徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

胡同のひまわり

2012年09月27日 | ★★★★
おすすめ度
原題:向日葵
製作:2005年 中国
監督:チャン・ヤン
脚本:チャン・ヤン ツァイ・シャンチュン フォ・シン
出演:ソン・ハイイン ジョアン・チェン リウ・ツーフォン
キャッチコピー:30年たって初めて、ぼくは初めて知った。父の隠された想いを―



文化大革命によって画家としての夢を諦めた父親とその息子の愛憎劇「胡同の向日葵」です。


舞台は1976年の北京。
文化大革命が終息し強制労働を終えた父親(スン・ハイイン)が6年ぶりに帰って来ます。
画家としての道を絶たれた父親は、9歳になった息子シャンヤン(チャン・ファン)に自らの夢を託し、
絵画を厳しく教え込みます。
遊びたい盛のシャンヤンは、突然現われた“おじさん”に反抗します。

19歳になったシャンヤン(ガオ・グー)は大学に進学。
父親との関係は相変わらずギクシャクしています。


絵の才能を持ちつつもキチンと取り組むことなく父親に隠れて毎日つ遊んでばかり。
そんなある日シャンヤンはユー・ホン(チャン・ユエ)に恋をし、広州へ行く計画を立てます。
もちろん彼女も一緒に。
しかし出発当日父親にバレてしまい電車から引きずり下ろしてしまいます。

再会した彼女から別れを告げられるシャンヤン。
実は彼女、父親の命令で子供を堕ろさせられていました。
驚愕の事実を聞かされ、別れを受け入れるしかないシャンハン。

遂に怒りが爆発。
シャンハンは父親とつかみ合いになります。
その途中、足を滑らせ湖の割れ目に落ちてしまう父。
さすはがに見捨てるわけにも行かず仕方なく手を差し伸べるシャンハン。
なんとも気不味い空気の中でこの件はうやむやになり
シャンハンの初恋は実ることなく終焉を迎えます。

1999年。
時代は変わり北京には近代化の波が押し寄せています。
母はアパートで生活したいという夢を叶えるために
父親と形式上で離婚し別居生活を送っています。
かたや父親は今や廃墟と化している胡同の集落に住み続けています。


シャンハンは32歳。
皮肉にも(?)あれほど嫌悪していた父親の夢を叶えるかたちとなり
芸術家として才能を開花させていました。


シャンハンの展覧会。
家族の肖像画の前で初めて息子を認め褒める父。

 


このあと父親は1本のカセットテープを残し
家族の前から姿を消します。
そこにはひとりの父親として悩む言葉がおさめられていました。
「愛情はあった。
でもその伝える術がわからなかった。
お前の言うとおり自分は父親失格だ。」


父親の失踪後、新たな命が誕生します。
シャンハンがお父さんになったのです。



不器用で過干渉な父親の葛藤。
叶わなかった夢
それを息子に託す父。
めまぐるしく変わる時代の波に
胡同の長屋とともにポツンと取り残されたような晩年の父親の姿。
段々哀れにもうつります。
そして最後に希望の象徴でもある赤ちゃんの誕生。
盛者必衰の理ってヤツででしょうか。

父親と息子の親子関係。
庶民の素朴な生活。
文化大革命が残した傷跡。
新旧交代。
様々なテーマがギュッと凝縮された
何とも切ない作品でした。

コレは男性と女性とではかなり印象が変わる作品な気がします。
良い作品でした~!!



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しあわせの雨傘

2012年09月10日 | ★★★★
おすすめ度
原題:Potiche
製作:2010年 フランス
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン ピエール・バリエール ジャン・ピエール・グリディー
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ ジェラール・ドパルデュー ファブリス・ルキーニ