徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

マークスの山

2013年08月17日 | ★★★★
マークスの山
おすすめ度
製作:1995年 日本
製作:中川滋弘 宮下昌幸 大脇一寛
プロデューサー:田沢連二
監督:崔洋一
原作:高村薫
脚本:丸山昇一 崔洋一
出演:中井貴一 萩原聖人 古尾谷雅人 名取裕子 小林稔侍 岸谷五朗 西島秀俊 前田吟 萩原流行 岸部一徳 小木茂光 遠藤憲一


10年くらい前にBS放映で一度観たのですが、
途中からだったのでぜひ全編を通して観たいと思っていた作品でした。
ようやくご縁があり本日鑑賞となりました。
高村薫の同名小説を映画化した「マークスの山」です。
3年前にドラマ化されてたんですね~。
まったく知りませんでした(←相変わらず)。

高村薫作品ですからもともと重くてみっちり密度の高い作品であることは承知していましたが・・・
崔洋一監督のバイオレンス&エロスな描写も相まって観たあとズドーンとくる作品でした。
・・・とはいえ、こういう気持ちにさせられたのは結構久しぶりだったので
ちょっと嬉しくもありました。(←どこまでもドM)
いいですね~こういう泥臭い湿気の高い作品、大好物です。


内容は・・・ちょっと複雑です。
そもそも盛り沢山な小説を映画で2時間少々で描くには限界があるのかもしれません。
そこは監督の腕の見せ所なのでしょうが。


暴力団吉富組元組員の畠山という男がが殺害される事件が発生します。
遺体の頭部には、直径1センチ程の特殊な穿孔が認められ、
それは猟奇的な連続殺人のはじまりとなります。


事件は合田(中井貴一)が所属する捜査一課七係により捜査が開始されますが
なかなか手がかりがつかめず捜査会議はピリピリモード。

そうこうするうちに法務省の刑事局のエリート、松井浩司が殺害されます。
致命傷となった頭部の傷が畠山のものと酷似していたことから合田は畠山殺害との関連性を感じます。
しかし・・・
捜査を進めていく中で上から圧力がかかります。。
そんな中、松井の葬儀に潜り込み手に入れた葬儀の資料からある人物に目を付けます。


修學院大学螢雪山岳会の同期だという林原雄三(小林稔侍)という男です。



さてさて。ここからが少々複雑なのです。
作品はいくつかの時代のエピソードと複雑な(?)人物相関で構成されています。
ここでは、私なりに3つに分けて書かせていただきます。

1 現在起こっている連続殺人事件を追う合田をはじめとする刑事たちの捜査。
ここでは、捜査する中で刑事どうしの捜査の縄張り争い(?)や事件を隠蔽しようとする何者かの意図でかかる圧力など
ドロドロとした“男社会”の裏側を垣間見ることができます。


ちなみに向かって左側の若手刑事は若き日の西島秀俊です。
きっと当時見てもわからなかったろうなあ。
あ、そうそう。
この手前の死体は井筒監督です(爆)

2 学生闘争時代に起こったMARKSと呼ばれるメンバーたち(松井浩司、浅野剛、林原雄三、木原郁夫、佐伯正一)が起こした事件。
学生運動のさなか、MARKSは誤って一人の学生を殺害してしまいます。
その秘密を知っている野村という男から登山に誘われた5人は雪山で彼を計画的に殺害。
足がつくことのないように顔をつぶし、歯を抜き徹底的に遺体を損傷させます。怖い怖い((((;゜Д゜))))
(なぜこの野村をそれほど恐れていたのかおバカな私にはちょっとわかりませんでしたが)
作中ではこのMARKSの過去の秘密が暴かれていくことが大きな軸になっています。

3 水沢を中心とするエピソード
水沢裕之(萩原聖人)は子供のとき両親が無理心中を図りひとり生き残った青年です。そのときの後遺症で精神を病み入院中にMARKSのメンバーのひとりの浅野に出会います。(浅野も良心の呵責に耐え切れず心を病み社会からドロップアウトしています。)水沢は浅野と肉体関係があり、浅野からMARKSの秘密が書かれた日記を譲り受けます。浅野は病院内での看護師からのリンチで死亡し、水沢はその看護師を殺害します。


のちに水沢は退院し・・・


入院時の担当看護師のひとりである真知子(名取裕子)の家に転がり込みます。
名取裕子も萩原聖人も(萩原聖人に至っては男女ともに・・・オツ!!)かなり体張ったシーンが多いです・・・。

そうそう。
結局この浅野の手記を元に水沢は林原を脅し金を要求します。
連続殺人の犯人は水沢だったのですね。
これは作中では隠してません。

金を手にし、一瞬成功したように見えますが、数時間後真知子と一緒にいるところで銃撃を受けます。
真知子がかばったことで水沢は助かりますが、真知子は重症を負います(水沢は真知子は死んでしまったと思っていたと思います)

