徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

いつか眠りにつく前に

2010年04月30日 | ★★★
いつか眠りにつく前に
おすすめ度
原題:Evening
製作総指揮:ジル・フートリック ロバート・ケッセル スーザン・マイノット
製作:マイケル・ホーガン
監督:ラホス・コルタイ
脚本:スーザン・マイノット マイケル・カニンガム
出演:クレア・デインズ ヴァネッサ・レッドグレイヴ メリル・ストリープ
キャッチコピー:あなたが最期に呼ぶのは誰の名前ですか



櫻の園

2010年04月29日 | ★★★
おすすめ度 
製作:1990年 日本
製作:岡田裕
監督:中原俊
原作:吉田秋生
脚本:じんのひろあき
出演:中島ひろ子 つみきみほ 白島靖代 宮澤美保

2008年にご本人によるリメイクが記憶に新しい中原俊監督の『桜の園』です。

私立櫻華学園高校演劇部では毎春、創立記念日にチェーホフの舞台劇「櫻の園」を上演することが伝統となっています。
上演当日の早朝、小間使いのドゥニャーシャ役で部長の由布子がパーマをかけて登校します。優等生の由布子の変化に部員たちはびっくり。
そして、ヤーシャ役の紀子が他校の生徒とタバコを吸って補導されたというニュースで部室はもちきりに。緊急職員会議でこの不祥事に対し、「櫻の園」の上演禁止に発展しかかりますが・・・・。



舞台監督の城丸香織(宮澤美保)は上演前夜に彼氏と外泊。
朝から部室でいちゃいちゃ。
彼氏が吸おうとしたタバコを取り上げソファの横に置く香織。
後々、このタバコの行方がなかなか楽しい。

彼を部室から追い出してすぐ部室に来たのは部長の志水由布子(中島ひろ子)。
彼女は校則違反のパーマをかけて登校して来ます。
優等生の由布子の意外な行動に驚く香織。
雑談をしている間にほかの部員もやってきます。
彼女たちの話題は昨夜の電話連絡について。
外泊していた香織にはなんのことやら分かりません。
先輩の話によると
部員の杉山紀子(つみきみほ)がタバコを吸い補導されたとのこと。

職員会議がはじまり一時は上演禁止に発展しそうになりますが
顧問の里美先生のがんばりで何とか他の先生を説得。
予定通り「櫻の園」は上演決定です。


こちらは恋話。敦子(水色のジャージの子)は彼氏とそろそろHする時期なのかなぁ・・と悩んでいます。


こちらはお小遣いの話。まだ4月だというのに7月分まで前借している喜美子。
ご利用は計画的に。


左の女の子は3年生の久保田麻紀(梶原阿貴)。
語調がキツく後輩にも厳しい・・・。いたよねこういう先輩。


さて。


男役として後輩に大人気の知世子(白島靖代)。背が高いことがコンプレックス。
今までずっと男役ばかりだったので初めての女性役に戸惑いを隠せません。


そんな知世子をやさしくフォローする由布子。彼女は知世子に好意を寄せています。


演劇部の中でもなんとなく浮いている紀子(つみきみほ)。彼女のタバコ事件で演劇部は大パニック。


一緒に写真を撮ろうということになったそのとき
「私、倉田さんが好き」とふいに告白する由布子。
「もっと言って」とまんざらでもない様子の知世子。


その様子を偶然見ていた紀子は、なんだか複雑な気分。
どちらかが好きなのね・・・。とにおわせる。


いよいよ開幕です。
バックステージで、紀子が突然「志水さん、今日は誕生日でしょう?」と由布子に言う。
そう、彼女が好意を寄せていた人物は由布子なのでした。
少女たちは、小さな声でハッピーバースデーを歌います。
そしていざステージへ。

舞台開演2時間前の演劇部の少女たちに焦点を当てた群像劇。
女の子特有のワーキャーしたかんじや、先生たちへの悪口、先輩に憧れる女の子・・・。
ちょっと時代は感じますが(汗)さりげない会話や雰囲気がよく描けてます。


ほんの一瞬しか体験できない少女時代。
散るから美しい・・・・。まさに桜のようですね。


前田有一の超映画批評



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隠された記憶

2010年04月28日 | ★★★★
隠された記憶
おすすめ度 
原題:Cache/Hidden
製作:2005年フランス・オーストリア・イタリア・ドイツ
製作総指揮:マルガレート・メネゴス ミヒャエル・カッツ
製作:ファイト・ハイドゥシュカ
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジュリエット・ビノシュ ダニエル・オートゥイユ
キャッチコピー:このラストカットに全世界が驚愕

人間の深層心理を鋭く切り込んだサスペンス『隠された記憶』です。

人気キャスターのジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)は、編集者の妻アン(ジュリエット・ビノシュ)と一人息子ピエロ(ダニエル・デュヴァル)の3人で幸せに暮らしています。ある日、一本のビデオテープが不気味な絵と共に送りつけられます。その後も次々と届くテープ。中にはプライベートな風景が映し出されるものもあり、夫婦は不安と恐怖を感じます。そんな中、ジョルジュは子供時代のある事件を思い出します。



閑静な住宅街に住む中流階級の家。
はじまってほぼ無音でこの映像が延々と続きます・・・・

この映像の正体は送られてきたビデオテープ。
そしてテープには不気味なイラストも添えられていました。


ビデオテープはその後も送られてきます。
内容は・・・ジョルジュの実家の外観を撮影した映像と鶏の首のイラスト。
謎のイラストはジョルジュの職場やピエロの学校に送られてきました。
たまらず夫婦は警察に相談に行きますが、まだ事件に発展しているわけではないので警察は動けないとのこと。

確信はありませんが、実はジョルジュにはひとつだけ心当たりがありました。


それはまだ彼が子供の頃の話。
1961年にフランスで起こったアルジェリア人虐殺事件。



裕福なジョルジュの家にはアルジェリア人夫婦の使用人が住んでいました。
内紛で使用人夫婦が亡くなり、息子のマジッドという少年が孤児となってしまいます。
両親は彼を養子として迎え面倒をみようとしますが、
ジョルジュはマジッドが気に入りません。
そして子供に出来る精一杯の嘘をつき、彼は家からマジッドを追い出すことに「成功」します。
彼のちょっとした悪意は、ひとりの子供を孤児院送りにし、教育の機会を奪ってしまいます。


