在の喫茶店を彷彿とさせるが、
その店舗名を明かしていない。
本当は明かしてほしかった。

最後は妻と離婚し、財産を分け、
良い物件を見つけて、
そこそこ食べていけるだけの小さな喫茶店を始め、
店の奥で寝起きする。
なるほど幸せな人生だ。

私も学生の頃は喫茶店によく行った。
レポートや原稿書きで
何軒も梯子した。
なぜか喫茶店だと筆が進む。
まだ、ドトールが出現する前で、
スタバなど影も形もない時代。
マクドナルドもなく、
コンビニのコーヒーなんてあるばずがない。
私は酒を飲まないので、
人との会合はもっぱら喫茶店で、
友人と長話をしたり、
一人でのんびり書き物をする場所だった。
食事をするのもいいし、
モーニングも幸福だ。
トースト食べ放題の店もあった。
皿が空くとトーストを持って来てくれて、
もう要らないと断ると、
皿を持って行ってしまうシステム。
どの喫茶店も大体2時間が限度だった。

今は、喫茶店でゆっくり、という想念そのものが自分にはない。
家でコーヒーメーカーで飲むのが至福の時間。

この本を読んで、久しぶりに純喫茶巡りをしてみようかな、
などという気持ちになった。

仕事を終えた男の老後の生き方の一つが描かれた小説。

この原田ひ香という作家、初読みだが、
何だか切り口がユニークな気がする。