完全に理性を失った水沢は、林原を呼び出しますが返り討ちにあい、フルボッコ。
林原ったら年老いてもなおなかなかの武闘派w
・・・にもかかわらずその足で水沢は佐伯(角野卓造)を殺害。
そのあと真知子と行こうと言っていた山に登ります。
どんだけタフなんだ!!と突っ込まずにはいられません。

跡を追う合田。
そこで目にしたのは

真知子の白衣を抱きかかえ凍死している水沢の姿でした。



ずどーんでした。
最初にも書きましたが私この手のタイプの作品大好物だったりします。
萩原聖人の演技はなかなか突き抜けていました。
少年のようなあどけなさの中に秘められた狂気。
恋人を母のように慕う無邪気さを持ちながら残虐な殺害を顔色一つかえずやってのけるという・・・
怖いですね~。

個人的には中井貴一の人物像がイマイチだったというか・・・
捜査のためには手段を選ばない・・・というキャラだったのでしょうが・・・
決して悪いというわけではないのですが、ほかのキャスティングがハマりすぎていた分、ちょっと気になってしまいました☆

それにしても1995年かあ・・・
今からもう18年前の作品なんですね~。
こういう少し前の作品って今見ると
「あ~!こんな役者さんがちょい役で出てる!!」
みたいな発見があって別の意味でも楽しいですね。
個人的には役者井筒和幸に度肝を抜かれました(笑)


久々に真面目に鑑賞しました~。(コラコラ)



井筒監督の死体役観た~い!と思われた方
よかったらポチッ。と応援お願います。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

胡同のひまわり

2012年09月27日 | ★★★★
おすすめ度
原題:向日葵
製作:2005年 中国
監督:チャン・ヤン
脚本:チャン・ヤン ツァイ・シャンチュン フォ・シン
出演:ソン・ハイイン ジョアン・チェン リウ・ツーフォン
キャッチコピー:30年たって初めて、ぼくは初めて知った。父の隠された想いを―



文化大革命によって画家としての夢を諦めた父親とその息子の愛憎劇「胡同の向日葵」です。


舞台は1976年の北京。
文化大革命が終息し強制労働を終えた父親(スン・ハイイン)が6年ぶりに帰って来ます。
画家としての道を絶たれた父親は、9歳になった息子シャンヤン(チャン・ファン)に自らの夢を託し、
絵画を厳しく教え込みます。
遊びたい盛のシャンヤンは、突然現われた“おじさん”に反抗します。

19歳になったシャンヤン(ガオ・グー)は大学に進学。
父親との関係は相変わらずギクシャクしています。


絵の才能を持ちつつもキチンと取り組むことなく父親に隠れて毎日つ遊んでばかり。
そんなある日シャンヤンはユー・ホン(チャン・ユエ)に恋をし、広州へ行く計画を立てます。
もちろん彼女も一緒に。
しかし出発当日父親にバレてしまい電車から引きずり下ろしてしまいます。

再会した彼女から別れを告げられるシャンヤン。
実は彼女、父親の命令で子供を堕ろさせられていました。
驚愕の事実を聞かされ、別れを受け入れるしかないシャンハン。

遂に怒りが爆発。
シャンハンは父親とつかみ合いになります。
その途中、足を滑らせ湖の割れ目に落ちてしまう父。
さすはがに見捨てるわけにも行かず仕方なく手を差し伸べるシャンハン。
なんとも気不味い空気の中でこの件はうやむやになり
シャンハンの初恋は実ることなく終焉を迎えます。

1999年。
時代は変わり北京には近代化の波が押し寄せています。
母はアパートで生活したいという夢を叶えるために
父親と形式上で離婚し別居生活を送っています。
かたや父親は今や廃墟と化している胡同の集落に住み続けています。


シャンハンは32歳。
皮肉にも(?)あれほど嫌悪していた父親の夢を叶えるかたちとなり
芸術家として才能を開花させていました。


シャンハンの展覧会。
家族の肖像画の前で初めて息子を認め褒める父。

 


このあと父親は1本のカセットテープを残し
家族の前から姿を消します。
そこにはひとりの父親として悩む言葉がおさめられていました。
「愛情はあった。
でもその伝える術がわからなかった。
お前の言うとおり自分は父親失格だ。」


父親の失踪後、新たな命が誕生します。
シャンハンがお父さんになったのです。



不器用で過干渉な父親の葛藤。
叶わなかった夢
それを息子に託す父。
めまぐるしく変わる時代の波に
胡同の長屋とともにポツンと取り残されたような晩年の父親の姿。
段々哀れにもうつります。
そして最後に希望の象徴でもある赤ちゃんの誕生。
盛者必衰の理ってヤツででしょうか。

父親と息子の親子関係。
庶民の素朴な生活。
文化大革命が残した傷跡。
新旧交代。
様々なテーマがギュッと凝縮された
何とも切ない作品でした。

コレは男性と女性とではかなり印象が変わる作品な気がします。
良い作品でした~!!