「心当たりがあるが、言えない」

妻に話したくない彼はひたすら隠そうとします。
精神的に追い詰められて苦しいのはジョルジュだけではありません。
妻はそんな夫に苛立ちが隠せず、ふたりは次第に険悪な雰囲気に・・・。

ある日ジョルジュは疎遠になっていた母親の元をたずねます。
久し振りに会った母は寝たきりの生活になっていました。
ここでもジョルジュはマイペース。
母を思って会いに来たのではなく、
ジョルジュが聞きたいのは、あくまでもマジットの事。

そしてまた例のビデオテープが・・・。
今度は見知らぬ通りの交差点を曲がり、とあるアパートのドアが・・・。
とにかくケリをつけたいジョルジュは一人でここに行く事を決意。

実家の外観、にわとりの首のイラスト・・・。
ジョルジュの思い出したくない子供時代のエピソードを象徴する人物は

マジッドです。

ドアを開けてそこに居た初老の男は成人したマジッド。

穏やかに友好的に話すマジッドに対し、敵意丸出しで激昂するジョルジュ。
半分脅しのような言葉を吐き捨て部屋を後にします。
身に覚えのないマジッドは打ちひしがれてしまいます。

「部屋には何もなかった」と妻に嘘の報告をするジョルジュ。
しかし、部屋の様子を盗撮したビデオが送られてきて妻に嘘がバレます。
ますます深まる夫婦の絆。


そして追い討ちをかけるようにまた事件が。


息子のピエロが夜になっても帰らないのです。
友達の家に電話をかけますがどこにもいません。
誘拐されたのでは・・・と大騒ぎ。
ジョルジュが向かったのは警察、そしてマジッドにその容疑の目を向けさせます。
同じ場所に居あわせたマジッドと息子は警察に連行されます。


翌朝ピエロは友人の母親に連れてこられて事件でないことが判明。
このあたりから、ピエロにも心の変化が表れます。
男友達に夫の相談を持ちかけている母の姿に嫌悪感をあらわにし、母に反抗。
夫婦の絆どころか、家族の絆さえ危うくなってきました。

とりあえずピエロが無事で一安心のジョルジュにマジッドから連絡が。
聞けば「話がある」とのこと。
ジョルジュは再度あのアパートに。

「ビデオテープは自分じゃない」と言ったあと「これを見せるためだ」と、にわかにポケットから取り出したナイフで喉元を掻っ切ったマジッド。
その不測の事態にただただ呆然と立ち尽くすジョルジュ。
あてもなく彷徨い、辺りがすっかり暗くなったころ、妻に助けを求め、
自宅に客を招いていた妻に、ジョルジュは皆を帰すように言いつけます。
妻のアドバイスもあり警察へ行き、事情を説明。
警察も彼の主張を信じます。

その後、マジッドの息子がジョルジュの職場に押しかけます。
父親の死についての真相を確かめるために。
しかしジョルジュは開き直ったような態度で「ビデオテープ」の件を訴えます。
そんなジョルジュを見てマジッドの息子は哀れむかのように

「やましい、という事がどういうことか、あなたを見てよくわかった」

といいます。

やましい・・・・・。
そうですね。
おっしゃるとおり。
だってジョルジュは
やましいんだもの。

でもね、やましさって誰にでもあるし。
ジョルジュ最低じゃん・・・。
と思いつつも
なんだか身につまされるような気分になりました。




そしてキャッチコピーにあった問題の「衝撃のラスト」です。

ピエロの学校前。
そこにマジッドの息子がピエロに向かって何か話しかけています。
ふたりは知り合い同士だったということですね。

ビデオテープの送り主は、ジョルジュとマジッドの息子たち・・・・ということなんでしょうか。


いやいや。
エンドロール3回続けて観ちゃいました。
だって最初わからなかったんですもん(笑)。


この作品。
1.ジョルジュの家族を崩壊寸前にまで追い込んだビデオテープの送り主は誰か?というサスペンス要素
2.その昔起こったフランスとアルジェリアの関係ないしは現代にまで残るその社会問題
との二重構造になっているんですね。

サービストラックのハネケ監督のインタビューに「犯人は誰であっても、それが問題ではない」的なことをおっしゃってました。
じゃあ、あの煽る気まんまんなキャッチコピーはなんなんだい?(笑)

まぁいいか。

とにかく、この作品・・・。一筋縄ではいきません。
一人で観るとモヤモヤするので、是非このモヤモヤを共有できる人と観る事をオススメします。

前田有一の超映画批評



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サガン -悲しみよ こんにちは-

2010年04月27日 | ★★★
サガン -悲しみよ こんにちは-
おすすめ度
原題:Sagan
製作:2008年フランス
監督:ディアーヌ・キュリス
脚本:ディアーヌ・キュリス マルティーヌ・モリコーニ クレール・ルマレシャル
出演:シルヴィー・テステュー ピエール・パルマード ジャンヌ・バリバール
キャッチコピー:愛も、名声も、贅沢も──ぜんぶ手に入れて、失って。

18歳で鮮烈な文壇デビューを果たした小説家フランソワーズ・サガンの波乱万丈な半生を描いた作品『サガン -悲しみよ こんにちは-』です。

1954年、18歳の若さで処女作『悲しみよ こんにちは』が世界的ベストセラーとなり、一夜にして富と名声を手に入れた作家フランソワーズ・サガン(シルヴィー・テステュー)。その後もコンスタントに作品を発表しますが、注目されるのはサガン自身の私生活。連日友人たちと遊びまわり、ゴシック誌を賑わせました。そんなある日、スポーツカーを運転していて事故に遭い大怪我をして入院。その後22歳で編集者のギイ・シェレールと結婚しますが・・・・。


