徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

人のセックスを笑うな

2010年05月02日 | ★★★
人のセックスを笑うな
おすすめ度
製作:2007年 日本
製作:西ヶ谷寿一 永田芳弘 河合洋 松下晴彦 廣瀬敏雄
監督:井口奈己
原作:山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』
脚本:本調有香
出演:松山ケンイチ 永作博美 蒼井優 忍成修吾 温水洋一 あがた森魚 桂春團治
キャッチコピー:恋におちる。世界がかわる。
19歳のボクと39歳のユリのいかれた冬の物語。


ペネロピ

2010年05月01日 | ★★★
ペネロピ
おすすめ度
原題:Penelope
製作:2006年 イギリス アメリカ
製作:リース・ウィザースプーン スコット・スタインドーフ ジェニファー・シンプソン
監督:マーク・パランスキー
脚本:レスリー・ケイヴニー
出演:クリスティーナ・リッチ ジェームズ・マカヴォイ キャサリン・オハラ リチャード・E・グラント リース・ウィザースプーン
キャッチコピー:好きになりたい。
豚の鼻を持って生まれてきた私は夢見ていた──恋することを。

いつか眠りにつく前に

2010年04月30日 | ★★★
いつか眠りにつく前に
おすすめ度
原題:Evening
製作総指揮:ジル・フートリック ロバート・ケッセル スーザン・マイノット
製作:マイケル・ホーガン
監督:ラホス・コルタイ
脚本:スーザン・マイノット マイケル・カニンガム
出演:クレア・デインズ ヴァネッサ・レッドグレイヴ メリル・ストリープ
キャッチコピー:あなたが最期に呼ぶのは誰の名前ですか



櫻の園

2010年04月29日 | ★★★
おすすめ度 
製作:1990年 日本
製作:岡田裕
監督:中原俊
原作:吉田秋生
脚本:じんのひろあき
出演:中島ひろ子 つみきみほ 白島靖代 宮澤美保

2008年にご本人によるリメイクが記憶に新しい中原俊監督の『桜の園』です。

私立櫻華学園高校演劇部では毎春、創立記念日にチェーホフの舞台劇「櫻の園」を上演することが伝統となっています。
上演当日の早朝、小間使いのドゥニャーシャ役で部長の由布子がパーマをかけて登校します。優等生の由布子の変化に部員たちはびっくり。
そして、ヤーシャ役の紀子が他校の生徒とタバコを吸って補導されたというニュースで部室はもちきりに。緊急職員会議でこの不祥事に対し、「櫻の園」の上演禁止に発展しかかりますが・・・・。



舞台監督の城丸香織(宮澤美保)は上演前夜に彼氏と外泊。
朝から部室でいちゃいちゃ。
彼氏が吸おうとしたタバコを取り上げソファの横に置く香織。
後々、このタバコの行方がなかなか楽しい。

彼を部室から追い出してすぐ部室に来たのは部長の志水由布子(中島ひろ子)。
彼女は校則違反のパーマをかけて登校して来ます。
優等生の由布子の意外な行動に驚く香織。
雑談をしている間にほかの部員もやってきます。
彼女たちの話題は昨夜の電話連絡について。
外泊していた香織にはなんのことやら分かりません。
先輩の話によると
部員の杉山紀子(つみきみほ)がタバコを吸い補導されたとのこと。

職員会議がはじまり一時は上演禁止に発展しそうになりますが
顧問の里美先生のがんばりで何とか他の先生を説得。
予定通り「櫻の園」は上演決定です。


こちらは恋話。敦子(水色のジャージの子)は彼氏とそろそろHする時期なのかなぁ・・と悩んでいます。


こちらはお小遣いの話。まだ4月だというのに7月分まで前借している喜美子。
ご利用は計画的に。


左の女の子は3年生の久保田麻紀(梶原阿貴)。
語調がキツく後輩にも厳しい・・・。いたよねこういう先輩。


さて。


男役として後輩に大人気の知世子(白島靖代)。背が高いことがコンプレックス。
今までずっと男役ばかりだったので初めての女性役に戸惑いを隠せません。


そんな知世子をやさしくフォローする由布子。彼女は知世子に好意を寄せています。


演劇部の中でもなんとなく浮いている紀子(つみきみほ)。彼女のタバコ事件で演劇部は大パニック。


一緒に写真を撮ろうということになったそのとき
「私、倉田さんが好き」とふいに告白する由布子。
「もっと言って」とまんざらでもない様子の知世子。


その様子を偶然見ていた紀子は、なんだか複雑な気分。
どちらかが好きなのね・・・。とにおわせる。


いよいよ開幕です。
バックステージで、紀子が突然「志水さん、今日は誕生日でしょう?」と由布子に言う。
そう、彼女が好意を寄せていた人物は由布子なのでした。
少女たちは、小さな声でハッピーバースデーを歌います。
そしていざステージへ。

舞台開演2時間前の演劇部の少女たちに焦点を当てた群像劇。
女の子特有のワーキャーしたかんじや、先生たちへの悪口、先輩に憧れる女の子・・・。
ちょっと時代は感じますが(汗)さりげない会話や雰囲気がよく描けてます。