「観てみようかな?」と思われた方
「もう一度観たみたいな」と思われた方
よかったらポチッ。と応援お願います。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


しあわせの雨傘

2012年09月10日 | ★★★★
おすすめ度
原題:Potiche
製作:2010年 フランス
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン ピエール・バリエール ジャン・ピエール・グリディー
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ ジェラール・ドパルデュー ファブリス・ルキーニ

隠された記憶

2010年04月28日 | ★★★★
隠された記憶
おすすめ度 
原題:Cache/Hidden
製作:2005年フランス・オーストリア・イタリア・ドイツ
製作総指揮:マルガレート・メネゴス ミヒャエル・カッツ
製作:ファイト・ハイドゥシュカ
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジュリエット・ビノシュ ダニエル・オートゥイユ
キャッチコピー:このラストカットに全世界が驚愕

人間の深層心理を鋭く切り込んだサスペンス『隠された記憶』です。

人気キャスターのジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)は、編集者の妻アン(ジュリエット・ビノシュ)と一人息子ピエロ(ダニエル・デュヴァル)の3人で幸せに暮らしています。ある日、一本のビデオテープが不気味な絵と共に送りつけられます。その後も次々と届くテープ。中にはプライベートな風景が映し出されるものもあり、夫婦は不安と恐怖を感じます。そんな中、ジョルジュは子供時代のある事件を思い出します。



閑静な住宅街に住む中流階級の家。
はじまってほぼ無音でこの映像が延々と続きます・・・・

この映像の正体は送られてきたビデオテープ。
そしてテープには不気味なイラストも添えられていました。


ビデオテープはその後も送られてきます。
内容は・・・ジョルジュの実家の外観を撮影した映像と鶏の首のイラスト。
謎のイラストはジョルジュの職場やピエロの学校に送られてきました。
たまらず夫婦は警察に相談に行きますが、まだ事件に発展しているわけではないので警察は動けないとのこと。

確信はありませんが、実はジョルジュにはひとつだけ心当たりがありました。


それはまだ彼が子供の頃の話。
1961年にフランスで起こったアルジェリア人虐殺事件。



裕福なジョルジュの家にはアルジェリア人夫婦の使用人が住んでいました。
内紛で使用人夫婦が亡くなり、息子のマジッドという少年が孤児となってしまいます。
両親は彼を養子として迎え面倒をみようとしますが、
ジョルジュはマジッドが気に入りません。
そして子供に出来る精一杯の嘘をつき、彼は家からマジッドを追い出すことに「成功」します。
彼のちょっとした悪意は、ひとりの子供を孤児院送りにし、教育の機会を奪ってしまいます。


「心当たりがあるが、言えない」

妻に話したくない彼はひたすら隠そうとします。
精神的に追い詰められて苦しいのはジョルジュだけではありません。
妻はそんな夫に苛立ちが隠せず、ふたりは次第に険悪な雰囲気に・・・。

ある日ジョルジュは疎遠になっていた母親の元をたずねます。
久し振りに会った母は寝たきりの生活になっていました。
ここでもジョルジュはマイペース。
母を思って会いに来たのではなく、
ジョルジュが聞きたいのは、あくまでもマジットの事。

そしてまた例のビデオテープが・・・。
今度は見知らぬ通りの交差点を曲がり、とあるアパートのドアが・・・。
とにかくケリをつけたいジョルジュは一人でここに行く事を決意。

実家の外観、にわとりの首のイラスト・・・。
ジョルジュの思い出したくない子供時代のエピソードを象徴する人物は

マジッドです。

ドアを開けてそこに居た初老の男は成人したマジッド。

穏やかに友好的に話すマジッドに対し、敵意丸出しで激昂するジョルジュ。
半分脅しのような言葉を吐き捨て部屋を後にします。
身に覚えのないマジッドは打ちひしがれてしまいます。

「部屋には何もなかった」と妻に嘘の報告をするジョルジュ。
しかし、部屋の様子を盗撮したビデオが送られてきて妻に嘘がバレます。
ますます深まる夫婦の絆。


そして追い討ちをかけるようにまた事件が。


息子のピエロが夜になっても帰らないのです。
友達の家に電話をかけますがどこにもいません。
誘拐されたのでは・・・と大騒ぎ。
ジョルジュが向かったのは警察、そしてマジッドにその容疑の目を向けさせます。
同じ場所に居あわせたマジッドと息子は警察に連行されます。


翌朝ピエロは友人の母親に連れてこられて事件でないことが判明。
このあたりから、ピエロにも心の変化が表れます。
男友達に夫の相談を持ちかけている母の姿に嫌悪感をあらわにし、母に反抗。
夫婦の絆どころか、家族の絆さえ危うくなってきました。

とりあえずピエロが無事で一安心のジョルジュにマジッドから連絡が。
聞けば「話がある」とのこと。
ジョルジュは再度あのアパートに。

「ビデオテープは自分じゃない」と言ったあと「これを見せるためだ」と、にわかにポケットから取り出したナイフで喉元を掻っ切ったマジッド。
その不測の事態にただただ呆然と立ち尽くすジョルジュ。
あてもなく彷徨い、辺りがすっかり暗くなったころ、妻に助けを求め、
自宅に客を招いていた妻に、ジョルジュは皆を帰すように言いつけます。
妻のアドバイスもあり警察へ行き、事情を説明。
警察も彼の主張を信じます。