若くして富と名声を手に入れたサガン。
ギャンブル・パーティ・自由奔放な恋・・・。
自身が描く小説のヒロイン顔負けのド派手な毎日を過ごします。

そんなある日、兄に批判されたあと、感情的な運転で操作を誤り生死を彷徨う大事故を起こしてしまいます。
翌年の1958年、編集者ギイ・シェレール(ドゥニ・ポダリデス)と電撃結婚しますが、幸せは長く続かず2年でその結婚生活に幕を閉じます。
1962年には米国人ボブ・ウェストホフ(ウィリアム・ミラー)と結婚して息子ドニ(アレクシ・ミシャリク)が生まれますが、3年後にはまたしても離婚。が。離婚後も彼の恋人と一緒に暮らします。


離婚後、サガンはペギー・ロッシュ(ジャンヌ・バリバール)と出会います。彼女はファッション誌の『ELLE』の元編集長で、自身のブランドを立ち上げるほどのキャリアウーマン。意気投合したふたりはすぐに同居を決めます。
しかし、彼女は癌に倒れ、絶望するサガン。

その後はますます酒と薬におぼれていきます。
浪費家だった彼女は税金を滞納し、ついに破産。
2004年、メイド1人に見送られひっそりとこの世を去りました。



18歳の文壇デビューから69歳でこの世を去るまで
薬物中毒、アルコール、ギャンブル、自動車事故、離婚、破産・・・・
と常に話題に事欠かなかったフランソワーズ・サガン。

う~ん・・・。
なんだろう。
もともとサガンに興味がなかった・・・いうのもあるのかもしれないけど、どうにも物足りない・・・という感じ。
伝記モノだしなぁ。
なんかちょっとナニかが足りない。
色々あった人のようなので、2時間くらいでは表現できなかったのかもしれないけど、駆け足感が否めませんでした。



フランソワーズ・サガン/本名フランソワーズ・コワレ(1935年~2004年)
ご本人です。
ちょっとした芸能人よりもスターな人生ですね。
確かに華やかな人生だったかもしれませんが、常に孤独に見えてとても痛々しかったです。
作品の中でも家族以外で本当に心を許していたのはペギーだけだったように思います。
とりあえず、彼女の本をまず1冊読んでみようかな・・・。

前田有一の超映画批評



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ヒトラーの贋札

2010年04月26日 | ★★★
ヒトラーの贋札

おすすめ度
原題: DIE FALSCHER/THE COUNTERFEITER
製作:2006年 ドイツ・オーストリア
製作:ヨーゼフ・アイヒホルツァー
監督:シュテファン・ルツォヴィツキー
脚本:シュテファン・ルツォヴィツキー
出演:カール・マルコヴィックス アウグスト・ディール デーヴィト・シュトリーゾフ アウグスト・ツィルナー マルティン・ブラムバッハ
キャッチコピー:完璧な贋札。それは俺たちの命を救うのか。それとも奪うのか

1943年から終戦にかけ、ナチス政権がイギリスの経済かく乱を狙い画策した史上最大の紙幣贋造事件「ベルンハルト作戦」。その贋札作りに関わった、ユダヤ人印刷工アドルフ・ブルガーの証言に基づき、脚色を加えて制作された作品『ヒトラーの贋札』です。

第二次世界大戦真っ只中のドイツ。ユダヤ人強制収容所の一画に、各地から集められた職人たちが働く秘密工場がありました。世界的贋作師のサリー(カール・マルコヴィックス)は、かつて自分を逮捕したヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)の指揮のもと、大量の贋ポンド紙幣を作る「ベルンハルト作戦」に加わることになります。その工場はかつての劣悪な環境とは異なり囚人として異例の待遇でした。しかし、贋札作りは苦悩と困難の連続でした。なぜなら、作戦が成功は家族や同胞への裏切りを意味し、失敗は仲間と自らの死を意味することだったからです。



第二次世界大戦終戦直後のモナコ・モンテカルロ。くたびれたスーツを着た男が高級ホテルに足を踏み入れるシーンから物語ははじまります。


手にしたアタッシュケースには札束が詰め込んでありました。男は部屋にスタッフを呼び身なりを整えカジノ場へ行き、狂ったように賭けていきます。その日一夜を過ごした女性は男の腕の囚人番号に気付きます。



世界的贋作師のサリー。
パスポート偽造、贋札作り、絵画の贋作・・・と非凡な才能を持っています。

しかし、あえなく御用となり逮捕。しかし彼が送られた先は刑務所ではなくなんと強制収容所!
毎日過酷な労働を強いられ家畜同然の扱いを受ますが・・。



お得意の芸術センスをフル活用し、親衛隊に絵を描いたり、壁画を描いたり・・・と収容所内でもうまく立ち回ります。

そんなある日ザクセンハウゼン強制収容所への移送が決定します。


移送中に出会った美術学生のコーリャ。彼はサリーと同じ学校に通っていました。


ザクセンハウゼン強制収容所で待ち受けていたのは、なんとサリーを逮捕して大出世したヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)。
清潔なベッド、定期的に許されるシャワー、音楽が流れる作業場。
夢のような待遇です。


彼に与えられた仕事は贋札製造。
「ベルンハルト作戦」のそれです。
彼はこの作業所で贋札製造主任に任命されてしまいます。

仲間のピンチを救いながら、それまで困難を極めていたポンド作りを完成へと導くサリー。


そのポンドは早速スパイの手により、スイス銀行、ロンドン銀行に持ち込まれ鑑定依頼されます。
結果は・・・・「真券」。
銀行に勤めるプロの鑑定士の目でさえ見破れなかった完璧な贋札が完成しました。

ポンド完成で何とか命びろいできた工員たちですが
早速次のお題がでました。
今度はドル。

ここでまた問題が。


正義感の強い印刷技師のブルガー(アウグスト・ディール)。
彼の妻はアウシュヴィッツ収容所にいます。
自分たちが贋札を作り続けることは戦争が長引くことを意味し、「同胞」への裏切りになると主張。



ブルガーはサボタージュを決意。
サリーともたびたび衝突を繰り返します。

こんな状態で作業が進むわけもなく・・・時間ばかりが過ぎていきます。
痺れを切らした親衛隊の将校から期限を提示されます。
しかも、その期限が過ぎると5人を銃殺する・・・・という条件付で・・・。