ほんの一瞬しか体験できない少女時代。
散るから美しい・・・・。まさに桜のようですね。


前田有一の超映画批評



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サガン -悲しみよ こんにちは-

2010年04月27日 | ★★★
サガン -悲しみよ こんにちは-
おすすめ度
原題:Sagan
製作:2008年フランス
監督:ディアーヌ・キュリス
脚本:ディアーヌ・キュリス マルティーヌ・モリコーニ クレール・ルマレシャル
出演:シルヴィー・テステュー ピエール・パルマード ジャンヌ・バリバール
キャッチコピー:愛も、名声も、贅沢も──ぜんぶ手に入れて、失って。

18歳で鮮烈な文壇デビューを果たした小説家フランソワーズ・サガンの波乱万丈な半生を描いた作品『サガン -悲しみよ こんにちは-』です。

1954年、18歳の若さで処女作『悲しみよ こんにちは』が世界的ベストセラーとなり、一夜にして富と名声を手に入れた作家フランソワーズ・サガン(シルヴィー・テステュー)。その後もコンスタントに作品を発表しますが、注目されるのはサガン自身の私生活。連日友人たちと遊びまわり、ゴシック誌を賑わせました。そんなある日、スポーツカーを運転していて事故に遭い大怪我をして入院。その後22歳で編集者のギイ・シェレールと結婚しますが・・・・。


若くして富と名声を手に入れたサガン。
ギャンブル・パーティ・自由奔放な恋・・・。
自身が描く小説のヒロイン顔負けのド派手な毎日を過ごします。

そんなある日、兄に批判されたあと、感情的な運転で操作を誤り生死を彷徨う大事故を起こしてしまいます。
翌年の1958年、編集者ギイ・シェレール(ドゥニ・ポダリデス)と電撃結婚しますが、幸せは長く続かず2年でその結婚生活に幕を閉じます。
1962年には米国人ボブ・ウェストホフ(ウィリアム・ミラー)と結婚して息子ドニ(アレクシ・ミシャリク)が生まれますが、3年後にはまたしても離婚。が。離婚後も彼の恋人と一緒に暮らします。


離婚後、サガンはペギー・ロッシュ(ジャンヌ・バリバール)と出会います。彼女はファッション誌の『ELLE』の元編集長で、自身のブランドを立ち上げるほどのキャリアウーマン。意気投合したふたりはすぐに同居を決めます。
しかし、彼女は癌に倒れ、絶望するサガン。

その後はますます酒と薬におぼれていきます。
浪費家だった彼女は税金を滞納し、ついに破産。
2004年、メイド1人に見送られひっそりとこの世を去りました。



18歳の文壇デビューから69歳でこの世を去るまで
薬物中毒、アルコール、ギャンブル、自動車事故、離婚、破産・・・・
と常に話題に事欠かなかったフランソワーズ・サガン。

う~ん・・・。
なんだろう。
もともとサガンに興味がなかった・・・いうのもあるのかもしれないけど、どうにも物足りない・・・という感じ。
伝記モノだしなぁ。
なんかちょっとナニかが足りない。
色々あった人のようなので、2時間くらいでは表現できなかったのかもしれないけど、駆け足感が否めませんでした。



フランソワーズ・サガン/本名フランソワーズ・コワレ(1935年~2004年)
ご本人です。
ちょっとした芸能人よりもスターな人生ですね。
確かに華やかな人生だったかもしれませんが、常に孤独に見えてとても痛々しかったです。
作品の中でも家族以外で本当に心を許していたのはペギーだけだったように思います。
とりあえず、彼女の本をまず1冊読んでみようかな・・・。

前田有一の超映画批評



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ヒトラーの贋札

2010年04月26日 | ★★★
ヒトラーの贋札

おすすめ度
原題: DIE FALSCHER/THE COUNTERFEITER
製作:2006年 ドイツ・オーストリア
製作:ヨーゼフ・アイヒホルツァー
監督:シュテファン・ルツォヴィツキー
脚本:シュテファン・ルツォヴィツキー
出演:カール・マルコヴィックス アウグスト・ディール デーヴィト・シュトリーゾフ アウグスト・ツィルナー マルティン・ブラムバッハ
キャッチコピー:完璧な贋札。それは俺たちの命を救うのか。それとも奪うのか

1943年から終戦にかけ、ナチス政権がイギリスの経済かく乱を狙い画策した史上最大の紙幣贋造事件「ベルンハルト作戦」。その贋札作りに関わった、ユダヤ人印刷工アドルフ・ブルガーの証言に基づき、脚色を加えて制作された作品『ヒトラーの贋札』です。

第二次世界大戦真っ只中のドイツ。ユダヤ人強制収容所の一画に、各地から集められた職人たちが働く秘密工場がありました。世界的贋作師のサリー(カール・マルコヴィックス)は、かつて自分を逮捕したヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)の指揮のもと、大量の贋ポンド紙幣を作る「ベルンハルト作戦」に加わることになります。その工場はかつての劣悪な環境とは異なり囚人として異例の待遇でした。しかし、贋札作りは苦悩と困難の連続でした。なぜなら、作戦が成功は家族や同胞への裏切りを意味し、失敗は仲間と自らの死を意味することだったからです。