その後、マジッドの息子がジョルジュの職場に押しかけます。
父親の死についての真相を確かめるために。
しかしジョルジュは開き直ったような態度で「ビデオテープ」の件を訴えます。
そんなジョルジュを見てマジッドの息子は哀れむかのように

「やましい、という事がどういうことか、あなたを見てよくわかった」

といいます。

やましい・・・・・。
そうですね。
おっしゃるとおり。
だってジョルジュは
やましいんだもの。

でもね、やましさって誰にでもあるし。
ジョルジュ最低じゃん・・・。
と思いつつも
なんだか身につまされるような気分になりました。




そしてキャッチコピーにあった問題の「衝撃のラスト」です。

ピエロの学校前。
そこにマジッドの息子がピエロに向かって何か話しかけています。
ふたりは知り合い同士だったということですね。

ビデオテープの送り主は、ジョルジュとマジッドの息子たち・・・・ということなんでしょうか。


いやいや。
エンドロール3回続けて観ちゃいました。
だって最初わからなかったんですもん(笑)。


この作品。
1.ジョルジュの家族を崩壊寸前にまで追い込んだビデオテープの送り主は誰か?というサスペンス要素
2.その昔起こったフランスとアルジェリアの関係ないしは現代にまで残るその社会問題
との二重構造になっているんですね。

サービストラックのハネケ監督のインタビューに「犯人は誰であっても、それが問題ではない」的なことをおっしゃってました。
じゃあ、あの煽る気まんまんなキャッチコピーはなんなんだい?(笑)

まぁいいか。

とにかく、この作品・・・。一筋縄ではいきません。
一人で観るとモヤモヤするので、是非このモヤモヤを共有できる人と観る事をオススメします。

前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ

ローズ・イン・タイドランド

2010年04月24日 | ★★★★
ローズ・イン・タイドランド
おすすめ度
原題:Tideland
製作:2005年 イギリス カナダ
製作:ガブリエラ・マルチネリ ジェレミー・トーマス
監督:テリー・ギリアム
原作:ミッチ・カリン『タイドランド』
脚本:トニー・グリソーニ テリー・ギリアム
出演者 ジョデル・フェルランド ジェフ・ブリッジス ジェニファー・ティリー ブレンダン・フレッチャー
キャッチコピー:ギリアムのアリスは孤独の迷宮をさまよう

奇才テリー・ギリアム監督の『ローズ・イン・タイドランド』。
『アリス・イン・ワンダーランド』をもじった邦題ですね。
原題は『タイドランド』。
ミッチ・カリンの同名小説を映画化したダークファンタジーです。

10歳の少女ジェライザ・ローズ(ジョデル・フェルランド)は、ドラッグ中毒の両親と共に荒んだ生活を送っています。ある日、母親(ジェニファー・ティリー)がオーバードーズで死亡してしまいます。ミュージシャンである父親ノア(ジェフ・ブリッジス)はローズを連れて祖母の住むテキサスへと向かいます。しかし、祖母は当の昔に他界しており、家は廃墟と化していました。その後間もなくノアもオーバードーズで死亡してしまい、ローズは、ひとりぼっちになってしまいます。



薬物中毒の母親が亡くなり父親とテキサスへ逃亡。


父親は「旅」から戻ることはありませんでした。


ローズは荒れ果てた家で孤独と飢えに耐えます。


そんな彼女の友達は首だけのバービー人形。


しばしば空想の世界に浸るローズ。


そんなあるとき近所に住む不思議な姉弟に出会います。


魔女のようないでたちの女性デル(ジャネット・マクティア)。
彼女はその昔、鉢に襲われて片目の視力を失いました。


知的障害をもつ弟のディケンズ(ブレンダン・フレッチャー)。
彼の頭には「発作」の治療の手術でできた大きな傷があります。

このふたりとの出会いで、ローズはひとときの幸福を得ますが・・・。



むはぁ~。
何とも独特の世界でした。
おなかいっぱいになりました。

そもそもこの作品の原題である『Tideland 』とは直訳で干潟・・・という意味だそうです。辛い現実と、それを逃避するために構築されていく空想の世界・・その2つの世界を行き来する少女の物語です。まさにその境界を描いたような作品。
キャッチコピーどおり、ギリアムが描いたアリスは孤独の迷宮をさまよっていました(笑)。


ウサギと少女・・・そういやぁ「しゃべるリス」も出てきてましたね。
まさに「アリス」。

主演を務めたジョデル・フェルランドちゃんの演技力にはただただビックリ!
かわいらしさの中に、時々ドキッとするような色気なんかも漂わせつつ・・・モノ凄い存在感でした(驚)。今後の活躍が楽しみな女優さんのひとりです。