やむなく、ブルガー抜きでドル作りをはじめるサリー。


しかしその頃サリーにはもうひとつ心配事が・・・。
コーリャが結核にかかってしまっていたのです。


"敗戦”を察知したヘルツォークは国外逃亡するために自分の家族の偽造パスポートをサリーに依頼。ここでサリーは結核の薬をヘルツォークに依頼。
ふたりの取引は成立します。
しかし、やっとの思いで薬を手に入れたものの、コーリャは親衛隊により銃殺されてしまいます。


その後敗戦を知らされ塀の向こうの「同士」たちの様子を見て愕然とする工員たち。
工場も閉鎖され晴れて自由の身となります。




そして場面は再びモナコ・モンテカルロに。
カジノで大負けしたサリー。


美しいダンスシーンです。







むはぁ・・・。
なんともなんとも。
緊張しっぱなしの約2時間・・・。
ナチスものっていうのはいつ観ても救いのない気分にさせられます。
正直、こうして内容を思い出しながら書いているだけでものすごく重い気分になりました。
戦争って本当に不条理ですね・・・。

「ベルンハルト作戦」にまつわる作品ですが、スパイや国家目線でなく、強制収容所で贋札を作っていた人々に着目して製作されていることがとても興味深かったです。


「ベルンハルト作戦」の生き証人ともいえるアドルフ・ブルガー氏。
今でも精力的に自分の体験談を人々に伝える活動をしているそうです。
本作のベースとなった『「ヒトラーの贋札 悪魔の工房』読んでみようかな。

前田有一の超映画批評



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トゥルーマン・ショ-

2010年04月25日 | ★★★
トゥルーマン・ショー

おすすめ度
原題:The Truman Show
監督:ピーター・ウィアー
製作総指揮:リン・プレシェット
脚本:アンドリュー・ニコル
出演:ジム・キャリー エド・ハリス ローラ・リニー

自分の日常生活が人気ドラマとして世界220カ国の視聴者に生中継されていた男を描いた異色のシチュエーションドラマ『トゥルーマン・ショー』です。

海に囲まれた離島のシーヘブンで、保険会社のセールスマンとして毎日規則正しい生活を過ごすトゥルーマン・バーバンク(ジム・キャリー)。子供の頃、父親をボート事故で亡くして以来彼は生まれてから1度も島から出たことがありません。そんなある日、いつものように朝売店で新聞を買おうとした時、目の前をホームレスの老人が通り過ぎます。それは幼い頃、海で亡くなったはずの父親でした。しかし、その老人は間も無く何者かに連れ去られてしまいます。その日を境に彼は自分の周囲を不審に感じ始めます・・・。


「おはよう!そして会えない時のために、 こんにちは!こんばんは!おやすみ!」
これが彼のお決まりの挨拶。


明るく美しい看護婦の妻メリル(ローラ・リニー)。


子供の頃からの大親友マーロン(ノア・エメリッヒ)。

大切な人と単調だけど平穏な日々を過ごすトゥルーマン。
そんな彼にも密かな夢があります。それはフィジー島へ行く事。


そして彼にはどうしても忘れられない女性が・・・。


大学時代に出会ったローレン(ナターシャ・マケルホーン)です。
島を出て彼女を探し出し再会することを願っています。


でも、彼は子供の頃に経験した事故のため水が怖くて島から出ることが出来ません。

そんなある日、彼に転機が訪れます。
いつもの売店で、いつもの買い物をしていると目の前をホームレスのような格好をした老人が通り過ぎます。それは間違いなく子供の頃海で遭難した父だったのです。追いかけようとした瞬間、男は何者かに連れ去られてしまいます。父親のことを周囲に訴えても母と妻の反応もどこか不自然・・・。

ディレクターのクリストフ(エド・ハリス)の機転で何とか事を収めますが


今まで何の疑問も持たずに暮らしてきた町に違和感を覚え始めるトゥルーマン。
いよいよ島を出て行く決心を固めます。


でも、いつ旅行会社に行っても島チケットは取れず・・・

ついに彼は強行突破!
自分で船を出し島からの脱出を試みます。


トゥルーマンの行方を 

固唾をのんで

見守る視聴者たち。


ローレンも特別な思いでTVの前に・・・。




トゥルーマンが行方不明になりスタッフは大パニック!


必死の捜索が開始され・・・


ようやく発見!!
航海を諦めさせるため、強引に天候を変え行く手を阻みますが・・・



セットの端に到着。


「虚構の世界」へ戻るよう説得するクリストフを受け入れず


トゥルーマンは「本当の人生」を歩むためスタジオの出口に向かい・・・


ご挨拶。
「おはよう!そして会えない時のために・・・・」


「ふむふむ。なるほど~」と、楽しく鑑賞しました。
この作品、シチュエーションの奇抜さだけでなくて映像も素敵なんですよね。ラストの階段を上るシーンをはじめ心に残るシーンが満載でした。


クリストフが絡むスタジオのセット。エド・ハリスの存在感と相まってとても美しいですね。


トゥルーマンの人生はクリストフが意図的にコントロールしたもの。
その手法は時にかなり強引で、嫌悪感を感じます。
トゥルーマンはひとりの人間としてではなく、アニメのキャラクターのように、または商品のように扱われます。当の本人には真実を知らされずに・・・です。


「大人の事情」を貫くことが何よりの最重要課題だったとは思いますが、クリストフはある意味この虚構の世界に生きることがトゥルーマンにとって本当の幸せだと信じていたように感じます。彼は彼なりにトゥルーマンを愛していたんでしょうね。

トゥルーマンが自分の住む世界に違和感を覚えて真実を探ろうとする・・・という展開に手塚治虫の『赤の他人』という漫画をふと思い出してしまいました。漫画ですが、興味があればぜひ。


前田有一の超映画批評



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ローズ・イン・タイドランド

2010年04月24日 | ★★★★
ローズ・イン・タイドランド
おすすめ度
原題:Tideland
製作:2005年 イギリス カナダ
製作:ガブリエラ・マルチネリ ジェレミー・トーマス
監督:テリー・ギリアム
原作:ミッチ・カリン『タイドランド』
脚本:トニー・グリソーニ テリー・ギリアム
出演者 ジョデル・フェルランド ジェフ・ブリッジス ジェニファー・ティリー ブレンダン・フレッチャー
キャッチコピー:ギリアムのアリスは孤独の迷宮をさまよう