第二次世界大戦終戦直後のモナコ・モンテカルロ。くたびれたスーツを着た男が高級ホテルに足を踏み入れるシーンから物語ははじまります。


手にしたアタッシュケースには札束が詰め込んでありました。男は部屋にスタッフを呼び身なりを整えカジノ場へ行き、狂ったように賭けていきます。その日一夜を過ごした女性は男の腕の囚人番号に気付きます。



世界的贋作師のサリー。
パスポート偽造、贋札作り、絵画の贋作・・・と非凡な才能を持っています。

しかし、あえなく御用となり逮捕。しかし彼が送られた先は刑務所ではなくなんと強制収容所!
毎日過酷な労働を強いられ家畜同然の扱いを受ますが・・。



お得意の芸術センスをフル活用し、親衛隊に絵を描いたり、壁画を描いたり・・・と収容所内でもうまく立ち回ります。

そんなある日ザクセンハウゼン強制収容所への移送が決定します。


移送中に出会った美術学生のコーリャ。彼はサリーと同じ学校に通っていました。


ザクセンハウゼン強制収容所で待ち受けていたのは、なんとサリーを逮捕して大出世したヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)。
清潔なベッド、定期的に許されるシャワー、音楽が流れる作業場。
夢のような待遇です。


彼に与えられた仕事は贋札製造。
「ベルンハルト作戦」のそれです。
彼はこの作業所で贋札製造主任に任命されてしまいます。

仲間のピンチを救いながら、それまで困難を極めていたポンド作りを完成へと導くサリー。


そのポンドは早速スパイの手により、スイス銀行、ロンドン銀行に持ち込まれ鑑定依頼されます。
結果は・・・・「真券」。
銀行に勤めるプロの鑑定士の目でさえ見破れなかった完璧な贋札が完成しました。

ポンド完成で何とか命びろいできた工員たちですが
早速次のお題がでました。
今度はドル。

ここでまた問題が。


正義感の強い印刷技師のブルガー(アウグスト・ディール)。
彼の妻はアウシュヴィッツ収容所にいます。
自分たちが贋札を作り続けることは戦争が長引くことを意味し、「同胞」への裏切りになると主張。



ブルガーはサボタージュを決意。
サリーともたびたび衝突を繰り返します。

こんな状態で作業が進むわけもなく・・・時間ばかりが過ぎていきます。
痺れを切らした親衛隊の将校から期限を提示されます。
しかも、その期限が過ぎると5人を銃殺する・・・・という条件付で・・・。


やむなく、ブルガー抜きでドル作りをはじめるサリー。


しかしその頃サリーにはもうひとつ心配事が・・・。
コーリャが結核にかかってしまっていたのです。


"敗戦”を察知したヘルツォークは国外逃亡するために自分の家族の偽造パスポートをサリーに依頼。ここでサリーは結核の薬をヘルツォークに依頼。
ふたりの取引は成立します。
しかし、やっとの思いで薬を手に入れたものの、コーリャは親衛隊により銃殺されてしまいます。


その後敗戦を知らされ塀の向こうの「同士」たちの様子を見て愕然とする工員たち。
工場も閉鎖され晴れて自由の身となります。




そして場面は再びモナコ・モンテカルロに。
カジノで大負けしたサリー。


美しいダンスシーンです。







むはぁ・・・。
なんともなんとも。
緊張しっぱなしの約2時間・・・。
ナチスものっていうのはいつ観ても救いのない気分にさせられます。
正直、こうして内容を思い出しながら書いているだけでものすごく重い気分になりました。
戦争って本当に不条理ですね・・・。

「ベルンハルト作戦」にまつわる作品ですが、スパイや国家目線でなく、強制収容所で贋札を作っていた人々に着目して製作されていることがとても興味深かったです。


「ベルンハルト作戦」の生き証人ともいえるアドルフ・ブルガー氏。
今でも精力的に自分の体験談を人々に伝える活動をしているそうです。
本作のベースとなった『「ヒトラーの贋札 悪魔の工房』読んでみようかな。

前田有一の超映画批評



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トゥルーマン・ショ-

2010年04月25日 | ★★★
トゥルーマン・ショー

おすすめ度
原題:The Truman Show
監督:ピーター・ウィアー
製作総指揮:リン・プレシェット
脚本:アンドリュー・ニコル
出演:ジム・キャリー エド・ハリス ローラ・リニー

自分の日常生活が人気ドラマとして世界220カ国の視聴者に生中継されていた男を描いた異色のシチュエーションドラマ『トゥルーマン・ショー』です。

海に囲まれた離島のシーヘブンで、保険会社のセールスマンとして毎日規則正しい生活を過ごすトゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)。子供の頃、父親をボート事故で亡くして以来彼は生まれてから1度も島から出たことがありません。そんなある日、いつものように朝売店で新聞を買おうとした時、目の前をホームレスの老人が通り過ぎます。それは幼い頃、海で亡くなったはずの父親でした。しかし、その老人は間も無く何者かに連れ去られてしまいます。その日を境に彼は自分の周囲を不審に感じ始めます・・・。


