[映画紹介]
ドラマシリーズ「マンダロリアン」は、
ディズニープラスで配信されている
「スター・ウォーズ」のスピンオフ(外伝)作品。
マンダロリアンとは惑星マンダロアを中心として活動する戦士集団。
高い戦闘技術を擁し、賞金稼ぎや傭兵を稼業とする者もいる。
種族・人種としては惑星マンダロア出身の人間が大多数を占めているが、
種族や出身地に制限は設けられておらず、
戦士集団としての文化や教義に従う意思を重視する。
この映画の中でも、
「マンダロリアンは種族ではなく、教義だ」
というセリフがある。
物語の設定時期は、
「スター・ウォーズ」のエピソード6「ジェダイの帰還」から5年後、
エピソード7「フォースの覚醒」の25年前に位置する。
銀河帝国の崩壊からファースト・オーダーの出現の間だ。
主役は、孤独な賞金稼ぎのマンダロリアンのマンドー。
帝国とつながる集団から、50歳の獲物を捕獲する依頼を受ける。
獲物を捕らえてみると、
それはヨーダ種族の子供、グローグーで、
50歳といっても、ヨーダ族は成長速度が遅いので、
まだ幼児の形態をしている。
したがって、ザ・チャイルド、ベビー・ヨーダとも呼ばれる。
ザ・チャイルドを依頼主に引き渡し、
貴重なベスカー鋼を報酬として受け取ったマンドーだったが、
いつの間にかザ・チャイルドに愛情を持つようになっており、
売ったという罪悪感から、奪い返す。
それは掟を破ることで、賞金稼ぎのギルドに追われ、
隠れ住む他のマンダロリアンに助けられつつ、
逃走中に様々な世界を訪れ、
ジェダイにザ・チャイルドを届ける旅を続ける。
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というわけで、マンドーとザ・チャイルドの子連れ旅を描く。
マンドーの脇を空中に浮く乳母車が移動し、
「子連れ狼」みたいだ、と思ったら、
本当に「子連れ狼」を参考にしたと関係者が言っていた。
ザ・チャイルドはヨーダ族としては成人していないが、
時々フォースの力を発揮して、マンドーの命を助けたりする。
ただ、まだ未熟なため、
フォースを使った後は、
眠気に襲われて眠りこけたりする。
途中立ち寄った緑豊かな星で、
元反乱軍ショックトルーパーのキャラ・デューンに出会い、
平和を愛する村人に、
襲撃者から守ってくれるよう依頼を受け、
二人は村人を戦闘訓練し、襲撃者と戦うという、
「七人の侍」みたいな展開になる。
これも、メイキング映像で製作総指揮のジョン・ファブローが、
「七人の侍の回」と言っているから、
やはり「七人の侍」へのリスペクトに違いない。
新銀河共和国の監獄船から囚人を救い出す作戦に協力したり、
マンダロリアンの立てこもる建物から脱出するために、
溶岩の川を船で渡ったり。
途中、父母を全員殺されたマンドーの過去も明らかになる。
タトゥイーンの街では、
街を襲うクレイト・ドラゴン掃討作戦に参加したりする。
カエル型種族の未授精卵を届ける旅に付き合い、
その途中、不時着した氷の惑星の洞窟内で、
蜘蛛の群れに襲われるという「エイリアン」みたいな場面も起こる。
タイソン星のジェダイ聖堂の遺跡にグローグーを連れて行き、
ジェダイとの交信を試みるが、
帝国軍にザ・チャイルドを奪われる。
追跡してザ・チャイルドの捕らわれた戦艦に入って一行は、
ザ・チャイルドを救出するが、
操縦室に追い詰められ、
ドアが破られそうになった危機一髪の時、
窓の外の宇宙空間に現れたものは・・・
と、これ以上書けない。
それは、これから観る人への配慮だが、
観る予定はないが、気になるから、内容だけ知りたい、
という方のためには、後で書く。
前から「マンダロリアン」を観ていた娘が、
突然部屋に入って来て、
「今、最終回を観終えた。
お願いだから、マンダロリアンを観て」
と興奮気味。
目に涙さえ浮かんでいた。
2シーズン16話を通じて、
完全に「スター・ウォーズ」の世界を継承する。
余計な解釈や新機軸は登場しない。
ジョージ・ルーカスの作った世界観を大切に守っている。
更に、新技術を使っての表現の豊かさに磨きをかけ、
劇場用映画に劣らぬクォリティを確保する。
これは、脚本と製作総指揮のジョン・ファブローの功績だろう。
この人、見るからに頭が良さそうで、統率力は抜群そう。
「ディズニー・ギャラリー」と称するメイキングが
10話ついており、
製作の舞台裏、レガシー、キャスト、テクノロジー、
特殊効果、プロセス、楽曲、つながり
の表題のもと、