奇才テリー・ギリアム監督の『ローズ・イン・タイドランド』。
『アリス・イン・ワンダーランド』をもじった邦題ですね。
原題は『タイドランド』。
ミッチ・カリンの同名小説を映画化したダークファンタジーです。

10歳の少女ジェライザ・ローズ(ジョデル・フェルランド)は、ドラッグ中毒の両親と共に荒んだ生活を送っています。ある日、母親(ジェニファー・ティリー)がオーバードーズで死亡してしまいます。ミュージシャンである父親ノア(ジェフ・ブリッジス)はローズを連れて祖母の住むテキサスへと向かいます。しかし、祖母は当の昔に他界しており、家は廃墟と化していました。その後間もなくノアもオーバードーズで死亡してしまい、ローズは、ひとりぼっちになってしまいます。



薬物中毒の母親が亡くなり父親とテキサスへ逃亡。


父親は「旅」から戻ることはありませんでした。


ローズは荒れ果てた家で孤独と飢えに耐えます。


そんな彼女の友達は首だけのバービー人形。


しばしば空想の世界に浸るローズ。


そんなあるとき近所に住む不思議な姉弟に出会います。


魔女のようないでたちの女性デル(ジャネット・マクティア)。
彼女はその昔、鉢に襲われて片目の視力を失いました。


知的障害をもつ弟のディケンズ(ブレンダン・フレッチャー)。
彼の頭には「発作」の治療の手術でできた大きな傷があります。

このふたりとの出会いで、ローズはひとときの幸福を得ますが・・・。



むはぁ~。
何とも独特の世界でした。
おなかいっぱいになりました。

そもそもこの作品の原題である『Tideland 』とは直訳で干潟・・・という意味だそうです。辛い現実と、それを逃避するために構築されていく空想の世界・・その2つの世界を行き来する少女の物語です。まさにその境界を描いたような作品。
キャッチコピーどおり、ギリアムが描いたアリスは孤独の迷宮をさまよっていました(笑)。


ウサギと少女・・・そういやぁ「しゃべるリス」も出てきてましたね。
まさに「アリス」。

主演を務めたジョデル・フェルランドちゃんの演技力にはただただビックリ!
かわいらしさの中に、時々ドキッとするような色気なんかも漂わせつつ・・・モノ凄い存在感でした(驚)。今後の活躍が楽しみな女優さんのひとりです。

前田有一の超映画批評



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ミルク

2010年04月22日 | ★★★★★
ミルク
おすすめ度
原題:MILK
監督:ガス・ヴァン・サント
製作総指揮:ダスティン・ランス・ブラック マイケル・ロンドン バーバラ・A・ホール
製作:ダン・ジンクス ブルース・コーエン
脚本:ダスティン・ランス・ブラック
出演:ショーン・ペン ジェームズ・フランコ エミール・ハーシュ ジョシュ・ブローリン ディエゴ・ルナ
キャッチコピー:「ミルク」は、希望のはじまりだった。


ショーン・ペンの良~い笑顔のジャケに誘われてなんとなく手にした『ミルク』です。
「タイム誌が選ぶ20世紀の100人の英雄」に選出された人物・・・自らゲイであることを公表したアメリカ初の政治家だそうで。
いつものことながら、私この方のこと全く知りませんでした(恥)。


1972年のニューヨーク、一企業に勤める42歳のハーヴィー・ミルク(ショーン・ペン)は、20歳年下のスコット・スミス(ジェームズ・フランコ)と出会い恋に落ちます。二人は新しい生活を求め、同性愛者やヒッピーが多く住むサンフランシスコのカストロ地区に新居を構え、小さなカメラ屋「カストロカメラ」をオープンさせます。魅力あふれるミルクの人柄を慕って店は連日多くの「同胞」たちで大賑わい。そんな中、ミルクはゲイに差別的な商工会に対抗し、自ら新たな組織を設立。その活動を通じ様々な問題にかかわる事となり、いつしか彼は「カストロ地区の市長」と呼ばれるように・・・・。


1973年に市政執行委員に初立候補。
その後3度の落選を重ねますが、1977年ようやく4度目の挑戦にして見事当選!
この瞬間、同性愛者であることを公表したアメリカ初の議員が誕生しました。


しかし、恋人であるスコットはミルクの選挙活動で心身共にくたくたでした。
3度目の選挙を最後に政治活動を辞めると約束していたにもかかわらず
再度挑戦をしたミルク。結果、スコットはミルクの元を去ってしまいます。

悲しい別れはあったものの、政治家ミルクの快進撃は続きます。
犬の糞の放置に罰金を科した条例や、ブリッグス議員(デニス・オヘア)の支援していた
同性愛者の教職員を解雇できるという「条例6」の破棄にも見事成功。



一方、同僚であるダン・ホワイト(ジョシュ・ブローリン)。
生真面目で敬虔なクリスチャンです。


「協力しあおう」と一旦今日協定を結んだミルクとホワイト。



しかし、お互いの政治方針が合わず決裂。
以来対峙する関係となっていきます。



ミルクの華々しい活躍とは裏腹に
ホワイトはマニフェストも実現できず次第に精神的に追い込まれ・・・。
ミルクが劇的な勝利を収めた翌日、彼は辞表を提出し、その直後撤回するも市長に拒否されてまいます。


そして運命の日1978年11月27日

ホワイトによってマスコーニ市長とともに射殺されてしまいます。
ミルクの在職期間はわずか11ヶ月。48歳でその人生に幕を閉じました。


ミルクの葬儀の夜。
キャンドルライトを手にした3万人以上の市民たちが、カストロ地区から市庁舎まで行進し、その死を惜しみました。






見ごたえのある伝記映画でした。
70年代を意識した独特な映像も楽しめましたし、作品の最後に
ミルクを支えた人物たちのその後がきちんと描かれていたのがとてもよかったですね。
近々ミルクのドキュメンタリーも観たいな。