前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ








マルタのやさしい刺繍

2010年04月17日 | ★★★★
マルタのやさしい刺繍
おすすめ度
原題:Die Herbstzeitlosen
製作:2006年 スイス アメリカン・ヴィスタ
監督:ベティナ・オベルリ
出演:シュテファニー・グラーザー、ハイディ・マリア・グレスナー、アンネマリー・デュリンガー、モニカ・グブザー
キャッチコピー:縫い残した未来が輝きはじめる

おばあちゃんフェチの私にはたまらない作品。(なんつー導入;)
『マルタのやさしい刺繍』です。


舞台はスイスのある小さな村。
トループ村に住む80歳のマルタは、夫の死から立ち直れずにいました。そんなある日マルタのもとに、村の合唱団の旗を製作して欲しいとの依頼が舞い込みます。早速友人3人と共に材料を求めに町へ繰り出すマルタ。久し振りに裁縫店に入りレースや美しい生地を見ているうちに、今まで眠っていた創作意欲が沸き立っていくのでした。


マルタ、ハンニ、リジィ、フリーダは大の仲良し。
久々に都会の空気に触れた4人は大興奮!




マルタが若い頃の夢を再び追い求める姿を見ているうちに親友たちにも心の変化が・・・。




ハンニは同居している息子から通院を苦にされ、身体の不自由な夫を老人ホームに入居させられそうになっています。
それを阻止するため自ら運転免許を取ろうと一大決心。


フリーダは、マルタに何か協力が出来ることはないか・・・。老人ホームの施設内で何やら計画を練りはじめ・・・


ランジェリーショップの計画のきっかけを作ったリジィ。
周囲から猛反対を受け凹むマルタを励まし勇気付けます。



たとえお店の商品を全て息子たちにゴミ箱に捨てられても・・・
おばあちゃんたちはメゲません!
(ちょーーかわいいーーーー↑↑↑↑)


フリーダの協力でインターネットショップを立ち上げ下着の注文が少しずつ増え始めます。メディアにも取り上げられて、一躍時の人となるマルタ。
保守的な村を象徴的する人物であるハン二の息子、フリッツはちっとも面白くありません。
でも、娘はハンニに興味津々!


ひたむきなマルタの姿は友人たちのハートに火をつけ、
その輪はどんどん広がっていきます。
そしてついに旧態依然とした思考の村人たちの心をも動かしていくんですねぇ。


この作品を撮ったベティナ・オベルリという監督は、なんと当時35歳の女性!
作風からして女性なのは納得ですが、お若い監督さんなんですね。ビックリ。
エメンタール地方に住む自身の祖母の生活からヒントを得て、小さなコミュニティーが抱える問題を本作に取り入れたんだそうです。

実話をもとに・・・というのは、マルタのようなおばあちゃんがいた・・・というわけではなく、そういう事だったんですね。



80歳という高齢にも関わらずアグレッシブに突き進むおばあちゃんの姿を見ていると「がんばれ!マルタ!!」と応援しないではいられません。
観ると元気になれる事うけあいです。






すごーく楽しめたんですが
個人的にはラストのこのエピソードがちょっと・・・・。


でも、まぁ・・・いっか!
おばあちゃん可愛かったし!

ね♪

前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ



















つみきのいえ LA MAISON EN PETITS CUBES

2010年04月16日 | ★★★★
つみきのいえ
LA MAISON EN PETITS CUBES
おすすめ度
製作:2008年 日本
監督:加藤久仁生
脚本:平田研也
音楽:近藤研二
ナレーション:長澤まさみ


2008年アカデミー賞短編アニメ賞を受賞した話題作『つみきのいえ』です。
何か疲れているときに癒しを求めて、ちょいちょいこういうアニメに手を出す私(笑)
実はこの作品、アカデミー受賞作品とも知らず、何の予備知識も無く手に取ったもの。
この方、どうやらテレビやCMなどでかなり活躍されている有名なクリエーターさんのようですが、(相変わらず)私このたび初めて知りました。



海に浮かぶように建っている、まるで「積み木」のような家。海面がどんどん上がってくるので、上へ上へと家を「建て増し」続けてきたからです。そんな家にひとりで住んでいる頑固な老人の家族との思い出の物語。(加藤久仁生公式HPより抜粋)




海面が上昇し、住人がほとんどいない水没寸前の町です。



おじいさんは、たった一人でこの家に住んでいます。


夜は食事をしながら必ずワインを1杯。



ある日、海に大切にしていたパイプを落としてしまいます。
行商を呼んで新しいパイプを買おうとしましたが・・・


実際に購入したのはダイビングスーツ。落としたパイプを拾いに行くため、早速着込んで海の中へと潜っていきます。



下へ、下へと進みながら、おじいさんは、これまで共に暮らしていた家族との思い出を回想していくのでした。







先立った妻。


娘夫婦と孫との団欒のひととき。


まだ町が水没する前。若かりし頃のおじいさん夫婦とその娘。



最愛の妻と幼い娘。


このつみきのいえの礎となる最初の新居。
ふたりで築きあげています。


おじいさんとおばあさんの幼少時代。


加藤久仁生監督が織り成す手描き風タッチのアニメーションはなんとも言えないあたたかさがあります。キャラクターの細かい表情の変化や、シーンによって使い分けられた陰影、老人がもつ独特な間合い。こういう表現は大変月並みではありますが、おじいさんが今まで積み上げてきた家と人生が見事にオーバーラップされノスタルジックな気分に浸れます。