「おはよう!そして会えない時のために、 こんにちは!こんばんは!おやすみ!」
これが彼のお決まりの挨拶。


明るく美しい看護婦の妻メリル(ローラ・リニー)。


子供の頃からの大親友マーロン(ノア・エメリッヒ)。

大切な人と単調だけど平穏な日々を過ごすトゥルーマン。
そんな彼にも密かな夢があります。それはフィジー島へ行く事。


そして彼にはどうしても忘れられない女性が・・・。


大学時代に出会ったローレン(ナターシャ・マケルホーン)です。
島を出て彼女を探し出し再会することを願っています。


でも、彼は子供の頃に経験した事故のため水が怖くて島から出ることが出来ません。

そんなある日、彼に転機が訪れます。
いつもの売店で、いつもの買い物をしていると目の前をホームレスのような格好をした老人が通り過ぎます。それは間違いなく子供の頃海で遭難した父だったのです。追いかけようとした瞬間、男は何者かに連れ去られてしまいます。父親のことを周囲に訴えても母と妻の反応もどこか不自然・・・。

ディレクターのクリストフ(エド・ハリス)の機転で何とか事を収めますが


今まで何の疑問も持たずに暮らしてきた町に違和感を覚え始めるトゥルーマン。
いよいよ島を出て行く決心を固めます。


でも、いつ旅行会社に行っても島チケットは取れず・・・

ついに彼は強行突破!
自分で船を出し島からの脱出を試みます。


トゥルーマンの行方を 

固唾をのんで

見守る視聴者たち。


ローレンも特別な思いでTVの前に・・・。




トゥルーマンが行方不明になりスタッフは大パニック!


必死の捜索が開始され・・・


ようやく発見!!
航海を諦めさせるため、強引に天候を変え行く手を阻みますが・・・



セットの端に到着。


「虚構の世界」へ戻るよう説得するクリストフを受け入れず


トゥルーマンは「本当の人生」を歩むためスタジオの出口に向かい・・・


ご挨拶。
「おはよう!そして会えない時のために・・・・」


「ふむふむ。なるほど~」と、楽しく鑑賞しました。
この作品、シチュエーションの奇抜さだけでなくて映像も素敵なんですよね。ラストの階段を上るシーンをはじめ心に残るシーンが満載でした。


クリストフが絡むスタジオのセット。エド・ハリスの存在感と相まってとても美しいですね。


トゥルーマンの人生はクリストフが意図的にコントロールしたもの。
その手法は時にかなり強引で、嫌悪感を感じます。
トゥルーマンはひとりの人間としてではなく、アニメのキャラクターのように、または商品のように扱われます。当の本人には真実を知らされずに・・・です。


「大人の事情」を貫くことが何よりの最重要課題だったとは思いますが、クリストフはある意味この虚構の世界に生きることがトゥルーマンにとって本当の幸せだと信じていたように感じます。彼は彼なりにトゥルーマンを愛していたんでしょうね。

トゥルーマンが自分の住む世界に違和感を覚えて真実を探ろうとする・・・という展開に手塚治虫の『赤の他人』という漫画をふと思い出してしまいました。漫画ですが、興味があればぜひ。


前田有一の超映画批評



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ガスパール 君と過ごした季節

2010年04月20日 | ★★★
ガスパール 君と過ごした季節
おすすめ度
原題:Gaspard et Robinson
製作:1990年 フランス
製作:マリー・シュラキ
監督:トニー・ガトリフ
脚本:トニー・ガトリフ マリー・エレーヌ・リュデル

「旅に出たい・・・」というのが口癖だった映画好きY氏オススメの1本。
『ガスパール 君と過ごした季節』です。


大切な人から捨てられた孤独な人間同士の束の間の交流を描いた物語。
南仏の景色がとってもきれい。
少年のような二人の男の友情も素敵。
なんだかくすぐったいような愛情を感じる作品でした。


不思議な絆で結ばれている二人の男、ガスパールとロバンソン。
ガスパールは妻に逃げられて以来、家族の絆にはうんざり。
一方相方のロバンソンは、子供の頃母親に捨てられたことで逆にバカがつくほどのお人よし。

そんなある日ロバンソンは道で置き去りにされいた老婆を発見。見れば「名はジャンヌ。無一文です。よろしく」と書いたメモが・・・。(←このシーン泣きそうになりました。)
そんな彼女をどうしても放っておけないロバンソンは彼女を勝手に同居させます。最初は猛反対だったガスパールですが、しぶしぶ受け入れることになり、奇妙な共同生活がはじまります。





夢は、浜辺の廃墟を修理してレストランを開くこと。
そのレストランのオープンが間近にせまった頃
ロバンソンは夫に捨てられた母娘と出会い、母親のローズに一目惚れ。

はい、また出ました。「捨てられた人」

妻に捨てられた ガスパール
母に捨てられた ロバンソン
息子に捨てられた ジャンヌ
夫に捨てられた ローズとその娘

そんな「捨てられた人たち」がまた住む人に「捨てられた家」で同居をするんですね。
(・・・しょっぱい。)

そんな中、ローズがガスパールにほんのりと好意を寄せるんですね。
それを悟ったガスパールは完成したレストランを後にみんなの元を去っちゃいます。


観終わった後Y氏に「アルマゲドンみたいだった。」と言い激怒(?)された私(笑)。
“男の美学的”なことを言いたかったのですが。
ごめんなさい、今思えばすごく間違ってました。
「寅さんみたいだね」に修正しておきます★
そして旅に行ってください。


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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