ミルクはさることながら、私ダン・ホワイトがすんごい気になりまして・・・。




ダン・ホワイトのその後。

彼の弁護士は、「ゲイに賛成的」とみなした者が陪審員になることを阻止して裁判に臨んだそうです。
また、ホワイトが鬱状態であったとし、彼が正常な精神状態ではなかったと主張。
結局ホワイトはたった5年間の服役で、仮釈。その翌年にはサンフランシスコに戻ります。

が。

風当たりは強く彼は家庭内でも孤立。1985年にはとうとう自殺されたんだそうです。
うーん。しょっぱい。

生真面目で不器用なホワイト。華やかで人の目を引くミルク。
この2人の関係ってどことなく『アマデウス』のサリエリとモーツァルトみたい・・・・。

うーん。

監督は誰?と思い最後にガス・ヴァン・サントと知る私・・・(すげー間抜け)。
いや~。
まさかあのガス・ヴァン・サントとは・・・・。
『ラストデイズ』で迷走していた(←失礼)あのガス・ヴァン・サントとは・・・・。
いやぁ。恐れ入りました。





おまけ。
 
ショーン・ペンとハーヴィー・ミルク。

 
ジョシュ・ブローリンとダン・ホワイト。


激似です。



前田有一の超映画批評



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ガスパール 君と過ごした季節

2010年04月20日 | ★★★
ガスパール 君と過ごした季節
おすすめ度
原題:Gaspard et Robinson
製作:1990年 フランス
製作:マリー・シュラキ
監督:トニー・ガトリフ
脚本:トニー・ガトリフ マリー・エレーヌ・リュデル

「旅に出たい・・・」というのが口癖だった映画好きY氏オススメの1本。
『ガスパール 君と過ごした季節』です。


大切な人から捨てられた孤独な人間同士の束の間の交流を描いた物語。
南仏の景色がとってもきれい。
少年のような二人の男の友情も素敵。
なんだかくすぐったいような愛情を感じる作品でした。


不思議な絆で結ばれている二人の男、ガスパールとロバンソン。
ガスパールは妻に逃げられて以来、家族の絆にはうんざり。
一方相方のロバンソンは、子供の頃母親に捨てられたことで逆にバカがつくほどのお人よし。

そんなある日ロバンソンは道で置き去りにされいた老婆を発見。見れば「名はジャンヌ。無一文です。よろしく」と書いたメモが・・・。(←このシーン泣きそうになりました。)
そんな彼女をどうしても放っておけないロバンソンは彼女を勝手に同居させます。最初は猛反対だったガスパールですが、しぶしぶ受け入れることになり、奇妙な共同生活がはじまります。





夢は、浜辺の廃墟を修理してレストランを開くこと。
そのレストランのオープンが間近にせまった頃
ロバンソンは夫に捨てられた母娘と出会い、母親のローズに一目惚れ。

はい、また出ました。「捨てられた人」

妻に捨てられた ガスパール
母に捨てられた ロバンソン
息子に捨てられた ジャンヌ
夫に捨てられた ローズとその娘

そんな「捨てられた人たち」がまた住む人に「捨てられた家」で同居をするんですね。
(・・・しょっぱい。)

そんな中、ローズがガスパールにほんのりと好意を寄せるんですね。
それを悟ったガスパールは完成したレストランを後にみんなの元を去っちゃいます。


観終わった後Y氏に「アルマゲドンみたいだった。」と言い激怒(?)された私(笑)。
“男の美学的”なことを言いたかったのですが。
ごめんなさい、今思えばすごく間違ってました。
「寅さんみたいだね」に修正しておきます★
そして旅に行ってください。


前田有一の超映画批評



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スタンリー★キューバ。 偉大なる映画監督に間違われた意外なる男

2010年04月19日 | 

スタンリー★キューバ。 偉大なる映画監督に間違われた意外なる男
おすすめ度:
原題:STANLEY CUBA
製作:2007年 アメリカ
製作:アリ・タウブ
監督・脚本:ペール・アンダーソン
出演:マイク・バービグリア ダニエル・アッシャー メリッサ・シルバー バリー・フィリップス

明らかに『SNUFF スナッフ』ばりのB級臭が漂うこの作品。『スタンリー★キューバ。 偉大なる映画監督に間違われた意外なる男 』です。
1時間ちょいだったんで、まぁいいか・・・と、ある程度は覚悟の上での鑑賞です。


スタンリー・キューバという名の一人の平凡な男が、偉大なる映画監督に間違われたことから、思いがけない騒動に巻き込まれていく・・・。というヤバそうな内容。



この人が主人公スタンリー・キューバ(マイク・バービグリア)。



あらら・・・


あららら・・・・


あらららら・・・・・




まぁ・・なんだろうこのコメントしがたい感じ(笑)。
オマージュとかパロディとか言うのもおこがましいくらいのしょうもなさ。

個人的には死にそうなくらい暇で暇で、さらに何かを腐したくて仕方ないときのネタ用としてはおすすめします。

前田有一の超映画批評



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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

2010年04月18日 | ★★★
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
おすすめ度
原題:The Curious Case of Benjamin Button
製作:2008年 アメリカ
製作:キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、シーアン・チャフィン
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本 エリック・ロス
出演者 ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット タラジ・P・ヘンソン ジュリア・オーモンド ジェイソン・フレミング

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』です。
タイトルの通り数奇な人生を余儀なくされた男の一生を描いた作品。
原作は『華麗なるギャッツビー』の原作者でもあるフランシス・スコット・キー・フィッツジェラルドの短編小説だそうです。幾度となく映画化の話は上がったものの、当時の技術では映像化が不可能という理由で先送りを繰り返してきたようですね。


ベンジャミン・バトンのバトンはButton
つまりボタンのこと。
ベンジャミンの実の父親もボタン工場で財を成しました。
それにかけたんですかね・・・。
こういう小細工結構スキです。



80代の姿で生を受けたベンジャミン・バトン。ある老人施設に置き去りにされた彼をそこで働くクイニー(タラジ・P・ヘンソン)が拾い育てます。成長と共に少しずつ若返りはじめるベンジャミン(ブラッド・ピット)。そんなある日ベンジャミンは施設で少女デイジーと出会い、交流がはじまります。その後ベンジャミンは、恋をしたり、戦争を体験したりと様々な経験を重ねながら大人になっていきます。時間の流れに逆行して若返っていく彼は、成長したデイジー(ケイト・ブランシェット)とようやく結ばれますが・・。