ジョン・ファブローやキャスリーン・ケネディと
監督たち、役者たちの座談会が展開される。
これが大変なもので、
特に、女性を含む監督たちが、
みな子供の頃に「スター・ウォーズ」に夢中になった人で、
長じて「スター・ウォーズ」シリーズの監督になったことを
誇りに思っている、
その生の声が聞ける。
また、新技術でブルースクリーンではなく、
背景幕(ビデオ・ウォール)のLEDスククリーンで仮想空間を作り、
野外シーンもロケではなく、
スタジオで撮影した事実が明かされる。
配役も充実しており、
マンドーを演ずるペドロ・パスカルは、
ほぼ全編の間、アーマーと呼ばれるヘルメットをつけて演ずる。
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人前に素顔をさらしてはならないという
マンダロリアンの「教義」に従い、
ヘルメットをつけずに、ボディランゲージで感情を表現する。
キャラ・デューンを演ずるジーナ・カラーノは、プロの女性格闘家。
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そして、何より最大の功績はザ・チャイルドの造形で、
なんとも言えない可愛らしい風貌に、
マンドーが心を掴まれる気持ちが分かる。
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時々いたずらをして、マンドーに叱られたり、
蛙族の卵をつまみ食いしたりも笑わせる。
「スター・ウォーズ」のスピンオフの中では、
最良の作品。
2019年11月12日に米国でシーズン1の配信開始。
日本では、2019年12月26日から配信開始。
シーズン2は2020年10月30日から世界同時配信。
シーズン3も近く配信の予定。
シーズン1は8話合計5時間30分、
シーズン2は8話合計6時間6分。
ただ、エンドクレジットがやたらに長いので、
正味はもっと少ない。
メイキングは1が8話4時間28分、
2が2話1時間51分。
特に2の2話目は、
最終回の舞台裏が描かれ、興味深い。
↓は、娘が幕張のアウトレットで買い求めたマンダロリアンのサンダル。
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で、最終回の内容だが、
↓
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↓
↓
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↓
操縦席に閉じ込められたマンドーたち。
ドアがじきに破壊される、その時、
窓の外をXウィングが横切る。
戦艦に乗り込んできた人物が
次々とドロイドたちをなぎ倒す。
ライトセーバーを使って。
そして、ドアが開くと、
そこに立っていたのは・・・
ルーク・スカイウォーカー!
ザ・チャイルドの通信を受けて救出にやって来たのだ。
ここで、16話中で初めてジョン・ウィリアムズの音楽が流れる。
続いて登場したのは、R2-D2。
マンドーの手からルークの手に渡されるザ・チャイルド。
マンドーはヘルメットを取って顔を見せ、
ザ・チャイルドとの別れを惜しむ。
ザ・チャイルドを預かり、
訓練すると約束して去っていくルーク。
このルーク登場の場面で、
全世界の視聴者たちが
驚愕する場面が
YouTubeで配信されている。
撮り方も上手く、
戦艦内のモニターに映るライトセーバーの色は白黒画面で不明。
やがて、その色がグリーンであることが明かされる。
「ルークだ」と、視聴者は大騒ぎ。
このルークは、マーク・ハミル本人によって演じられ、
現在70歳のマークの顔は特殊技術で若返る。
脚本には、この人物はルークとは書かれておらず、
「プロ・グーン」という別人で表記されて、隠匿される。
そのためにダミーの映像も作り、
2年間、厳重に秘密にされたという。
そして、情報漏れを心配して、
毎日SNSをチェックしたという。
製作にかかわる一人の人物からでも、
情報漏れが起こるのを恐れたのだ。
幸い、配信日まで秘密は守られ、
全世界の視聴者が驚愕することになる。
娘もその一人で、
さっそく私に「観て」との要請。
そして、観た私は、
Wikipedia の解説で、
最後にルークが登場することを、事前に読んでしまい、
「驚愕」という甘い蜜を味わうことは出来なかった。
罪なことをする、Wikipedia 。