2010年04月18日 | ★★★
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
おすすめ度
原題:The Curious Case of Benjamin Button
製作:2008年 アメリカ
製作:キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、シーアン・チャフィン
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本 エリック・ロス
出演者 ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット タラジ・P・ヘンソン ジュリア・オーモンド ジェイソン・フレミング

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』です。
タイトルの通り数奇な人生を余儀なくされた男の一生を描いた作品。
原作は『華麗なるギャッツビー』の原作者でもあるフランシス・スコット・キー・フィッツジェラルドの短編小説だそうです。幾度となく映画化の話は上がったものの、当時の技術では映像化が不可能という理由で先送りを繰り返してきたようですね。


ベンジャミン・バトンのバトンはButton
つまりボタンのこと。
ベンジャミンの実の父親もボタン工場で財を成しました。
それにかけたんですかね・・・。
こういう小細工結構スキです。



80代の姿で生を受けたベンジャミン・バトン。ある老人施設に置き去りにされた彼をそこで働くクイニー(タラジ・P・ヘンソン)が拾い育てます。成長と共に少しずつ若返りはじめるベンジャミン(ブラッド・ピット)。そんなある日ベンジャミンは施設で少女デイジーと出会い、交流がはじまります。その後ベンジャミンは、恋をしたり、戦争を体験したりと様々な経験を重ねながら大人になっていきます。時間の流れに逆行して若返っていく彼は、成長したデイジー(ケイト・ブランシェット)とようやく結ばれますが・・。



年老いたデイジー。
ケイトです(驚)


娘のキャロライン(ジュリア・オーモンド)が読む日記。
この日記を軸に物語が進行していきます。



生まれたばかりなのに老人のように衰弱した身体のベンジャミン。
誰も体験したことのない、「逆回りの人生」がはじまります。


車椅子生活だった彼は成長と共に若返り
ついに歩けるように。
クイニーも大喜びです。


ナイスポーズです。


運命の人、デイジーの少女時代を演じたエル・ファニング。
ダコタ・ファニング実の妹だそうで。
なんともかわいらしいですね。


成長したベンジャミンは人妻と恋に落ちます。


すれ違いを幾度も繰り返しながら







ようやく結ばれるふたり。
でもこの幸せ・・長くは続きません。


ある日「子供ができた」と告白をされ戸惑うベンジャミン。


これから成長する子供の父親として、そして夫としての務めを果たせないことが分かっていたからです。
結局娘が生まれて間もなくして、全財産をデイジーに託し、姿をくらましてしまいます。

そして更に月日は流れ






子供の姿で「補導」され、生家である老人施設に帰ってきたベンジャミン。
デイジーは彼が息を引き取るその日まで毎日施設に通います。


老人のような肉体をもって生まれ、最後は赤ん坊として一生を終えた数奇な人生。
皮肉にも彼が育った老人施設という環境がもう既に「生と死」に直面する場所なんですね。また彼だけでなく、人生を共に歩もうとしたデイジーも一緒に年を重ねられないことで苦しみます。最後、赤ん坊になったベンジャミンを抱くデイジーの姿がなんだかとっても切なかったです。

作品の脇を支えるキャラクターやエピソードもなかなか面白い。
息子を戦争で亡くし、駅に逆回りの時計を作った技師のムッシュ・ガトー(イライアス・コティーズ)。
68歳で水泳海峡横断に成功するかつての恋人エリザベス(ティルダ・スウィントン)。
ベンジャミンの世界を拡げてくれた人生の師(?)のマイク船長(ジャレッド・ハリス)。

せんちょーーっ。


どこに着目しどのように観るかでまたずいぶん印象がかわりそうですね。


とりあえず見所は満載です。
個人的には「よく合成できたで賞」「特殊メイク大変だったで賞」・・・って感じかな(笑)。


前田有一の超映画批評



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娘・妻・母

2008年07月22日 | ★★★





おすすめ度
製作:1960年 日本
製作:藤本真澄
監督:成瀬巳喜男
脚本:井手俊郎 松山善三
出演:三益愛子 森雅之 高峰秀子 松岡高史 団令子 原節子 宝田明 淡路恵子 仲代達矢 中北千枝子 上原謙

先日たまたまBSで観た「娘・妻・母」です。成瀬巳喜男監督作品は初めてだったのでわくわくしながら観賞しました。

東京のとある住宅街に住む坂西家。一家には、60歳になる母親あき(三益愛子)、会社で部長職を務めている長男の勇一郎(森雅之 )と妻の和子(高峰秀子)、孫の義郎(松岡高史)、それにブドウ酒会社に勤める末娘の春子(団令子)の5人が住んでいます。ある日、夫、姑との仲がうまくいっていない長女の早苗(原節子)が遊びに来ました。ところがこの里帰り中、事故で夫は死亡。行く宛のない早苗は、毎月5000円の生活費を入れて実家に住みつくことになりました。勇一郎は、家を抵当にした金で町工場をやっている和子の叔父に融資し、その利息を生活の足しにしています。そんなある日、更に50万円の融資を申しこまれ、その金の用立てを早苗に頼みます。実は彼女は夫の保険金100万円を所有していたのです。断り切れない彼女は、言われるまま承諾します。少し落ち着きを取り戻したある日、早苗は春子、次男の礼二(宝田明)と妻の美枝(淡路恵子)で甲府のブドウ園へ出掛けます。案内は醸造技師の黒木(仲代達矢)という男性。彼は早苗に好意以上のものを感じていました。東京へ戻り早苗は母の還暦祝の品物を買いに銀座へ出掛けます。学友の菊(中北千枝子)に誘われて入ったフルーツパーラーで、彼女の知り合いという五条(上原謙)を紹介されますが…。



突然もしもシリーズ。
「もしも、小津安二郎がリアリストだったら」



というのが初成瀬巳喜男監督の印象でした。

高度成長期を迎えようとしている時代。
1960年、女性のあり方も少しずつ多様化しはじめている頃の作品。
タイトルどおり娘・妻・母。
女性が辿るそれぞれの立場での目線で描かれています。
リアリティーある会話がどきどきします。

なかなか辛らつなドラマでした。


前田有一の超映画批評



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リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!? 