年老いたデイジー。
ケイトです(驚)


娘のキャロライン(ジュリア・オーモンド)が読む日記。
この日記を軸に物語が進行していきます。



生まれたばかりなのに老人のように衰弱した身体のベンジャミン。
誰も体験したことのない、「逆回りの人生」がはじまります。


車椅子生活だった彼は成長と共に若返り
ついに歩けるように。
クイニーも大喜びです。


ナイスポーズです。


運命の人、デイジーの少女時代を演じたエル・ファニング。
ダコタ・ファニング実の妹だそうで。
なんともかわいらしいですね。


成長したベンジャミンは人妻と恋に落ちます。


すれ違いを幾度も繰り返しながら







ようやく結ばれるふたり。
でもこの幸せ・・長くは続きません。


ある日「子供ができた」と告白をされ戸惑うベンジャミン。


これから成長する子供の父親として、そして夫としての務めを果たせないことが分かっていたからです。
結局娘が生まれて間もなくして、全財産をデイジーに託し、姿をくらましてしまいます。

そして更に月日は流れ






子供の姿で「補導」され、生家である老人施設に帰ってきたベンジャミン。
デイジーは彼が息を引き取るその日まで毎日施設に通います。


老人のような肉体をもって生まれ、最後は赤ん坊として一生を終えた数奇な人生。
皮肉にも彼が育った老人施設という環境がもう既に「生と死」に直面する場所なんですね。また彼だけでなく、人生を共に歩もうとしたデイジーも一緒に年を重ねられないことで苦しみます。最後、赤ん坊になったベンジャミンを抱くデイジーの姿がなんだかとっても切なかったです。

作品の脇を支えるキャラクターやエピソードもなかなか面白い。
息子を戦争で亡くし、駅に逆回りの時計を作った技師のムッシュ・ガトー(イライアス・コティーズ)。
68歳で水泳海峡横断に成功するかつての恋人エリザベス(ティルダ・スウィントン)。
ベンジャミンの世界を拡げてくれた人生の師(?)のマイク船長(ジャレッド・ハリス)。

せんちょーーっ。


どこに着目しどのように観るかでまたずいぶん印象がかわりそうですね。


とりあえず見所は満載です。
個人的には「よく合成できたで賞」「特殊メイク大変だったで賞」・・・って感じかな(笑)。


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マルタのやさしい刺繍

2010年04月17日 | ★★★★
マルタのやさしい刺繍
おすすめ度
原題:Die Herbstzeitlosen
製作:2006年 スイス アメリカン・ヴィスタ
監督:ベティナ・オベルリ
出演:シュテファニー・グラーザー、ハイディ・マリア・グレスナー、アンネマリー・デュリンガー、モニカ・グブザー
キャッチコピー:縫い残した未来が輝きはじめる

おばあちゃんフェチの私にはたまらない作品。(なんつー導入;)
『マルタのやさしい刺繍』です。


舞台はスイスのある小さな村。
トループ村に住む80歳のマルタは、夫の死から立ち直れずにいました。そんなある日マルタのもとに、村の合唱団の旗を製作して欲しいとの依頼が舞い込みます。早速友人3人と共に材料を求めに町へ繰り出すマルタ。久し振りに裁縫店に入りレースや美しい生地を見ているうちに、今まで眠っていた創作意欲が沸き立っていくのでした。


マルタ、ハンニ、リジィ、フリーダは大の仲良し。
久々に都会の空気に触れた4人は大興奮!




マルタが若い頃の夢を再び追い求める姿を見ているうちに親友たちにも心の変化が・・・。




ハンニは同居している息子から通院を苦にされ、身体の不自由な夫を老人ホームに入居させられそうになっています。
それを阻止するため自ら運転免許を取ろうと一大決心。


フリーダは、マルタに何か協力が出来ることはないか・・・。老人ホームの施設内で何やら計画を練りはじめ・・・


ランジェリーショップの計画のきっかけを作ったリジィ。
周囲から猛反対を受け凹むマルタを励まし勇気付けます。



たとえお店の商品を全て息子たちにゴミ箱に捨てられても・・・
おばあちゃんたちはメゲません!
(ちょーーかわいいーーーー↑↑↑↑)


フリーダの協力でインターネットショップを立ち上げ下着の注文が少しずつ増え始めます。メディアにも取り上げられて、一躍時の人となるマルタ。
保守的な村を象徴的する人物であるハン二の息子、フリッツはちっとも面白くありません。
でも、娘はハンニに興味津々!


ひたむきなマルタの姿は友人たちのハートに火をつけ、
その輪はどんどん広がっていきます。
そしてついに旧態依然とした思考の村人たちの心をも動かしていくんですねぇ。


この作品を撮ったベティナ・オベルリという監督は、なんと当時35歳の女性!
作風からして女性なのは納得ですが、お若い監督さんなんですね。ビックリ。
エメンタール地方に住む自身の祖母の生活からヒントを得て、小さなコミュニティーが抱える問題を本作に取り入れたんだそうです。

実話をもとに・・・というのは、マルタのようなおばあちゃんがいた・・・というわけではなく、そういう事だったんですね。



80歳という高齢にも関わらずアグレッシブに突き進むおばあちゃんの姿を見ていると「がんばれ!マルタ!!」と応援しないではいられません。
観ると元気になれる事うけあいです。






すごーく楽しめたんですが
個人的にはラストのこのエピソードがちょっと・・・・。


でも、まぁ・・・いっか!
おばあちゃん可愛かったし!