DVDはナレーションなしバージョンと、長澤まさみちゃんのナレーションありバージョンの2つが収録されてます。個人的には、断然ナレーションなしがおすすめです。想像力がいろいろとかきたてられるという意味ではやはし説明されすぎちゃうとちょっと興ざめ・・。でも、両方を観比べるのも面白いかもしれません。



前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ


メトロポリス

2010年04月15日 | ★★★★



メトロポリス
おすすめ度 
原題:Metropolis
製作:1926年 ドイツ
監督:フリッツ・ラング
製作:テア・フォン・ハルボウ
脚本:テア・フォン・ハルボウ
出演者:ブリギッテ・ヘルム アルフレッド・アベル グスタフ・フレーリッヒ


ようやく観ました!「メトロポリス」。
某図書館で借りたVHSのちょい怪しいバージョンで(笑)。
まぁ、それはさておき。
以降多数のSF作品に多大な影響を与えた伝説の映画ですよ。
ずっと観たかったんです。




2026年、高度機械文明が発達した未来都市メトロポリス。
空高くそびえるこの巨大な都市は、二つの文明から成っています。
ひとつは、地上の世界。豊な生活を送る特権階級たちの場所。


そしてもうひとつは、地下の世界。
地上の住人を支える労働者階級が過酷な日々を強いられています。


地上の支配者フレーダーセン(アルフレット・アベル)の息子フレーダー(グスタフ・フレーリッヒ)は、ある日偶然遭遇した労働者の娘・マリア(ブリギッテ・ヘルム )の美しさに魅かれ地下の世界へ足を踏み入れます。
そこで彼は初めて地下世界の存在を知り、この二極化された世界の調停人になろうと決心します。


そんな息子の様子を察知した父親は、
旧友である科学者ロトワング博士にマリアにそっくりなアンドロイドを作らせ
地下の労働者たちの団結を阻止しようと企てますが・・・。



わっるい顔。
ロトワング博士です。
いかにも何かしでかしそうですね。



マリアをさらってコピー中。



「伝説」のロボットです。

YES! ↑もちろん、こいつです。




超シェクシーな黒マリア。
うーん。別人。
妖艶です。


ロトワング博士の策略で・・・・


大混乱・・・





全ての決着をつけたフレーダーは、父と労働者間の調停を執り行い
ハッピーエンド・・・・。






・・・ぷはぁ。
1920年代の混沌とした社会を象徴とした問題作。

これを観て久々に「資本主義」とか「ブルジョアジー」とか「プロレタリアート」とかいう教科書の太字を思い出してしまいました。
その昔、社会科で習いました。(たぶん)
当時のドイツは超インフレと失業時代に突入。社会の秩序も乱れ、政治経済はみるみる悪化。こういう時代を背景に製作された作品だけあり・・・・

なかなか混沌としています。
一応ハッピーエンドなはずなのに、どうもスッキリしない後味の悪さが印象的でした。

これを観て、あー。と最初に思い出したのは『王と鳥』。というより、『やぶにらみの暴君』と言う方が正しいのかな?
近代的な城・地下の町・ロボットの暴走・城の破壊・・。
まさに、メトロポリス!
いろんな作品に影響を及ぼしているんですね。

それにしても。
この時代のドイツの作品ってば、まぁ凄い!
未来都市や地下社会の工場、時計台のセット。
踊り子として皆を惑わすマリアの舞台・・・。
ため息でますわ。
古典的な撮影なのでしょうが、デザイン、演出含めすごい完成度。
どういう風に製作されたのか興味津々です。
ぜひメイキングが観てみたい!

この作品って無声映画なんですよね。
でも完全オリジナル版は現存しない・・・との事・・・。

実際私が観たのは95分バージョン。気のせいじゃなければ、音楽も日本の方が手がけていたような・・・。確か1980年代・・・?
オリジナルはは210分を越える勢いの長尺らしいですね。
なので、ラング自身はこういう短いバージョンは納得していなかったとかどうとか。

うむむ・・・

いろんな意味で完全版とやらを観たいものです。

前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ















サウンド・オブ・ミュージック

2008年07月23日 | ★★★★



サウンド・オブ・ミュージック
おすすめ度
原題:The Sound of Music
製作:ロバート・ワイズ ソウル・チャップリン
監督:ロバート・ワイズ
脚本:アーネスト・レーマン
出演:ジュリー・アンドリュース クリストファー・プラマー リチャード・ヘイドン ペギー・ウッド エリナ・パーカー

同名ミュージカルを映画化した名作「サウンド・オブ・ミュージック」です。
この作品も子供のころから相当テレビで観ていますが、これまた久しぶりに観てみたくなり再チェックと相成りました。