2008年07月18日 | ★★★
リトル・レッド*レシピ泥棒は誰だ!?*
おすすめ度
原題:HOODWINKED
製作:2005年 アメリカ
製作:モーリス・カンバー他
監督・原案・脚本:コリー・エドワーズ
声のの出演:アン・ハサウェイ グレン・クローズ ジェームズ・ベルーシー アンソニー・アンダーソン
上野樹里 加藤浩次 ケンドー・コバヤシ
キャッチコピー:ダマされるな!こいつらみんなウラがある!!

童話「赤ずきんちゃん」をベースにサスペンス要素を加えたオリジナルストーリーが愉快な「リトル・レッド*レシピ泥棒は誰だ!?*」です。

パケットおばあさん(声:グレン・クローズ/小宮和枝)の作るお菓子を自転車で配達をしてるレッドには最近気掛かりな出来事があります。実は今、森では「レシピ泥棒」が続出していて、レシピを盗まれた店が次々と廃業に追い込まれているのです。そんなある日、レッドは自分たちのレシピを守るため山の上のおばあさんの家を訪れます。道中様々な困難を乗り越えながらようやく辿り着くと、そこにはおばあさんに変装したオオカミ(声:パトリック・ウォーバートン/加藤浩次)が!そんな中、縛られたおばあさんがクローゼットから飛び出し、更には、斧を持った木こりのカーク(声:ジム・ベルーシ/岩崎ひろし)が飛び込んできて大パニックに。遂には警察と探偵の二ッキー(声:デヴィッド・オグデン・スタイアーズ/ケンドーコバヤシ)がやってきて4人の事情聴取がはじまります。



オオカミ、木こりのカーク、パケットおばあさん、レッド。
なにやらおかしな事になってしまいました。


この物語の主人公である赤いずきんの少女、レッド。
オリジナルの声の出演はアン・ハサウェイ。
日本語吹き替えバージョンは上野樹里ちゃんがつとめています。


パケットおばあさんです。
この画像のおばあさんは、ちょいファンキーなバージョンです。
このおばあさん、かなりクールです。


オオカミです。
日本語吹き替えバージョンは加藤浩次。
加藤浩次の「狂犬キャラ」が全面に押し出されオリジナルとはちょっと違う印象のオオカミ。これはこれで味わい深い。


気の良い木こりのカーク。
ちょっぴり間の抜けたとぼけた雰囲気が和みます。


探偵のフリッパー。
カエルです。
ケンドーコバヤシが「ええ声」でハマってます。


個性溢れる楽しい脇役も大活躍です。

37年前に掛けられた魔法の呪いで
喋る言葉が全部歌になってしまうというウールマーク。


オオカミの相棒。
いつもフルテンションのりすのトゥイッチー。


レシピ泥棒が入ったお店が潰れてしまい、
目下ロープウェイの操縦の仕事をしているうさぎのボインゴ。

同じシュチュエーションでも立場が違えば、状況が変わる。
4人の供述が進むにつれ色々な新事実が浮き彫りになっていきます。
その中で、「あれっ?」と思っていた台詞や現象のつじつまがきっちりと合い、それがなかなか爽快です!

日本語吹き替えバージョンは、多少異訳をしていたり、声優のキャラクターを上手く生かしてあったりと、オリジナルとは少*し違った雰囲気。2つのバージョンを見比べてみるのをオススメします。


リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?@映画生活
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Rain レイン

2008年07月16日 | ★★★


Rain レイン
おすすめ度
原題:THREE DAYS OF RAIN
製作:2003年 アメリカ 日本未公開
製作:ヴィム・ヴェンダース
監督・脚本:マイケル・メレディス
出演:ドン・メレディス ピーター・フォーク エリック・アヴァリ ライル・ラヴェット ペネロープ・アレン ブライス・ダナー ロバート・キャラダイン ヘザー・カフカ ジェイソン・パトリック マックス・パーリック ウェイン・ロジャー スケア・デュリア マーク・フォイアスタイン マーレ・ケネディ

ロシアのアントン・チェーホフによるいくつかの短編をベースに、6組の人々が苦悩を乗り越えてゆく姿を描いた群像劇「Rain レイン」です。製作は巨匠ヴィム・ヴェンダースがつとめています。