ね♪

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つみきのいえ LA MAISON EN PETITS CUBES

2010年04月16日 | ★★★★
つみきのいえ
LA MAISON EN PETITS CUBES
おすすめ度
製作:2008年 日本
監督:加藤久仁生
脚本:平田研也
音楽:近藤研二
ナレーション:長澤まさみ


2008年アカデミー賞短編アニメ賞を受賞した話題作『つみきのいえ』です。
何か疲れているときに癒しを求めて、ちょいちょいこういうアニメに手を出す私(笑)
実はこの作品、アカデミー受賞作品とも知らず、何の予備知識も無く手に取ったもの。
この方、どうやらテレビやCMなどでかなり活躍されている有名なクリエーターさんのようですが、(相変わらず)私このたび初めて知りました。



海に浮かぶように建っている、まるで「積み木」のような家。海面がどんどん上がってくるので、上へ上へと家を「建て増し」続けてきたからです。そんな家にひとりで住んでいる頑固な老人の家族との思い出の物語。(加藤久仁生公式HPより抜粋)




海面が上昇し、住人がほとんどいない水没寸前の町です。



おじいさんは、たった一人でこの家に住んでいます。


夜は食事をしながら必ずワインを1杯。



ある日、海に大切にしていたパイプを落としてしまいます。
行商を呼んで新しいパイプを買おうとしましたが・・・


実際に購入したのはダイビングスーツ。落としたパイプを拾いに行くため、早速着込んで海の中へと潜っていきます。



下へ、下へと進みながら、おじいさんは、これまで共に暮らしていた家族との思い出を回想していくのでした。







先立った妻。


娘夫婦と孫との団欒のひととき。


まだ町が水没する前。若かりし頃のおじいさん夫婦とその娘。



最愛の妻と幼い娘。


このつみきのいえの礎となる最初の新居。
ふたりで築きあげています。


おじいさんとおばあさんの幼少時代。


加藤久仁生監督が織り成す手描き風タッチのアニメーションはなんとも言えないあたたかさがあります。キャラクターの細かい表情の変化や、シーンによって使い分けられた陰影、老人がもつ独特な間合い。こういう表現は大変月並みではありますが、おじいさんが今まで積み上げてきた家と人生が見事にオーバーラップされノスタルジックな気分に浸れます。


DVDはナレーションなしバージョンと、長澤まさみちゃんのナレーションありバージョンの2つが収録されてます。個人的には、断然ナレーションなしがおすすめです。想像力がいろいろとかきたてられるという意味ではやはし説明されすぎちゃうとちょっと興ざめ・・。でも、両方を観比べるのも面白いかもしれません。



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メトロポリス

2010年04月15日 | ★★★★



メトロポリス
おすすめ度 
原題:Metropolis
製作:1926年 ドイツ
監督:フリッツ・ラング
製作:テア・フォン・ハルボウ
脚本:テア・フォン・ハルボウ
出演者:ブリギッテ・ヘルム アルフレッド・アベル グスタフ・フレーリッヒ


ようやく観ました!「メトロポリス」。
某図書館で借りたVHSのちょい怪しいバージョンで(笑)。
まぁ、それはさておき。
以降多数のSF作品に多大な影響を与えた伝説の映画ですよ。
ずっと観たかったんです。




2026年、高度機械文明が発達した未来都市メトロポリス。
空高くそびえるこの巨大な都市は、二つの文明から成っています。
ひとつは、地上の世界。豊な生活を送る特権階級たちの場所。


そしてもうひとつは、地下の世界。
地上の住人を支える労働者階級が過酷な日々を強いられています。


地上の支配者フレーダーセン(アルフレット・アベル)の息子フレーダー(グスタフ・フレーリッヒ)は、ある日偶然遭遇した労働者の娘・マリア(ブリギッテ・ヘルム )の美しさに魅かれ地下の世界へ足を踏み入れます。
そこで彼は初めて地下世界の存在を知り、この二極化された世界の調停人になろうと決心します。


そんな息子の様子を察知した父親は、
旧友である科学者ロトワング博士にマリアにそっくりなアンドロイドを作らせ
地下の労働者たちの団結を阻止しようと企てますが・・・。



わっるい顔。
ロトワング博士です。
いかにも何かしでかしそうですね。



マリアをさらってコピー中。



「伝説」のロボットです。

YES! ↑もちろん、こいつです。




超シェクシーな黒マリア。
うーん。別人。
妖艶です。


ロトワング博士の策略で・・・・


大混乱・・・





全ての決着をつけたフレーダーは、父と労働者間の調停を執り行い
ハッピーエンド・・・・。






・・・ぷはぁ。
1920年代の混沌とした社会を象徴とした問題作。

これを観て久々に「資本主義」とか「ブルジョアジー」とか「プロレタリアート」とかいう教科書の太字を思い出してしまいました。
その昔、社会科で習いました。(たぶん)
当時のドイツは超インフレと失業時代に突入。社会の秩序も乱れ、政治経済はみるみる悪化。こういう時代を背景に製作された作品だけあり・・・・

なかなか混沌としています。
一応ハッピーエンドなはずなのに、どうもスッキリしない後味の悪さが印象的でした。

これを観て、あー。と最初に思い出したのは『王と鳥』。というより、『やぶにらみの暴君』と言う方が正しいのかな?
近代的な城・地下の町・ロボットの暴走・城の破壊・・。
まさに、メトロポリス!
いろんな作品に影響を及ぼしているんですね。

それにしても。
この時代のドイツの作品ってば、まぁ凄い!
未来都市や地下社会の工場、時計台のセット。
踊り子として皆を惑わすマリアの舞台・・・。
ため息でますわ。
古典的な撮影なのでしょうが、デザイン、演出含めすごい完成度。
どういう風に製作されたのか興味津々です。
ぜひメイキングが観てみたい!

この作品って無声映画なんですよね。
でも完全オリジナル版は現存しない・・・との事・・・。

実際私が観たのは95分バージョン。気のせいじゃなければ、音楽も日本の方が手がけていたような・・・。確か1980年代・・・?
オリジナルはは210分を越える勢いの長尺らしいですね。
なので、ラング自身はこういう短いバージョンは納得していなかったとかどうとか。

うむむ・・・

いろんな意味で完全版とやらを観たいものです。

前田有一の超映画批評



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どうもすみません。

2010年04月15日 | その他
なんかすみません。
髭ダルマLOVEです。

某友人に
「エロコメントくらい消しなよ・・・」
と言われて早数ヶ月・・・。

とりあえず書いてみました。
久々にアップしたら驚くぐらい書き方を忘れていました。

こわいこわい。

というわけで
宜しくお願いします。


てへ。