1938年のナチス党政権下のドイツによるオーストリア合邦では、今まさに第二次世界大戦が始まろうとしています。

マリア(ジュリー・アンドリュース)は修道女見習い。おてんばな彼女はいつもまわりの修道女にたしなめられています。そんなある日、院長にトラップ大佐の7人の子供たちの家庭教師をするように勧められ、大佐宅へ向かうことになります。

トラップ大佐(クリストファー・プラマー)はオーストリア海軍退役軍人。数年前に妻を亡くし、以後、子供たちの学習の世話をする家庭教師が居つかなくて困っています。大佐は、子供たちを厳しくしつけていますが、子供たちはいたってマイペース。マリアも早速子供たちの「洗礼」を受けます。














前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ


オズの魔法使

2008年07月21日 | ★★★★





オズの魔法使
おすすめ度
原題:The Wonderful Wizard of OZ
製作:1938年 アメリカ
製作:マービン・ルロイ
監督:ヴィクター・フレミングほか
原作:ライマン・フランク・ボーム
脚本:ノエル・ラングリー フローレンス・ライアソン エドガー・アレン・ウルフ
出演:ジュディ・ガーランド フランク・モーガン レイ・ボルジャー バート・ラー ジャック・ヘイリー ビリー・バーク マーガレット・ハミルトン

子どもの頃、読んだ想い出深い本のひとつ、「オズの魔法使い」です。ジュディ・ガーランドが歌う「オーバー・ザ・レインボウ」は映画史に残る名曲のひとつですね。

カンサスの農場に住む少女ドロシー(ジュディ・ガーランド)は、怒っていました。愛犬トトが近所のミス・グルチ(マーガレット・ハミルトン)からいじめられたからです。その事をMおばさんに言い付けようと息巻いて帰宅しますが、農場の皆は忙しくて誰も相手にしてくれません。そこへグルチがやってきて、トトが自分に噛み付いたとして、(トトを)始末すると怒鳴り込んできました。ドロシーは絶望し、トトを守るため家出することを決意します。行く宛もなく歩いていると、占い師の馬車に目がとまりました。占師マーヴェル(フランク・モーガン)は彼女の家出を見破り、占う振りをして「伯母さんが心配して病気になった」と言います。ドロシーは慌てて家へ帰りますが、そこへ大龍巻が襲来!気を失った彼女が気がつくと、ドロシーは家もろとも大空高く吹きあげられていました。

ちょっと癒されたいな〜、と思い何となくチョイス。
でも、全然癒されね〜〜〜っ!!
201分という長尺!!
201分っていったら、3時間21分ですよっ。
長い…。
私の集中力はカッツカツでした…。

誰もが一度は聞いたことのある名曲
演者の素晴らしい演技&歌唱力。
色鮮やかなテクニカラー。
特撮&特殊メイク。
とても1930年代の作品とは思えないクオリティの高さ。
本当に凄い作品です。
…でも、これ、子ども時に観るべきだったなぁ…。


カンザスの農場で歌う「オーバー・ザ・レインボウ」
ジュディ・ガーランドの歌唱力は素晴らしいです。
そして、とってもかわいらしい!
この役を演じるにあたり、彼女は随分ダイエットをしたそうです。


北の良い魔女グリンダ(ビリー・バーク)。
まるでお姫さまのようです。
50オーバーには見えませんね!


紆余曲折あってこの役をゲットしたマーガレット・ハミルトン。
なかなか良い面構えです(笑)。


臆病なライオン(バート・ラー)、脳みそのない案山子(レイ・ボルジャー)、ハートのないブリキの木こり(ジャック・ヘイリー)。
新たに仲間を迎え、それぞれ自分に足りないものを得る為の旅がはじまります。


色々な困難を乗り越えようやくエメラルドの国が見えてきました。


DVDには製作秘話やメイキングなども収録されています。
事故、役者や監督の降番などなど色々なトラブルに見まわれながら完成させた、まさに血と汗と涙の結晶。2時間以上かかる特殊メイクの話や照明の話を聞くと画面からもその熱さが伝わってきそうです。


ドロシーの赤い靴。
オークションでは最高165,000ドルで競り落とされたそうです。



たまにはこういう過去の名作をじっくりと観るのもいいものですね。
でも。



長かった〜。

オズの魔法使@映画生活
前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ





蠅男の逆襲

2008年07月20日 | ★★★★



蠅男の逆襲
おすすめ度
原題:RETURN OF THE FLY
製作:1959年 アメリカ 日本未公開
製作:バーナード・グラッサー
監督・脚本:エドワード・L・バーンズ
出演:ヴィンセント・プライス ブレッド・ハルゼイ

「蠅男の恐怖」のヒットを受けて製作された続編。「蠅男の逆襲」です。前作はカラーですが、今回はモノクロで撮影されています。

悲惨な最期を遂げた父の事件から十数年。母エレーヌが亡くなり、父の物質転送の研究を引き継いだフィリップ(ブレッド・ハルゼイ)。しかし、研究を独り占めしようとした助手アランに裏切られてしまいます。実はアランは前科持ちの詐欺師。知り合いの悪徳業者に新発明の装置の図面を売り払おうと画策していたのです。それに気付いフィリップは彼を阻止しようと揉み合いになり、その拍子に気絶してしまいます。アランは蝿を恐れる彼を無理やり蝿と共に転送機に放り込み、フリップは蝿男に大変身!皮肉にも父と同じ悲劇が再び起きてしまうのでした。