アルコールと息子に頼りっきりのワルド。
「刑事コロンボ」でお馴染みのピーター・フォークですねえ。
しょっぱい老人の役を味わい深く演じています。

息子を亡くしたばかりの失意のタクシー運転手ジョン(ドン・メレディス)。
乗車するゲストたちに「最近息子が死んだんだ。」と話し出すジョン…。

ベビーシッターとして更正を始めた麻薬中毒の女(マール・ケネディー)。
彼女には生まれたばかりの娘がいますが、離ればなれに暮らしています。
実は彼女の娘は判事の男の家に里子として預けられていて…。

長雨で製作中の商品がダメになり、粘土も買えないタイル職人のサンダーキング。一刻も早く家賃を払わないとアパートを追い出されてしまいます。友達に借りようか?車を売ろうか?色々お金の工面に走ります。

線路整備の詰所で掃除係をしているデニス。
軽度の障害がある彼は職場で孤立しています。そんなある日上司にはめられ本社から呼び出しを受けます。身に覚えのない彼は戸惑いながらも上司から言われるままに行動します。

人生も半ばを過ぎ、自分の生き方に疑問を感じはじめたアレックス(エリック・アヴァリ)。仕事も家庭も仕事にも恵まれていますが、何かが足りないと感じはじめています。ディナーの帰り、彼らはホームレスに出会います。アレックスはテイクアウトの食事を彼にあげようとしますが奥さんは猛反対。思わぬところで妻と対立してしまい、価値観の違いに戸惑います。

舞台は、クリーヴランドという寂れた街。ある日この街に、記録的な大雨が降り始めます。そこに住む様々な事情を抱えた人たちを、降りしきる雨と供に静かに描いた作品。哀しみの雨が降り続けた3日間。彼らの運命は大きく動き始めます。

雨は憂鬱です。その雨が悩める人の不安ややり場のない孤独感を掻き立てるんですね。BGMで流れるしっとりとしたジャズが作品を盛り上げています。


前田有一の超映画批評



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潜水服は蝶の夢を見る

2008年07月11日 | ★★★




潜水服は蝶の夢を見る
おすすめ度
原題:Le scaphandre et le papillon
英題:The Diving Bell and the Butterfly
製作:2007年 フランス
製作:キャスリーン・ケネディ、ジョン・キリク
監督:ジュリアン・シュナーベル
脚本:ロナルド・ハーウッド
出演:マチュー・アマルリック エマニュエル・セニエ マリ=ジョゼ・クローズ アンヌ・コンシニ パトリック・シュネ オラル・ロペス・ヘルメンディア  ジャン=ピエール・カッセル マリナ・ハンズ マックス・フォン・シドー イザック・ド・バンコレ エマ・ド・コーヌ ニエル・アレストリュプ
キャッチコピー:ぼくは生きている。話せず、身体は動かせないが、確実に生きている。

「この映画を観て感動しない人が1万人以上いたらアタシ映画評論家をやめます」というおすぎ氏のコメントを聞いた時、軽く引いてた私。でも気になってたので結局観ちゃいました。元「ELLE」の編集長の自叙伝を映画化した「潜水服は蝶の夢を見る」です。

ある日男は、とある病院で3週間の長い眠りから目覚めます。ところが彼の体は全く動きません。唯一自由がきくのは左目のみ。男の名はジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)。ファッション雑誌「ELLE」の編集長をしていました。地位も名誉も手に入れた彼は美しい妻(事実婚)、可愛い子供達、恋人、友人にも恵まれ誰もが羨む生活を送っていました。発作で倒れる前までは…。

「ロックト・イン・シンドローム」これが彼の病名。意識、知力は元のままなのに、身体的自由をすべて奪われてしまうという原因不明の難病です。ジャン=ドーは、絶望の淵に落とされますが、蝶のように飛躍するイマジネーションと記憶を頼りに、自伝を書く決心をするのでした。


まず冒頭の目覚めのシーンの映像から引き込まれます。

カメラアングルの多くはジャン=ドー目線。自由のきかない狭い視野は窮屈で圧迫感がありますが、ひとたび彼が「蝶」となり回想とイマジネーションの世界へ飛び立つと、それはそれはのびやかで自由!あの独特なカメラアングルから開放された瞬間、私の心も軽くなるんですね〜。


世界的ファッション誌「ELLE」の編集長のジャン=ドー。
彼は「一流」の人や物に囲まれています。



かわいい3人の子どもにも恵まれ順風満帆な人生です。


ところが、「ロックト・イン・シンドローム」という病気で彼の人生は大きく様変わり。言語療法士が編みだしたコミュニケーションの手段を使って、文章を綴っていきます。「E、S、A、R、I、N……」単語の使用頻度順に並べたボードのアルファベットを読み上げ、ジャン=ドーはまばたきで合図します。


気の遠くなるようなコミュニケーションを繰り返し完成したジャン=ドーによる自伝「潜水服は蝶の夢を見る」。その間彼がまばたきをした回数は20万回!