今回の作品は、ホラー要素よりむしろ裏切りに対する復讐劇といった感じです。
81分という尺でかなり色々詰め込みましたね〜〜。
なのでちょっとバタバタ感が否めない。

父の研究の継続
フランソワとの関係
アランとの関係
恋人セシリアとのロマンス
復讐に対する憎悪の描写

などなど・・・

それぞれの人間関係の描き方が希薄で物足りない&感情移入できない。
印象に残る映像も少ない。
続編のクオリティとしては、リメイク版の「ザ・フライ2 二世誕生」の方が高かった気がします。

でも今回もお気に入り面白シーンはありますよっ。


父親の事件がトラウマになっているのか、フィリップは蠅が苦手です。


当初猛反対していたフランソワ(ビンセント・プライス)ですが、フィリップの捨て身の決心に根負け。
「フィリップ立ち会いの元で」という条件で研究を再開します。

ところが、アランが完成目前にして裏切ります。
しかも、彼の陰謀で皮肉にも父と同じ目に合い蠅男に!


怒り狂ったフィリップはアランの裏の顔のパートナーに手を掛けます。


過去の失敗を教訓に、今回は早めに「白い顔をした蠅」をゲット!
ビーチャム警部お手柄です。
ってかすごいです!この人面蠅!!
笑わせようとしているとしか思えません。


そして、無事転送機へ。

ここで唐突にTHE END

うーん。
ちょっと尻つぼみ感が気になります。




が。

ま・いっか。



前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ

ライアー

2008年07月17日 | ★★★★





ライアー
おすすめ度
原題:LIAR DECEIVER
製作:1997年 アメリカ
製作:ピーター・グラッツァー
監督・脚本:ジョナス・ペイト ジョシュ・ペイト
出演:ティム・ロス クリス・ペン マイケル・ルーカー レニー・ゼルウィガー エレン・バースティン ロザンナ・アークエット マーク・ダモン
キャッチコピー:嘘か? 真か?

殺人事件の容疑者とふたりの捜査官の駆け引きを描いのサスペンス「ライアー」です。ジョナス・ペイト、ジョシュ・ペイト双児の兄弟が監督・脚本をつとめています。

大富豪の息子ウェイランド(ティム・ロス)がブラクストン(クリス・ペン)とケネソウ(マイケル・ルーカー)のふたりの捜査官に、ポリグラフ(嘘発見器)を使い、尋問を受けています。彼の容疑は娼婦殺し。エリザベス・ロフタス(レネー・ゼルウィガー)という娼婦が胴体を切断された残酷な殺人事件です。ウェイランドは名門大学の心理学科を首席で卒業した切れ者です。彼はのらりくらりと尋問をかわし、なかなか取り調べは進みません。そればかりか逆に捜査官ふたりの秘密を暴き立て彼らを動揺させるのです。


この作品の監督&脚本をつとめたジョナス・ペイトとジョシュ・ペイト。
どっちがどっちなのかはわかりましぇん。
1970年生まれの彼らはこの作品を製作したときは弱冠27才!


取り調べという名の心理戦はは続きます。


ウェイランドの挑発的な行動に緊張は一気に高まります。

ウェイランドは側頭葉てんかん(TLE)という持病がありアルコールに依存しています。作中にも「あの日もアブサンを飲んでいた」というシーンがあります。また、捜査官2人が訪ねた精神科医はTLEはゴッホも患っていて、アブサンを飲んでいたと言っています。


あ、そういえば。ティム・ロスって1990年にゴッホ演ってますよね?


アブサン
アルコール度数がとっても高い薬草系リキュール。
その個性の強い味は一度はまると癖になるみたい。
ウェイランドも水で薄めて飲んでましたね。


レニー・ゼルウィガーが娼婦役を熱演しています。


今から11年前だから、28才ですか。ナイスバディですね。

実はそんなに期待していませんでした。
そしたら、なんとなんと!
とっても面白い!

IQ155のウェイランド。
ブリジストン大学心理学課主席卒業。頭脳明晰の大富豪の息子。
IQ122のケネソウ。
ポリグラフ暦20年のベテラン、自白率92%
IQ102のブラクストン。
気のいい温厚な男。平均的なIQの持ち主。この人が一番人間らしい。
IQ別で人物紹介をする導入、なかなかいいです。

猟奇殺人事件
ポリグラフ
心理学
TLE
アブサン
ゴッホ

ミステリアスなワードが満載です。
たまりませんなっ。
どこから本当でどこから嘘かが観ていてだんだん分からなくなります。
一瞬「あれっ?」となる煙に巻いたようなラストも好きです。
私、続けて2度観ました。
わはは。どうもIQ低いみたいです。


前田有一の超映画批評



にほんブログ村 映画ブログへ