体が不自由になり彼は初めて自分が今まで子供の為に時間を割いた事がなかった事に気付きます。


体が弱くなってきた88才の父親のお世話をするジャン=ドー。
皮肉にもこの数日後に父親以上の難病と戦う事となります。


これはジャン=ドーの空想。
好きなものを好きなだけ無心に食べるこの食事のシーン。
何だかとってもエロティックです。
食欲と性欲って、直結してるんだな…と不謹慎ながら感心してしまいました。

とても静かに、淡々と描かれた大人の作品でした。
究極の状況にも関わらず意外に茶目っ気いっぱいのジャン=ドー。そんな彼だから、皆に愛されたんろうなあ。(彼の周囲の女達は随分気苦労は多そうですが)

人生なんていつどうなるか分からない。
もっとちゃんと生きなくては。
この作品を観ながらふとそんな事を考えてしまいました。

潜水服は蝶の夢を見る@映画生活
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ジョン・レノンを撃った男

2008年07月10日 | ★★★



ジョン・レノンを撃った男
おすすめ度
原題:HE KILLING OF JOHN LENNON
製作:2006年 イギリス
製作:ラカ・シン
監督・脚本 アンドリュー・ピディングトン
出演:ジョナス・ボール J・フランシス・カーリー ニコール・デロリー ソフィア・ダブロウスキー トーマス・A・マクマホン

少し前に観た「チャプター27」と同じテーマの作品。ジョン・レノンを暗殺したマーク・デイヴィッド・チャップマンを題材にした「ジョン・レノンを撃った男」です。

1980年12月8日。ジョン・レノンはオノ・ヨーコと共にスタジオへ向かう途中、ファンの男に差し出された「ダブル・ファンタジー」のジャケットにサインをする。数時間後、この男に5発の銃弾を撃ち込まれ、彼は間もなく死去。犯人の名はマーク・デイヴィッド・チャップマン(25歳)。彼は何を想い、そしてなぜ世界的なスターを殺害したのか。事件当初から様々な報道が飛び交い、チャップマンの本当の姿を知るものは少ない。本作は言動、ロケーションを出来る限り忠実に再現し、観る者と共に、犯人の心の闇とあの日起きてしまった紛れもない「真実」に迫る。(作品解説より)

「チャプター27」はチャップマンの3日間をただひたすら追い続けるというものでしたが、この作品はホノルルでの生活、妻、母などチャップマンのバックグラウンドが比較的詳しく描かれています。そういう意味ではこちらのほうが分かりやすくて観易いかもしれません。

取材に基づいたチャップマン自身の言葉を主演のジョナス・ボールが語りながらストーリーが展開していきます。


ホノルル在住時代に、既に彼の奇行は始まっています。



そして、凶器となった銃、リボルバー38口径。
護身用と偽り169ドルで購入。
こんな人がにいとも簡単に買えるなんて…。その事実自体が恐ろしい…。

刑務所に入所し、精神鑑定を受けたり、悪魔払いを受けたりと犯行に及んだ後のチャップマンの様子も描かれていて情報量としては申し分なかったんですが、主演のジョナス・ボールがキレイ過ぎるのがどうも気になりました。役に近いという意味では、ジャレッド・レトの方がハマってた気がします。

私には一生かかっても、このマーク・デイヴィッド・チャップマンという男について理解する事は出来ないと思うし、これを観てやっぱり嫌悪感しか残りませんでした。

でも「乗りかかった船」には乗っちゃうタイプなんですよねえ…。
何しろドMなので。


前田有一の超映画批評



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犬神家の一族

2008年07月06日 | ★★★




犬神家の一族
おすすめ度
製作:2006年 日本
製作:黒井和男
監督:市川崑
脚本:市川崑 日高真也 長田紀生
出演:石坂浩二 松嶋菜々子 尾上菊之助 富司純子 松坂慶子 萬田久子 深田恭子 中村敦夫 仲代達矢 葛山信吾 池内万作 奥菜恵 岸部一徳 螢雪次朗 中村敦夫 永澤俊矢 大滝秀治 草笛光子 加藤武
キャッチコピー:金田一さん、事件ですよ

2006年バージョンの「犬神家の一族」です。30年前の作品と同じ監督と主演で完全リメイク。市川監督の遺作でもあります。

うーん。
こういうのを完全リメイクっていうんでしょうねえ。
ほぼ完コピですねっ(笑)。
1976年バージョンは、父親の佐兵衛の生前の物語がしっかりと描かれていましたが2006年バージョンは父親は娘たちを呪縛する存在として亡霊のように描かれています。

キャスティングは当初から賛否ありましたが、石坂浩二、大滝秀治、加藤武をはじめとしたベテラン役者さんの「老い」が気になっちゃいました。新たにキャスティングされた松竹梅の3姉妹がちょっとミスキャストな気がするし…。意図した演出なんでしょうが、台詞回しも何だかちょっと微妙…。ラストも前作のがよかったなあ。



一族を集めての「遺書」発表のシーン。
演者は日本を代表する豪華な顔ぶれ。
なかなか迫力があります。



きゃーっ。
松竹梅3姉妹!
やってもうた(爆)!!


そして!
インパクト大のシズマの名シーン!!
今回も豪快に刺さってます。



ヒロインは松嶋奈々子。
清楚な雰囲気はいいんですが、この方昭和サイズじゃないんですよ。
ぶっちゃけでかすぎます。
猿蔵いなくても大丈夫そう…。



加藤武氏。へいちゃん。みんな老いました。
大滝秀治が台詞を言う場面は、何故かどきどきします。
台詞がもうギリギリなんですもん(笑)。



それでもへいちゃんは走ります。


1本の映画としてはうーん。な感じですが、旧作を観た後に比較して観るにはとっても面白かったです。


犬神家の一族@映画生活
前田有一の超映画批評



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